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美しき女性詩人、再び現る

 それからも、何度も何度も世界を救ったり滅ぼしかけたりしながら、アカサタは自由にその人生を満喫し続けました。


 そんなある日、アカサタの前に1人の女性が現われます。

 私たちは、その人物に見覚えがあります。それは、アカサタの人生に何度か登場し、そのたびに美しい声で詩をかなででていたき通るような肌を持った女性。

 そう!詩人クリアクリスタル・クリスティーナその人でした!


「おひさしぶりね。勇者アカサタ」

 詩人クリアクリスタル・クリスティーナは、若く美しく、鈴が鳴るような声でそう語りかけてきます。その姿は、アカサタと初めて出会った時と変わらぬ美しさでした。

 けれども、そこには1つおかしな点があります。この物語の主人公であるアカサタ自身も、そのコトに気がついていました。

「クリスティーナさん。あんた一体…」

 アカサタは、唖然あぜんとして、その場に立ち尽くしてしまいました。

 そう!変わらぬ美しさ!どう考えても、おかしいはずです。だって、目の前に立っている女性は、初めて出会った時から全く年を取っていないのですから。


 しばらくの間があって、美しき女性詩人は答えます。

「私は、あなたを倒しに来た。あなたは、この世界を乱し過ぎた。あまりにもあまりにも自分勝手に世界を変え過ぎた。だから、神の使いであるこの私が制裁せいさいを与えに来たのよ」

「神の使い…!?」

「そう。私は、太古の昔より、この世界に住まい、世界の行く末を見守ってきた者。誰が何をしようが、ただずっと見守るだけ。そうやって、新しい詩を生み続けてきたの。魔王が現われた時も、それは変わらなかった。でも、アカサタ。あなたが現われて、それは変わってしまった。あなたは、限度を越えてしまったのよ」

「限度…!?何を言って…」

 美しき詩人は、冷たく透き通るような声で断言します。

「世界は自由なモノよ。誰が何をしようとも、どう変えようとも、基本的には自由。でも、それにも限度はある。世界はあなた1人が好き勝手にしていいような場所ではないのよ!まるで、おもちゃのように!」

 アカサタは、その言葉を聞いて驚きます。それから、どうにか気を取り直して答えました。

「そんな…オレは、ただ自由に生きてきただけだ。悪気なんてない。悪いコトをしていたなんて意識はコレッポッチも持ち合わせちゃいないんだ…」

 フ~ッと一息、長いため息をついてから詩人は答えます。

「そう…そうね。悪気はない。悪いコトをしている意識はない。きっと、あなたはそうなんでしょうね。その言葉に嘘偽うそいつわりはない。あなたの言葉から、それは伝わってくる。でもね、それが一番悪いコトなのよ」

「一番…悪いコト!?」

「そう。悪気のある人間は、いずれそれを直すコトができる。いつか反省する時が来るでしょう。でも、あなたにはそれがない。だから、何度でも繰り返す。同じあやまちを何度でも何度でも繰り返してしまう!たとえ、一時、反省したつもりになっても、心の底でそれを理解していないから。だから、何度でも繰り返すの。決して、心の底から変わるコトなどできはしない」

「そんなコトは…」

「そんなコトあるわ。そういう存在はね。消すしかないの。この世界から消滅させるより他にない」

「そんな…」


 驚愕きょうがくするアカサタを前に、詩人クリアクリスタル・クリスティーナは、呪文を唱え始めます。

 そうして、長い呪文を唱え終わると、異次元より空間を破って、2匹の神獣が姿を現したのでした。



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