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四天王の1人、愛のウエスタニア

 ここに1人の女性がいます。彼女は、若くして天才魔術師とうたわれ、かつて賢者アベスデのもとで厳しい修行の日々を過ごした勇者の1人でありました。

 現在の名は、ウエスタニア!魔王を支える4本の腕の1本!四天王の1人、愛のウエスタニアであります。


 見た目は、まだ若く、20代前半かそこらにしか見えません。

 実際の年齢は…まあ、彼女も女性なので、黙っておきましょう。


 ウエスタニアは、勇者アカサタたちの軍勢が、自分の所へと迫ってきているコトに、気がついていました。

 そうして、すでに戦いの準備を終わらせていました。

「さあ、来い!いつでも、来い!準備は万端よ!」と言わんばかりの勢いです。


 …とはいえ、気持ちが高ぶってばかりでもいけません。

 心を落ち着けるために、熱いコーヒーを1杯、ブラックで飲み干します。

「ふぅ…いよいよ、戦いの時ね。魔王ダックスワイズ様についてから、どれ程の時が過ぎたでしょう?魔王様のかかげる理想を実現するために、ここまでやってきた。そのために邪魔になる者は、皆、倒してきた」

 そんな風に、愛のウエスタニアは、1人でつぶやきます。

「あの勇者アカサタは、魔王様に殺すなと言われている。けれども、他の者たちは違う。私たちの理想を邪魔する者がいるならば、それが誰であろうと関係ない!この世から消すのみ!」

 などと、ぶっそうなコトを叫んでいるウエスタニア。


 そこへ、配下の魔物がやって来て、言います。

「ウエスタニア様、奴らがやって参りました」

「来たか!」

 スクッと立ち上がると、ウエスタニアは、その手に得意武器である弓と杖を持ち、戦場へと向いました。


         *


 上空には、巨大なドラゴンの姿が。暴れ竜リベロ・ラベロです。

 その下を勇者アカサタの引き連れた軍団が進んでいきます。今回は、アルファベ国や近隣諸国の軍隊も一緒です。

 ザッザッザと気持ちのよい足音を立てながら、兵士たちの列が進んでいきます。


 もちろん、他のメンバーも一緒です。

 勇者アカサタ、女勇者ハマヤラ、賢者アベスデを始めとして、炎系の魔法の使い手スカーレット・バーニング・ルビー、ゲイル3兄弟、ハープ奏者パールホワイト・オイスターの姿も見えます。

 さらには、女海賊マリン・アクアブルーと、その父親フィヨルド・アクアブルー、その家族・親戚を中心とした海賊たち。“ここが決戦の時!”と、普段は漁をしたり海の魔物を退治して回っている海賊たちも駆り出されたのでした。


「ガハハハハ!未来の婿殿むこどのと一緒に出陣か!これは腕が鳴るな!いいところを見せねばな!」

 などと、海賊団団長のフィヨルド・アクアブルーが言っています。

 それに対して、「だから、結婚する気はね~って!」とツッコミを入れる勇者アカサタ。

 これから、血で血を争う戦いが始まるというのに、随分とゆとりがあるようです。


 そうして、たどり着いたのは、巨大な城塞都市でした。いえ、かつて、そうであったというべきでしょうか?古代の城塞都市が、今は打ち捨てられ、人の住まぬ廃墟と化しています。

 そこへ、魔王の配下の者たちが住み着き、“魔物の生産工場”として利用しているのです。


 街は廃墟となっているとはいえ、高い塀に囲まれています。簡単には、乗り越えられそうにありません。

 正面の門は、固く閉ざされ、とても開きそうにありません。


 そうこうしている内に、塀の上に数え切れないほどの兵士の姿が現われました。

 ゴブリンやオークなど、人型の魔物の軍勢です。手に手に弓矢を持ち、アカサタたちの軍勢に向って攻撃を開始してきます。

 ヒュンヒュンと音を立てながら、勢いよく飛んでくる無数の矢。

 アカサタの連れてきた兵士たちは、大きな盾を使って、それらの攻撃を防ぎます。


 通常ならば、これだけでも、相当不利な状況です。

 けれども、今回は巨大な竜リベロ・ラベロを従えているのです。暴れ竜は、兵士の群れ上空を飛び越えると、簡単に城塞都市跡の壁へと到達します。

 そうして、その長く重い尾で強烈な一撃を繰り出します!!


 ドッゴ~ンという音と共に、正面の木製の門と、壁の一部が吹き飛びました。

「それ~!皆の者、突撃じゃ~!!」

 勇者アカサタの号令に従って、壁の内側へと雪崩なだれれ込んでいく勇者の軍勢!!

 こうして、いよいよ本格的な戦闘の幕が切って落とされたのです。

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