神隠し騒動
この頃、ウッホモランドでは神隠しの噂で持ち切りでした。
何の前触れもなく、何の証拠も残さずに、人が消えてしまうという現象が頻発します。それも、子供や赤ん坊ではありません。成人した立派な大人が消えてしまうのです。ある日、突然、ヒョッコリ姿が見えなくなって、そのまま。
テレビでも、たびたび行方不明者のニュースが流れます。
「さて、次は神隠しのニュースです。昨日、またもや行方不明者が出てしまいました。これで、今月だけでも30人。半年間で150人以上が姿を消したことになります。この現象は、田舎・都会を問わず、あらゆる地域で発生しています」
ニュースキャスターが、そう報道します。
「神だ!神の怒りだ!」
「いや、異次元の世界から化け物が人をさらっていくのだ!」
「そんなバカな。世をはかなんで、どこかでヒッソリ自殺でもしたんだろう」
そんな風に人々は話します。
もちろん、その犯人はアカサタでした。
レズビアーヌの女王様の寛大な処置により、ウィリアムスとオリバーとローズの3人は、静かで平和に暮らすコトを約束されました。
その代わりに、アカサタががんばって、このウッホモランドで若い男をさらってくるという任務をまっとうしているのです。
いえ、正確に言えば、若い男だけではありません。
筋肉隆々のガッチリした体格の男や、頭脳明晰のやさ男、経験豊富な老人まで、様々なタイプの男を連れ去ります。
女王様の好みに合わせて、次から次へと男を誘拐するアカサタ。誘拐とはいっても、同意の上。男の人の方も、女性だけの世界というのに興味津々なのでした。
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一方、こちらは女だけの世界レズビアーヌ。
女王様が好き勝手に男どもをはべらせて楽しんでいるのを、好ましく思っていない人たちがいました。それは、この世界の大金持ちたちです。
「おのれ~!女王1人だけ楽しみやがって!」
「1人だけルール違反なんてズルイわ!」
「こうなったら、アタシたちも向こうの世界に刺客を放って、男をさらってくるのよ!」
「おお~!」
こうして、大金持ちの資産家女性たちは、優秀な誘拐犯を何人も雇い、物質転送装置も量産化させて、男だけの世界ウッホモランドから、次から次へと男をさらってくるようになったのでした。
この時の行為は、後に歴史の教科書に載り、“男狩り”と呼ばれ、後世まで語り継がれていくことになります。




