バーベキュー大会に届けられた知らせ
変態晩餐会から戻ってきたロゼッタとアカサタは、また以前のような生活に戻りました。
ロゼッタは、優秀な人材を探してきては売り買いする商売をしています。商売は順調で、コンスタントに利益を上げ続けていました。
少女アカサタは、その様子を傍らで眺めながら、人の能力を見抜くノウハウを身につけていきます。
*
そんなある日、ロゼッタは大勢の奴隷を連れて、河原にバーベキューにやって来ていました。
ジュージューと音を立てながら、高級食材が焼けていきます。
たっぷりと脂の乗った霜降り牛肉が、ちょうどいい色に焼け、食欲をそそる香りを立てています。
「さあ、アカサタ。このくらいでもういいわよ、食べなさい。これ以上焼くと、お肉が固くなっちゃうから」と、ロゼッタはお肉を取りわけてくれます。
…かと思えば、向こうの方では、金属製の網にかけられたサザエが、炭火の熱でグツグツと煮え立ち、殻の中からおいしそうな汁を吹き出しています。
隣の網の上では、ハマグリが焼け、パックリと口を開けています。
「肉だけじゃなくて、ちゃんと野菜も食べないとな…」
そう言って、少女アカサタはハフハフと高級牛肉をほおばりながら、カボチャやキャベツなどの野菜もバランスよく、お皿に乗せていきます。
こんな風に、ロゼッタの家では、たまのお休みに、奴隷も交えて交流会を催しているのでした。バーベキューの他にも、花火大会や夜祭など、さまざまなイベントを開いて、人々の心をなごませるのです。
この時代のこの世界において、このような奴隷に対する好待遇は珍しいコトでした。
「しっかり働いて、のんびり休む。それでこそ、人は幸せになれるの。そうすれば、また『一生懸命働こう!』って気になるものね」
ロゼッタは、よく口癖のように、そう言いました。
その時です。思わぬ知らせが届いたのは!
「ロゼッタ様!ロゼッタ様!大変でございます!!」
そう言って、執事の1人が、河原のバーベキュー大会へと駆け込んできました。
「どうしたの?そんなに、慌てて?」と、答えるロゼッタ。
「まずは、これをお読みください」と、執事は1通の手紙を差し出しました。
手渡された手紙を丹念に読むロゼッタ。
突然、その顔が蒼白に変わります。
その様子を横で眺めていた少女アカサタ。
「どうした?何があったんだ?」と尋ねます。
しばらくの間、無言で動きを止めていたロゼッタですが、やがて、ゆっくりと口を開きました。
「破産したわ…」
「え?」と問い返す少女アカサタ。
「破産したのよ、アカサタ。私は、もうおしまいよ…」
突然の出来事に、アカサタもどう反応してよいのかわかりません。
果して、一体、何が起こったのでしょうか?




