魔王の城に集まってくる人々
それからも、アカサタは、犯罪者や犯罪まがいの行為を繰り返している者を、自分の城に呼んで住まわせました。
能力はあれども、世間からは認められない者たちです。
スプレンダー・ミリオンロウやパーレン・タートルネックのように、高学歴でありながら道を外れる者もわずかながらいましたが、大多数はそうではありません。
いかに能力が高かろうとも、まともに学校を卒業していない人たちは、高い給料で雇ってもらえないのです。また、世の中では学力ばかりが重要視され、それ以外の能力は低く見られる傾向にありました。
コミュニケーション能力や文章力などに秀でていても、あまり高く評価はされません。そういった人たちは、世をはかなんだり、うらやんだりして、人の道を外れるコトが往々にしてありました。
そうやって、ますます世間から認められない人生へとなっていくのでした。
アカサタは、そういうのを気にしません。純粋に能力のみで人をはかることができました。
腕の立つ料理人を雇い入れ、城で働く人たちのまかないを作らせます。料理人はそうやってさらに腕を磨き、世界へと飛び立っていきます。
大工や発明家やファッションコーディネーターや美容師など。未熟ながらも情熱のある者たちを手元に置き、城の中で学ばせたり、実践経験を積ませたりして、実力を身につけさせます。
そこから、思わぬ発明が生まれたり、飛び抜けた実力者が誕生したりするのでした。
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もちろん、みんながみんな、そういうわけにはいきません。情熱はあり、努力もしているのですが、一向に芽の出ない者も多くいました。そうこうしている内に、段々と負のエネルギーが溜まっていきます。
そんな時、アカサタは城の庭でバーベキューを開いたりして、活気づけます。城の近くに農場を持っていて、新鮮な肉や野菜をいつでも手に入れることができるのでした。
「これからは農業だ!農業の時代だ!一時期、農業は軽く見られていたが、これからまた見直される時代が来るぞ!」
アカサタは、そう予言します。
そうして、生きる目的を失って何もする気のなくなった若者を集めてきては、農業に従事させるのでした。
農業指導をしているのは、ポテイチという名の青年でした。
その昔、アカサタがまだ若く、勇者として活躍していた時代。銀鉱山跡の側にある街シルマイに住んでいる少年がいました。
いろいろあって、シルマイの街に住んでいた人たちは、別の土地に移住しなければならなくなってしまったのですが、少年ポテイチは移住先で立派に成長して、農業家になっていたのです。
最近は、テレビの教育番組にも出演するようになって、「初心者でも安心!畑作り!」という番組を担当しています。
その青年ポテイチが、アカサタに声をかけられて、広大な土地を与えられ、管理をまかされているのでした。
ポテイチには、ポテジという名の息子がいて、まだ10歳にも満たないのに、早くも父親を手伝って畑を耕しています。
土に触れるのが大好きな少年で、輝くような瞳で「僕は将来、お父さんのあとを継いで立派な農業家になるんだ!」と意気込んでいます。
そんな眩しいくらいに明るい少年に触れることで、アカサタの元に集まってきた心の荒んだ者たちも、同じように明るさを取り戻していくのでした。




