ロゼッタとアカサタの不思議な関係
キャンドル家の令嬢、ロゼッタ・キャンドルの奴隷となったアカサタは、ロゼッタの住むお屋敷へと連れ帰られます。
奴隷とはいっても、それほど酷い扱いは受けていません。食事もまともなものを食べさせてもらい、着る物も普通に支給されます。
元々、服や食事にあまり気を使わない性格であったアカサタは、それだけで充分に満足でした。
けれども、これは例外的な扱いでした。
あくまで、ロゼッタに才能を見出され、気に入られたアカサタだからこその扱いです。他のお屋敷で働く奴隷や、多くの労働者たちは、着る物もボロボロで、その日に食べる物にすら困る始末。
この世界では、お金持ちは簡単にお金を稼ぐコトができます。お金持ちは、さらにお金持ちに。貧乏人は、貧乏人のまま。それどころか、ますます貧しくなっていく一方。
お金がないと、まともに人として扱ってすらもらえません。
そこら辺の路上で倒れたとしても、誰も助けてはくれません。空腹で身動きが取れなくなったとしても、パンの切れ端ひとつ恵んではもらえません。
ここは、そういう世界なのです。
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ロゼッタ・キャンドルのもとでのアカサタの仕事は、ロゼッタの横について回るコトでした。常に傍らに置かれ、その一挙手一投足を観察させられます。
ロゼッタの仕事は、人材活用。人々を適材適所に配置し、最高のパフォーマンスを発揮させるコト。
安値で購入した奴隷を、買値の何倍もの値段で売り飛ばすなどということは、日常茶飯事でした。
「いい?アカサタ?見て覚えるのよ。私の行動、言葉、息づかい、何かをする時のタイミング。何もかもを見て覚えるの。そうして、思ったコトがあれば、素直に言葉にしなさい。遠慮をする必要はないわ」
「何でもいいのか?」と、女の子の姿をしたアカサタ。
「ええ、何でもいいのよ。思ったコトがあれば、すぐに意見しなさい。あなたは、その方が伸びるわ。何かに縛られてはいけない。世界を狭めてはいけない。壁を作ってはならない。自由に生きた時、あなたは最大限、その力を発揮する」
ロゼッタの人を見る目は、確かでした。
出会ってからわずか数日。その短期間の内に、すでにアカサタを最大限活用する方法を理解していたのです。
これまでも、アカサタの人生は、ずっとそうでした。何かに縛られている時は、その能力を充分に発揮できず、制限された世界では魅力を失ってしまいます。
そうではなく、“何でもあり”!!自由に思うまま、好き勝手に行動できる世界でこそ、持っている能力の全てを発揮できるのです。アカサタは、そういうタイプの人間でした。世界が広ければ広いほど、大きければ大きいほど、敵が強ければ強いほど、より強力な能力を身につけてしまうのです。
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それとは別に、ロゼッタは、アカサタに夜のお供もさせます。
一緒にお風呂に入ったり、ベッドに連れ込んだり、ここでも側から離さず一緒に行動するのでした。
そんな時のロゼッタは、別人のように態度が変わります。昼間は、厳しい性格のロゼッタですが、ベッドの中ではまるで少女のよう。アカサタにも、厳しい口調で語るようにさせ、自分はおとなしくなってしまうのです。
今夜も、寝室から、このような声が聞こえてきます。
ちょっとのぞいてみるコトにしましょう。
「お前、金さえあれば、何でもできるなどと勘違いしてるだろう!この醜いメス豚が!!」と叱り飛ばすアカサタ。
「め、めっそうもありません…」
「本当か?本当に心の底から、そう思っているか?」
「もちろんでございます。その証拠に、私はどのような命令にも従う所存にございます。アカサタ様、どうぞ愚かな私めにご命令ください」
「よう~し、よしよし!それでは、まずは服を脱いでもらおうか。おっと、全部は脱ぐなよ。まずは服だけ。下着は、そのままだ」
「はい、アカサタ様。ご命令のままに…」
そう答え、シズシズと服を脱ぎ始めるロゼッタ。
その後も、次から次へとエロい命令がくだされ、その命令に素直に従うロゼッタ。
これでは、どちらが奴隷で、どちらがご主人様なのかわかりません。もちろん、これは一種のプレイです。ロゼッタは、このような状況でなければ興奮しないという体質なのでした。
しばらくの間、このような不思議な関係が続き、時は過ぎていきます。




