表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

274/324

世界に広がる舌技

 街では、誰も彼もが猫を連れて歩いています。1人で何匹も飼っている欲張りさんもいます。

 もちろん、超絶テクニックの舌技を持つ猫たちに舐めてもらい、気持ちよくなるためです。


 アカサタの広めた舌技は、もはや1つの街では収まりません。

 人から人へ…いえ、猫から猫へと伝わっていき、国中くにじゅうの猫が、アカサタ伝来のテクニックで、人間たちを快楽のとりことしているのでした。

 やがて、それは1つの国では終わらなくなります。様々な国へと伝わっていき、ついには世界中に伝播でんぱしていきます。

 今や、世界中で猫は愛され、どこの家庭でも1匹ずつは飼われるようになっていました。


 それをヒントにして、他の動物にも同じようなコトをさせようとする人間も現われました。

「オイ!コラ!もっとうまく舐めろ!そうじゃない!こっちだ、こっち!」

 このようにしかったからといって、覚えるものでもありません。


 犬・猿・イルカ・ヒツジ・ブタ・牛などなど。いろいろな動物に技を仕込もうとしますが、どの動物も、猫に比べると格段におとるのです。

 それは、そうです。世界中の猫たちは、元々、アカサタが直接実戦をまじえながら教え込んだテクニックを持っているのです。人間がいくら指導しようとも、同じようにいくわけがないのでした。


         *


 そんなある日、アカサタは不思議なコトに気がつきました。

 自分の尻尾しっぽが、2つに割れてしまっているのです。


「アレ~?おっかしいな?いつから、こんな風になってたんだ?」

 猫のアカサタは、自分の尻尾を結構気に入っていました。長くて、フワフワしていて、それでいて自由自在にピシピシとムチのようにしなやかに動くお気に入りの尻尾でした。

 それが、いつの間にか、根本の部分から2つにわかれてしまっていたのです。

「ま、いっか。別に、不便があるわけでもなし」

 その時は、そんな風に、さして気にも止めませんでした。

 けれども、それは1つの前兆に過ぎなかったのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ