フワリン、大活躍!!
さて、新しい魔法フワリンを身につけた勇者アカサタは、さっそく、その威力を試してみたくなりました。
そのために、街の繁華街へと出かけていきます。
「いた!いた!ウヨウヨいやがる」
そんな風に呟くと、建物の陰に隠れて呪文を唱えます。
「フワリン!」
すると、道行く女性のスカートがフワ~ッとめくれ上がりました。
「オッシャ!!いけるぞ、これは!!」
アカサタはそう言うと、次から次へとフワリンの魔法を放ちます。
「連続攻撃だ!フワリン!フワリン!フワリン!」
近くを歩いていた女の子のスカートがフワ~ッ。あっちのお姉さんのスカートもフワ~ッ。こっちのお母さんのスカートもフワ~ッ。道の向こう側のおばあさんのスカートもフワ~ッ。
「いや~ん」
そう、おばあさんが声を上げます。
「チッ!!ババアは関係ないんだよ、ババアは」と、アカサタは悔しがります。
なんだか魔法の習得スピードがえらく早いと思ったら、こういうコトだったんですね。
“好きこそ物の上手なれ”とは、よく言ったものです。好きなコトには、みんな全力を集中させて取り組むもの。だから、急激に成長できたりもするのです。
ただし、勇者アカサタは、それをエロい方向にしか発揮できないみたいですけど…
こうして、街中の女性のスカートをめくれ上がらせていく勇者アカサタ。
「いやねぇ、今日はえらく風が強い日ね。アレ?でも、今は止まってる。どこから吹いてきた風なのかしら?」
などと、スカートをめくられた女の人たちは、みんな不思議がっています。
「ゲヘヘヘ!これはいいぞ!思った通りだぜ!異世界最高!魔法様様だね!!」
調子に乗り、子供のようにはしゃぎ回る勇者アカサタ。そこに、突然、攻撃を食らってしまいました。
ボコリ!
いきなり、勇者アカサタは強烈な勢いで頭を殴られてしまったのです。
「なにやってんのよ!あんた!!」
女勇者ハマヤラの登場です。
「いや、なに…ちょっとばかし新しい魔法の試し撃ちを…」
「やるんだったら、モンスター相手にやりなさいよ!」
「いや、これ、そんな化け物には通用しねぇし。人間専用の能力だから。それも、スカートをはいてる女の子にしか使えねぇ魔法だし」
「だったら、もっと役に立つ能力を覚えなさいよ!これ、犯罪よ!犯罪!」
ボコリ!ボコリ!ボコリ!
女勇者ハマヤラは、そう叫びながら勇者アカサタに向って連続攻撃を食らわせます。
「わかった!わかったから!もう、しね~から!許してくれって!!」
さすがのアカサタも反省したようです。
「まったく、もう。あんた勇者よりも、魔王側の方が向いてるんじゃないの?それも、魔王とか幹部じゃなくて、下っ端の役。小ズルイ悪さばっかりして、真っ先に勇者のパーティーに倒されるようなヤツ。ああいうのに向いてるわよ!!」
「ま、そうかもな。オレも薄々気づいてはいたんだが、勇者なんかになるよりも魔王軍につくべきだったよな…」
「バカ!さっきのセリフは、『そんな風になるな!』って言ってんの!そのまま受け取ってどうすんのよ!」
「すいましぇ~ん…」
と、反省しているのか反省していないのか、よくわからない勇者アカサタなのでありました。