表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

285/324

ロゼッタとアカサタの不思議な関係

 キャンドル家の令嬢、ロゼッタ・キャンドルの奴隷どれいとなったアカサタは、ロゼッタの住むお屋敷へと連れ帰られます。

 奴隷とはいっても、それほど酷い扱いは受けていません。食事もまともなものを食べさせてもらい、着る物も普通に支給されます。

 元々、服や食事にあまり気を使わない性格たちであったアカサタは、それだけで充分に満足でした。


 けれども、これは例外的な扱いでした。

 あくまで、ロゼッタに才能を見出され、気に入られたアカサタだからこその扱いです。他のお屋敷で働く奴隷や、多くの労働者たちは、着る物もボロボロで、その日に食べる物にすら困る始末。

 この世界では、お金持ちは簡単にお金をかせぐコトができます。お金持ちは、さらにお金持ちに。貧乏人は、貧乏人のまま。それどころか、ますますまずしくなっていく一方。


 お金がないと、まともに人として扱ってすらもらえません。

 そこら辺の路上で倒れたとしても、誰も助けてはくれません。空腹で身動きが取れなくなったとしても、パンのはしひとつめぐんではもらえません。

 ここは、そういう世界なのです。


         *


 ロゼッタ・キャンドルのもとでのアカサタの仕事は、ロゼッタの横について回るコトでした。常にかたわらに置かれ、その一挙手一投足いっきょしゅいっとうそくを観察させられます。

 ロゼッタの仕事は、人材活用。人々を適材適所に配置し、最高のパフォーマンスを発揮させるコト。

 安値で購入した奴隷を、買値の何倍もの値段で売り飛ばすなどということは、日常茶飯事にちじょうさはんじでした。


「いい?アカサタ?見て覚えるのよ。私の行動、言葉、息づかい、何かをする時のタイミング。何もかもを見て覚えるの。そうして、思ったコトがあれば、素直に言葉にしなさい。遠慮えんりょをする必要はないわ」

「何でもいいのか?」と、女の子の姿をしたアカサタ。

「ええ、何でもいいのよ。思ったコトがあれば、すぐに意見しなさい。あなたは、その方が伸びるわ。何かにしばられてはいけない。世界をせばめてはいけない。壁を作ってはならない。自由に生きた時、あなたは最大限、その力を発揮する」


 ロゼッタの人を見る目は、確かでした。

 出会ってからわずか数日。その短期間の内に、すでにアカサタを最大限活用する方法を理解していたのです。

 これまでも、アカサタの人生は、ずっとそうでした。何かに縛られている時は、その能力を充分に発揮できず、制限された世界では魅力を失ってしまいます。

 そうではなく、“何でもあり”!!自由に思うまま、好き勝手に行動できる世界でこそ、持っている能力の全てを発揮できるのです。アカサタは、そういうタイプの人間でした。世界が広ければ広いほど、大きければ大きいほど、敵が強ければ強いほど、より強力な能力を身につけてしまうのです。


         *


 それとは別に、ロゼッタは、アカサタに夜のおとももさせます。

 一緒にお風呂に入ったり、ベッドに連れ込んだり、ここでもそばから離さず一緒に行動するのでした。

 そんな時のロゼッタは、別人のように態度が変わります。昼間は、厳しい性格のロゼッタですが、ベッドの中ではまるで少女のよう。アカサタにも、厳しい口調で語るようにさせ、自分はおとなしくなってしまうのです。

 

 今夜も、寝室から、このような声が聞こえてきます。

 ちょっとのぞいてみるコトにしましょう。

「お前、金さえあれば、何でもできるなどと勘違いしてるだろう!このみにくいメス豚が!!」としかり飛ばすアカサタ。

「め、めっそうもありません…」

「本当か?本当に心の底から、そう思っているか?」

「もちろんでございます。その証拠に、私はどのような命令にも従う所存しょぞんにございます。アカサタ様、どうぞおろかな私めにご命令ください」

「よう~し、よしよし!それでは、まずは服を脱いでもらおうか。おっと、全部は脱ぐなよ。まずは服だけ。下着は、そのままだ」

「はい、アカサタ様。ご命令のままに…」

 そう答え、シズシズと服を脱ぎ始めるロゼッタ。


 その後も、次から次へとエロい命令がくだされ、その命令に素直に従うロゼッタ。

 これでは、どちらが奴隷で、どちらがご主人様なのかわかりません。もちろん、これは一種のプレイです。ロゼッタは、このような状況でなければ興奮しないという体質なのでした。


 しばらくの間、このような不思議な関係が続き、時は過ぎていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ