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女の子を誕生させるチャンス到来!!

 それからのアカサタは、“世界生物研究所”でマジメに研究に没頭する日々を送っていました。

 もちろん、その間も、「この世界に女の子を誕生させるのだ!」と心の底で望み、そのチャンスを虎視眈々こしたんたんと狙っていたのです。


 そうして、ついにそのチャンスにめぐり会うコトができました。

「女の子を産んでもいい」というカップルが現われたのです。いや、むしろ、「女の子を産みたい!」と願ってすらいたのです。

 もちろん、男しかいない世界ですから、男性同士のカップルです。


 2人は、“ウィリアムス”と“オリバー”という2人の青年でした。2人とも、かつてアカサタと共に学業を学んだ身です。そう、あの時、一緒に高校で歴史の授業を受けたクラスメイトだったのです!

「頼んだぜ、アカサタ!オレたちは、散々悩んだ末、こういう結論に達したんだ」

「2人で何百時間も話しあって、2人の子供を作るって決めたんだ。それも、女の子をな!!」

 オリバーとウィリアムス2人にそう頼まれて、研究員アカサタも俄然がぜんやる気を出します。

 もちろん、こんなコトは法律違反です。遺伝子を操作して女の子を誕生させたアカサタはもちろんのこと、オリバーとウィリアムスも厳罰をまぬがれないかもしれません。


 けれども、アカサタには秘策ひさくがありました。

 いざとなれば、「偶然、女の子が生まれてしまった。意図してやったコトではない。これは奇跡だ!奇跡なんだ!」と言い通すつもりでいたのです。

“生まれてしまったら、こっちのもの!さすがに、この世に生を受けてしまった赤ん坊を殺すようなマネはしないだろう。まさか、そんなコトはあるまい!”

 アカサタは、そんな風に考えていたのです。


 ところが、実際には、そう甘くはありませんでした。


         *


 研究員アカサタは、オリバーとウィリアムス2人の細胞と精子を受け取り、立派な受精卵を作り出しました。その後、人工的な子宮の中でスクスクと成長していきます。

 そうして、見事に健康なあかちゃんが生まれました。それも、3人が望んでいた通り、女の子です。

 ここまではよかったのです。けれど、ここから先、アカサタが望んでいたようには進みませんでした。


 もちろん、女の子を生み出してしまった責任を問われます。

「オレのせいじゃねえ!信じてくれ!」

 アカサタは、予定通り、そう言って押し通しました。もちろん、真っ赤な嘘です。それも、真っ赤っかの大嘘です。

 でも、研究所の所長も、他の人たちも、その言葉は信じてくれました。

「ああ、わかっている。アカサタ君、これは君のせいではない。こういったコトは、時々起こるのだよ。どんなに精密な作業をしていても、わずかな確率で女の子は生まれてしまう。それは、仕方がない」

 それを聞いて、アカサタはホッとしました。

「じゃあ、この子は、無事、両親の元へ戻されるですね」

 ところが、そうなりはしません。

「いや、そうはいかん。この子は、この世界の秩序に反する形で生まれてきてしまった」

「え?では?」

「そうだ。この子は破棄せねばならない。かわいそうだがね」

「破棄~!?殺しちゃうんですか!?」

「いやいや、そうではない。古代からのおきてに従って、この世界から追放するのだ」

「つ、追放!?どこに!?」

「もちろん、女だけの世界にだよ」

 研究員アカサタは、それを聞いて、あるコトを思いつきました。そうして、この時から、心の底に新たな野望をかかげたのでした。

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