おっぱい牧場!
魔王との戦いが終わってからしばらく経ったある日。
勇者アカサタは、アルファベ国の王様に呼び出されて、お城へと出向きました。
アルファベ城は、新しく再建され、以前にも増して立派なお城となっておりました。
「世界も平和になって、このオレも今や役立たず。一体、何の用があるのだろう?」と、アカサタは不思議に思いながらも、アルファベ城の門をくぐります。
「まさか、また魔王が現われたんじゃないだろうな…」と、1人、呟きながら歩くアカサタ。王様と大臣の待つ“謁見の間”へと通されます。
そこには、ニコニコ顔の王様と大臣が立っていました。
「やあやあ、アカサタ君!よく来てくれたね!」と大臣は、満面の笑みで迎えてくれます。
王様の方も、ご機嫌で、こう語りかけてきます。
「随分と遅くなってしまったが、本日は、そなたに褒美を取らせようと思うてな」
「褒美?何の褒美ですか?」と、勇者アカサタは尋ねます。
「もちろん、魔王を退け、魔物たちを排除し、世界に再び平和をもたらせてくれた褒美だよ!」と、大臣の方が答えます。
「…とは言っても、魔王はまだ生きているわけですし。いつ何時また襲ってくるかもわかりませんよ」
アカサタのその言葉は、即座に否定されます。
「その時は、その時!またアカサタ君が守ってくれるのだろう?」
大臣の言葉に、アカサタもうなずくしかありませんでした。
「は、はあ。まあ…」
“なんだか怪しいな…”と思いつつも、アカサタは、その褒美とやらを受けることにしました。
「で、褒美って何ですか?爵位とか、勲章とか?それとも、使い切れないほどのお金?」
アカサタの質問に、今度は王様の方が答えます。
「もちろん、そのようなものを望むのであれば、それも与えよう。だが、今回は、もっとよいモノじゃよ。そなたが以前から手に入れたいと切望しておったものじゃ」
「以前から、切望していた?何だっけ?」
勇者アカサタが疑問に思っていると、王様が手を叩いて合図をします。
「さあ、入って参れ!」
すると、王様の声に従って、何十人もの女性が部屋の中へと入ってきました。
それも、様々な姿をした美女ばかり。肌の色から年齢・髪型・体つき・服装、みんな違っています。表情から察するに、性格もやさしそうな人からキツそうな人までいろいろです。
「ウッヒョ~~~~~~~!!!!!」と、勇者アカサタは思わず声を上げました。
「これらの女は、今よりそなたのものじゃ。好きにするがよい。この城の隣に、専用の豪邸も建てておいた。そこに住まい、不足の物があれば、何でも申し出よ。大抵の物ならば、揃えられるであろう」
王様に、そう言われて、アカサタはデレッデレです!
「ありがとうごじゃいま~~~す!!本日より、わたくし、王様の側に住まわせていただきます!ピンチの際には、お申し付けを!不肖勇者アカサタ、すぐにでも駆けつけて、粉骨砕身働かせていただく所存にございま~す!!」と、アカサタは舞い上がって答えました。
こうして、勇者アカサタは、アルファベ城の隣に専用の“ハーレム館”を手に入れて、おもしろおかしく愉快に過ごすことになったのでした。
まさに、以前からの夢であった“おっぱい牧場”を実現したわけです。
*
勇者アカサタと数十人の女性たちが謁見の間を去ると、王様と大臣は2人でコソコソと会話を始めます。
「本当にこんなものでよかったのじゃろうか?」
「大丈夫ですよ、王様!アカサタのあの表情を見たでしょう?これで、あやつは、我々の思うがまま。“手駒”のようなものです。少なくとも、この国に反旗を翻したりはしないでしょう!」
「だといいのだが…」
王様は、それでも不安そうです。
今や、勇者アカサタは、世界最強にも等しい力を手に入れた化け物のような存在となっていました。
一声かければ、能力を持った者たちも大勢集まってくるでしょう。
反乱を起こせば、一国を転覆させることだって、充分に可能なはずです。
本人は、その力の大きさ・その意味について、あまり深く考えていないようでしたが、アルファベ国の王様と大臣は、重々承知していました。
なので、こうやって、アカサタのご機嫌取りを行っていたわけです。
さて、このような行為が実際に役に立つのでしょうか?