女の子に生まれたアカサタ
次にアカサタが生まれ変わったのは、お金持ちの世界でした。
生まれた時に大富豪の家に生まれれば、それでよし。そうでなければ、酷い人生が待ち受けています。それは、言葉ですら表わすのも難しいくらい惨憺たる人生。人としてすら扱ってはもらえません。
もちろん、貧乏人に生まれても、そこからはい上がり、大金持ちになる道もあるにはあります。けれど、その確率は極々わずかなもの。もはや、天文学的な数字。地球外生命体を発見するよりかは高い確率といった程度のものでしかありませんでした。
理論上は可能でも、現実的には不可能と断言してもいいでしょう。
そんな世界で、今度は女の子として生を受けたアカサタ。
もちろん、生まれたのは貧乏人の家庭です。この時点で、負け組決定!“普通の人間ならば”ですが。
けれども、アカサタには、これまでの世界で身につけてきた数々の能力があるのです。それらの能力を使えば、こんな世界でも逆転は充分に可能でしょう。
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アカサタは、生まれるとすぐに施設に引き取られました。貧乏人の両親に、子供など育てられるはずもないからです。まだ、名前すらつけられていない時のコトです。
施設に連れてこられてから、アカサタはすぐに“ジェーン”という名前をつけられました。名前など何でもよかったのですが、さすがにないと困ります。なので、施設の人は、ぶ厚い電話帳のような名前辞典を持っていて、施設に送られてきた子に、名前辞典の上から順番に命名していくのです。
施設には、これまでにも数え切れないほどの子供たちが送られてきており、これが何百人めかの“ジェーン”でした。
「フ~ム…今度は、女の人生か。そういうのも悪くはない。どうやら、今度もおもしろそうな世界だし。これは、破壊しがいがあるぞ!」
赤ん坊のアカサタは、心の中でそう思いました。
アカサタは、完成したモノを破壊するのが得意なのです。また、そういう行為が大好きでした。
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施設では、貧相な格好をした女の人が、オムツをかえてくれます。
この施設には、女の赤ん坊しかいません。働いているのも、みんな女の人。なので、オムツをかえるのも、ご飯を食べさせてくれるのも、みんなみんな女の人の役割でした。
もちろん、男の子は、男だけの施設へと送られていきます。
「いいぞ~!赤ちゃんプレイか!こういうのも、いい!!」
見た目は普通の赤ん坊でも、中身は何百年も生きてきた人間の男なのです。若い女の人にオムツをかえてもらえば、それは嬉しくなります。エロエロ大魔人のアカサタならば、なおさらのことです。
けれども、お乳は、ほ乳ビンから。決して、女の人がおっぱいを吸わせてくれるわけではありません。
「チッ…直接おっぱいからチューチューさせてくれるわけじゃないのかよ…」と、ちょっと残念そうなアカサタ。
「でも、まあ、しょうがねえか。そこまで、ワガママも言ってられねぇ」と、気を取り直します。
女の子に生まれたアカサタは、この施設で、貧しいながらもスクスクと育っていきます。やがて、出荷されていく、その日を待ちながら…




