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変態晩餐会に参加する

 ある日、少女アカサタは、ロゼッタ・キャンドルに連れられて、“変態晩餐会へんたいばんさんかい”なるものに参加しました。

 この変態晩餐会には、数々の大金持ちが、自分の奴隷を見せびらかすためにやって来るのです。


 アカサタが会場の一角に視線を向けると、奴隷同士が無理矢理に交尾をさせられています。

 それを周りから取り囲みながら、はやしたてているお金持ちたち。


「あなたは、あんなものやらなくていいのよ、アカサタ」と、その様子に気づいたロゼッタに言われます。

「そうなのか?」と尋ね返す少女アカサタ。

「そりゃあ、そうよ。あんなものは、低俗な奴隷がやるコトよ。あなたみたいな人間には、もっと別の活用法があるわ」


 かと思えば、別の場所では、ボウリングが行われています。

 ただし、ただのボウリングではありません。“人間ボウリング”です。

 ボウリングの球の代わりに、人間が使われているのです。体育座りの格好で手足をしばられた人間が、体長2メートルを超える大男によって投げ転がされています。

 転がった先には、やはり手足を縛られた10人の人間が、ボウリングのピンの形に立っていて、転がってきた人間によって倒されるのです。

「ストラ~イク!」

「ああ!スプリットかよ!こりゃあ、スペア取るのは難しいか~」

 などといった声が、聞こえてきます。


 他にも、“人間ビリヤード”や“人間ダーツ”など、非道ひどうなゲームが、あちらこちらで行われているのでした。


 興味深そうに、その光景を眺める少女アカサタ。

「は~、まったく金さえあれば、何でもできるんだな」

「“何でも”ってわけではないけれど。それでも、お金がなければ何もできないコトだけは確かね」と、ロゼッタ。

「なんだか、嫌な世の中だな」

「かもしれないわね。でも、考えようによっては、こんなに楽しい世界はないわ。勝ち組にさえ入ってしまえば、人生は思うがまま。楽園のような場所よ」


 ここで、アカサタは考えます。

「生まれながらにして、“勝ち組”と“負け組”が、わけられてしまう世界。果して、そんなものが正しい世界なのだろうか?」と。

 せめて、能力とか努力とか、そうったものでのし上がれるならば、お話は別。

 けれども、どんなに懸命に努力しても、それらは全て無駄。水泡すいほうしてしまいます。いかに優秀な能力を持っていようとも、それらは全て、お金持ちが、さらにお金をかせぐための道具として利用されてしまうのです。

 人々の人生は、完全にロックされてしまっているのでした。

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