歴史の授業
高校生になったアカサタは、学校で歴史の授業を受けていました。
ヨボヨボのおじいさんである歴史の先生が、この世界が男だけになってしまった経緯を説明しています。
「ああ~ん…というわけで、かつてこの世界には“男性”と“女性”という2つの性別があったのじゃが、女性の方はあまりにも感情的過ぎたために、この世界から追放されてしまったのじゃ」
そこで、アカサタは手を上げて、先生に質問します。
「はい!先生!質問があります!」
「なんじゃね?ジョン?」と、おじいちゃん先生は、眠そうな声で応じます。
それに対して、若いアカサタは、元気ハツラツで声を上げます。ちなみに、勇者アカサタは、この世界では“ジョン”という名前で呼ばれています。
「追放された女たちは、どこへ行ってしまったんですか?」
返ってくる眠そうな声。
「フム。よい質問じゃ。どうやら、死んでしまったわけではなく、こことは別の世界が用意されておって、そこでみんなまとめて暮らしておるらしい。幸せに暮らしておるか、イザコザを起こしながら常にギクシャクしながら生きておるか、それはワシらにはわからん」
そこでアカサタは少し考えてから、また質問をしました。
「ウ~ン…でも、女のいない世界ってのは、味気ないなぁ。どうにかして、女たちをこの世界に連れ戻す手段はないんですか?」
そこで、クラスの男子メイトたちもザワザワと騒ぎ始めます。
「そうだよな~」
「僕も、その女性っていう生き物に会ってみたいな」
「昔はどうだったか知らないけれど、今なら仲良くやっていけるんじゃないか?」
口々に、そんな風に喋り出すクラスメイトたち。
それを聞いて、歴史のおじいちゃん先生は、キリッとした声に直って断言しました。
「いかん!いかん!女という生き物は非常に危険なのじゃ!せっかく、作り上げた秩序を感情論によって破壊してしまう。かつての世界も、1度はそうやって滅びかけたのじゃから!」
クラスメイトたちは、再び騒ぎ始めます。
「な~んだつまんないの」
「でも、世の中に必要なのは、多様性なんじゃないか?」
「いや~、それは危ないぜ。やっぱり、感情論は困るよな。キチッとした理論に基づいて社会を作っていかないと」
「そうだ、そうだ!聞いた話によると、女という生き物はえらく迷惑で自分勝手だったっていうじゃないか。そんな奴らが世の中にはびこってしまったら、世界がどうなるかわかったもんじゃない!」
「けどよ。女の子のいない世界って、やっぱり寂しくないか?オレは会ってみたいけどな…」
そんなクラスメイトたちの声を聞きながら、この世界でのアカサタは、ますます決心を固めていきます。
“こいつらは、本物の女というモノを見たことがない。だから、こんな風にいろいろ意見が別れてしまうのだ。実際に会ってみれば、その魅力にハマるはずだ。よ~し!こうなったら、なんとしてもこの世界に女たちを連れてきてみせるぞ!”
こうして、“かつて世界から追放されてしまった女性たちをこの世界へと連れ戻す!”という人生の目的を心の中で掲げながら、この後の人生を生きていくことに決めたアカサタでありました。




