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新しいご主人様の夜の命令

 新しく少女アカサタが連れてこられたお屋敷。

 それは、あの変態晩餐会へんたいばんさんかいで出会った、貴族の息子ハルバート・マッケンバイヤーのお屋敷でした。


「やあやあ、アカサタ君、よく来てくれたね。これからは、僕が君の雇い主だ」

 短くカットされた金髪を揺らしながら、さわやかな笑顔をした青年は答えます。


「おめえが、新しい雇い主!?マジかよ!」と、かわいらしい顔と声で、まるで男のように憎たらしい口をきく少女アカサタ。


「いいね!実にいい!僕は、そういう君が大好きなんだ。これから、ここで思う存分、働いてくれたまえ」と、ハルバートは心の底から嬉しそうに言います。


 心の中で、“なんだか、怪しいな…”と思いつつも、それを言葉にすることはない少女アカサタでありました。


         *


 さて、その夜、さっそく最初の仕事を頼まれます。

 少女アカサタは、真っ赤なドレスに着替えさせられ、足には同じように真っ赤なハイヒールをかされると、ハルバートの私室へと案内されました。


「なんだ、この格好は…?」と、いぶかしがる少女アカサタ。

 けれども、そんなコトを気にしていても始まりません。

 トン、トン、トンと部屋の扉をノックすると、中から例の若者のさわやかな返事が返ってきました。

「どうぞ、おはいり~」


 少女アカサタは、言われるままに部屋の中へと入っていきます。

 すると、部屋の真ん中には、大きなベッドが置いてあり、その上に上半身裸になったハルバートが大の字になって寝転がっています。


「さあ、さっそく始めもらおうか?」と、ハルバート。


「は?」と、わけがわからないといった声を出すアカサタ。


「僕のコトを踏んづけてもらえるかな?あ、靴はそのままで。ハイヒールは脱がずに、そのまま踏んでくれればいいから」と、大の字になって天井を眺めながらハルバートは言います。


 わけがわからないまま、「よっこらせ」っと巨大なベッドの上に乗り、言われた通りハイヒールで、軽く踏みつける少女アカサタ。

 どこを踏めばいいのかわからないので、とりあえず、お腹の辺りを軽く踏んでみます。

 そこは、ガッチリとした腹筋で、少々踏んでも怪我はしないだろうと判断したからでした。


「あ…いい!」と、吐息といきと共に、感動したような声をもらす金髪の若者。


「?!?!」

 “どうなってんだ、コイツ?”と心の底で不思議がる少女アカサタ。


「さあ、続けて。今度は、もうちょっと上の方を」

 指示通り、先ほどより少し上の方を軽く踏みつけるアカサタ。

 すると、「もうちょっと強く」と頼まれます。

 仕方がないので、ちょっとだけ体重をかけて、さらに重みを増して真っ赤なハイヒールで、腹筋の上の方を踏んでみます。


「ああああ!!そうだ、それだよ…」と、またもや吐息混じりに答えるハルバート。


 読者の皆さんは、もうお気づきかと思います。

 そう!この金髪の若者、貴族の息子ハルバート・マッケンバイヤーは、その見た目とは裏腹うらはらに、普通のプレイでは満足できない体となっていたのでした。

 一見さわやかそうに見えるその笑顔の裏では、このような変態プレイを好むという異常な性格が隠されていたのです。


 その後も、要求は続きます。

 肩や腕、太もも、ふくらはぎなど、少女アカサタは、命令されるがままにハルバートの体を踏みつけていきます。それも、段々と力強く、回数も多めに。

 そうして、ついに、このような命令が飛んできます。

「じゃあ、そろそろ…一番大切な部分を踏んづけてくれないかな?」


「一番大切な部分?」と、少女アカサタは、大体想像がついていながら、わざと尋ねてみます。


「そうさ、僕の股間だよ。最初は軽く。徐々に力を込めていって。それから、リズミカルに力を入れたり抜いたりしながら、踏みしごくんだ。そうだな…できれば、言葉をかけながらがいい。いつものごとく、思いっきり僕のコトを罵倒ばとうしながらやってくれたまえ」


 これが、新しいご主人様の命令なのです。

 仕方なく、少女アカサタは、言われたままの行動を取ります。見よう見まねながら、それっぽいセリフを吐きながら。

「オイ!コラ!なめてんじゃねぇぞ!上辺だけは上品ぶりやがって、実はこのような誰にも言えない変態趣味しやがって!!このコトを周りの金持ちや、奴隷たちにもふれ回ってやろうか!!」


 それを聞いて、ハルバートは泣きそうな顔をします。

 それが、喜んでいるのか悲しんでいるのか、よくわからない表情なのです。とにかく、涙を流しそうなくらいに顔をクシャクシャにしていることだけは確かでした。


「おおおおおおおおお!!いいぞ、実にいい!もっと、もっとだ!それに加えて、股間を踏みつけてくれ!!」


 ハルバートに言われて、少女アカサタは続けます。さっきよりも感情を込めて。アカサタの方も、段々と調子に乗ってきます。

「はぁ?なんだ、このクソ野郎?このオレの言葉を聞いて、喜んでやがるのか?あるいは、悲しんでやがるのか?まあ、どっちでもいい。どちらにしろ、お仕置きだ。エイ!こうしてやる!」

 言葉づかいはきたならしいのですが、かわいらしい声でそう言いながら、少女アカサタは真っ赤なハイヒールの先でハルバートの股間を踏み踏みします。


 フミフミ、フミフミ。


 アカサタが足を動かすたびに、「ああ!!」とか「いい!!」とか「そうだ!」とか「もっともっと!」とか「お願い!お願い!」などと声を出すハルバート。

 その声に合わせて、強く踏んだり、軽めに触れる程度にしたり、強弱をつけながらリズムよく踏んでいきます。まるで、ゲームセンターに置いてあるキーボードや太鼓たいこのリズムゲームみたいに。


「今度は、つま先じゃなくて、かかとで!かかとでお願いします!」

 そのようにリクエストに応じ、かかとで股間を踏みつける少女アカサタ。

 さらに、つま先とかかとを交互に使用し、ここでも強弱をつけながらリズムゲーム開始です!


 踏んで!力を抑えて。また踏んで!力を抑えて。

 強く踏んで!軽く踏んで。強く!軽く。軽く。

 かかとで!つま先。つま先。かかとで!つま先。つま先。つま先。


 このような感じで繰り返し続けると、ついにハルバートは、快感のあまり気絶してしまいました。


「なんなんだ、コイツは一体…!?ロゼッタもおかしな趣味があったが、こっちの方はさらに輪をかけて、変態野郎だな…」

 嬉しそうな笑顔をしたまま意識を失っている金髪の青年を前に、動揺を隠せない少女アカサタでありました。

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