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ひさびさに、砂漠での戦闘

 勇者アカサタたち冒険者の一行は、軍事都市グロシュタットの西にあるデザートローズ砂漠へとやって来ていました。

「懐かしいな。昔、この辺りで荒稼あらかせぎさせてもらったもんだけど…」と、勇者アカサタは感慨深かんがいぶかそうに語ります。


 この辺りの魔物は、世界の中でも特に凶悪化しており、冒険者にとっても、完全に上級者向けの地帯と化していました。

 かつて、アカサタたちが、商人を護衛して渡っていた頃に比べても、格段にレベルが上がっています。

 もちろん、今のアカサタにとっては、そこまで苦戦するようなコトはないでしょうが。


         *


 一行が、砂漠に足を踏み入れると、さっそく敵が襲ってきました。

 巨大で、長い胴体を持った虫、サンドワームです。

 樹齢何百年にもなるすぎの大木のような胴体を持ち、それが何十メートルにも渡って伸びています。しかも、以前に出会ったタイプとは違っていて、全身がはがねよろいのような外骨格でおおわれています。

 名前をつけるならば、“メタルサンドワーム”とでもいったところでしょうか?


 アカサタが従えてきた兵士の一団が、試しに普通の矢を放ってみますが、全く通用しません。全て、その固い鎧に跳ね返されてしまいます。

「グロシュタット製の、最新の矢なんだけどな~」と、兵士の1人が“まいったな…”という顔をしながら、ボヤきます。


 それを見ていた魔術師たちが、次々と呪文を唱え始め、兵士たちの武器を強化していきます。

 炎や光の力を付加された矢が、ヒュヒュヒュヒュ~ンとこぎみよい音を立てながら飛んでいきます。


 今度は、効果があったようです。次々と、メタルサンドワームの体へと突き刺ささる矢。

 けれども、あまりダメージにはなっていないようです。全く苦しむ様子もなく、メタルサンドワームは、冒険者たちへと向っていきます。

 その巨体に跳ね飛ばされる多くの兵士。もちろん、勇者アカサタなど、戦闘慣れした者は、その攻撃を軽々と避けています。


「新しい魔法を試してみようかしら?」

 そう言うと、女勇者ハマヤラは、呪文を唱え始めます。

 それは、賢者アベスデから教わった新呪文“影縛かげしばり”の魔法でした。


 この魔法は、太陽が照っている時にしか使用できませんが 数秒間、敵をその場に釘付くぎづけにすることができます。

 その影が濃ければ濃いほど、効果を発揮しやすく、動きを止める時間も長くなっていきます。


 太陽は、今まさに、真上からサンサンと照りつけています。

 メタルサンドワームは、自らの巨体で作り出した影により、身動きが取れなくなってしまいました。

 その瞬間、兵士たちが一斉に飛びかかります。手にした斧や槍の攻撃により、敵の固い鎧を引きはがしていきます。

 いくら強靭きょうじんな防御力を誇るメタルサンドワームとはいえ、一点を集中して攻撃されては、たまりません。

 さらに、露出した中身に向って、勇者アカサタが、“稲妻の槍”による一撃を加えます!強烈な突きにより、串刺しになるメタルサンドワーム。

 間髪入かんぱついれずに、魔術師たちが、同じ場所に向って、炎や氷や雷などの魔法を叩き込みます。


 ドド~ン!という大きな音と共に、巨大な長虫ながむしの体は崩れ落ちます。

 しばらくの間、その場でビクンビクンと動いていましたが、やがて静かになり、全く動かなくなってしまいました。


         *


 その後も、何日か、同じような戦闘が続きました。

 勇者アカサタたち冒険者の一行は、それほど苦労することもなく、敵をなぎ倒していきます。


 そうして、砂漠の真ん中、ある地点まで到達すると、賢者アベスデが呟きました。

「ここじゃな…」

 アベスデが、“魔法解除の呪文”を唱え始めます。

 すると、それまで何もなかった砂地に、突然、大きな宮殿が姿を現したのでした。

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