新しい世界へ
1つの世界での冒険が終わり、アカサタは新しい世界での人生を始めることになりました。
その前に、神様はアカサタに一言、忠告を与えます。
「いいか、アカサタよ。ここから先は、いつでも終わりにできる。お前が飽きたら、そこで終わりだ。それまで、存分にその人生を楽しむがよい」
それに対して、アカサタは軽く返事をします。
「わかった。いいから、早くしてくれよ」
神様は、それを聞いて、ヤレヤレといった感じで答えます。
「そうか。では、行くがよい」
こうして、アカサタは、別の世界で新しい姿へと生まれ変わりました。
*
次に、アカサタが意識を取り戻した時、自分が赤ん坊の姿をしていることに気がつきました。
「オギャ~!オギャ~!」と泣きながら、アカサタは考えました。
“なんだ、今度は赤ん坊から始めるのか。えらくめんどくさいな~”
それから、アカサタは“ジョン”という名前を与えられ、あたたかい両親の元で育てられます。
「ジョン!ジョン!かわいいジョン!立派に育っておくれ!」
アカサタは…いや、この世界ではジョンですが、ややこしいのでアカサタと呼ばせてもらいましょう。その赤ん坊のアカサタは、父親の腕に抱かれて、そんな風に話しかけられます。
ところが、そこには1つ、おかしなコトがありました。アカサタも、すぐにそのコトに気がつきました。
両親は、父親と母親ではなく。父親だったのです。片親という意味ではありません。父親と父親、つまり両方共に男だったのです。
両親だけではありません。街の人も、この世界の人も、みんなみんな男の人ばかり。女の人など1人もいないのでした。
ただし、その格好はいろいろです。みんな、様々な服装や髪型をし、お化粧をしたりマニキュアを塗っている人もいれば、イレズミを入れている人もいます。喋り方もいろいろです。男っぽい人もいれば、実に女性らしい人もいます。共通しているのは、みんなみんな、生物学的には男であるというコトだけでした。
“やれやれ、とんでもねぇ世界に来ちまったな。神の奴に言って、さっさと終わりにしてもらおうかな?”
1度は、そんな風に思ったアカサタ。でも、結局は思い直して、もう少し続きの人生を生きてみるコトに決めました。




