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世界を変える電気の力

 次に魔王アカサタが考えたのは、“電気”についてでした。

「この世界には、録画機もなければ、テレビもない。インターネットもなければ、パソコンもない。携帯電話やスマートフォンだってありゃしねえ!それもこれも、みんな、電気がないせいだ!」

 そう言って、魔王軍の研究者たちに、電気で動く電化製品の開発をさせました。


「魔王様は、ついに頭がトチ狂ってしまったのだろうか?」

「いやいや、どうやら、そうではないらしい。こことは別の世界に、電気の力で動く道具があるという話だ」

「今回は、それを実際に作ってみせろというわけか。全く難儀なんぎなことよのう」

 などと、最初は不平不満をもらしていた研究者たちですが、徐々にそのおもしろさにハマっていきます。


「ウ~ム…どうやら、電気の力で魔法と似たような効果を生み出すことができるらしい。この発想はなかったな」

「やってみると、なかなかおもしろいものだ」

「コイツは凄い!世界が一変するぞ!!」

 口々に、そう言いながら、作業に没頭していきます。


         *


 魔王アカサタは、電化製品の完成形しか知りません。

 電話やラジオやテレビや冷蔵庫やパソコンがどういう物かは知っていましたし、その使い方もわかっています。でも、「それらがどうやって作られているのか?」「どうやって動いているのか?」その仕組みまでは全く知らなかったのです。


 けれども、製品というのは、その最終的な形さえわかっていれば、意外と開発は楽なものです。

 全く何もないゼロの状態から何かを発明するというのは、非常に難しいもの。まさに、至難しなんわざ!!ところが、それが「絶対にできる!」とわかっているだけで、開発は随分(ずいぶん)と楽になるものなのです。

 しかも、アカサタは実際にその品を見たこともあれば、触ったこともあり、自分で操作したことさえあるのです。こうなると、俄然がぜん、話は違ってきます!!何もないところから物を生み出す数十分の1とか、数百分の1の労力で済むのでした。


         *


 こうして、わずか数年の間に、次から次へと新しい電化製品が生み出されていきます。

 最初は、蛍光灯けいこうとうやラジオやレコードのような単純な道具から始まり、電話やブラウン管テレビ、カセットテープや、ビデオデッキなどの少し複雑な物まで作られるようになっていきます。

 電気だけではありません。ガソリンや灯油やガスを使い、バイクや自動車、ストーブにガスレンジといったものまで生み出されていきました。

 それに加えて、この世界には魔法の力もあるのです。アカサタが元々住んでいた世界の文明と、この世界に存在している文明。2つの力が融合し、さらなる発明が誕生していくのでした。


 これにより、労働者たちの生活も、うるおい始めます。

 次から次へと生み出される新商品を生産するために、大きな工場が作られ、大勢の人々が労働者としてやとわれました。人手はいくらあっても困らないのです。


 製品の生産だけではありません。それら作るためには、資源が必要なのです。

 石炭や石油、天然ガス。魔鉱石や鉄鉱石など。世界中あちこちの土地が掘り返され、天然資源が発掘されていきます。

 それらを掘るために、また人が駆り出されました。


 最初は、ツルハシやクワなどを使って手で掘っていましたが、それもすぐに魔法や機械に頼るようになっていきます。

 さらに、魔物を改良し、人間が自由に扱えるように調教されるようになりました。それにより、重い物を運んだり、固い岩盤がんばんを掘り進んだりといった重労働を、人間の代わりに行わせることができるようになったのです。


 こうして、世界は信じられないほど急激なスピードで進歩をげていきます。いえ、そのスピードは、あまりにも早過ぎて、もはや“進歩”ではなく“進化”と表現するべきでしょう。

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