炎系魔法の使い手、スカーレット・バーニング・ルビー
ある夜、冒険者たちが酒場に集まって、酒盛りに興じていました。
昼間のモンスターとの戦闘の疲れを癒すために、ヤンヤヤンヤと盛り上がっています。
勇者アカサタも、その場に居合わせていました。
そうして、得意の芸を披露しています。
「はい!みなさん、ちゅうも~く!」
勇者アカサタが、そう叫ぶと、酒場中の人々の視線がそちらに注がれます。
「なんだ?なんだ?」と不思議がる人々。
酒場の主人は、「なんだ、またかよ…」みたいな顔をしています。
「オレもついに、魔法が使えるようになりました~!炎の魔法で~す!」
そう叫んだ勇者アカサタの声に反応した女性がいます。炎系魔法の使い手、スカーレット・バーニング・ルビーです。
「あたしと同じ、炎の魔法の使い手か。どんなものか、ちょっと見てやろうかな?」
スカーレット・バーニング・ルビーは、そんな風に思いました。そうして、勇者アカサタが放った魔法に驚愕しました。物凄い威力です。
その威力の大きさに驚いたわけではありません。全く逆!その威力の小ささに驚いたのです。
勇者アカサタは、覚えたばかりの炎の魔法に“マッチ”という名前をつけていました。
「マッチ!」
そう叫ぶと、名前の通りマッチでつけた程度の火が起こりました。
「な~んだ、そりゃ~」
「くっだらねえ」
「いい加減にしろよ、テメ~!」
などといった声が酒場中から飛んできます。
けれども、みんな、本気で怒っているわけではないのです。親しみを込め、笑いを含んだ言い方でした。
実のところ、みんな、勇者アカサタのコトが好きだったのです。なんだかおかしな奴だなと思いつつも、憎めない奴なんだよな~と、心の中では思っていたのです。
スカーレット・バーニング・ルビーも、そんな中の1人でした。
「こりゃあ、戦闘では役に立ちそうにないな」
などと苦笑しながらも、おもしろい奴だなと、認めてもいたのです。
けれども、スカーレット・バーニング・ルビーを含め、酒場のみんながほんとうに驚くのは、これからでした。
「待った!待った!待った!新技は、こっからよ!!」
勇者アカサタは、そう叫ぶと、次の技を披露しようと準備を始めます。
何を思ったのか、腰をかがめ、お尻を天井に向けて高く突き出すと、再びマッチの魔法を放ちました。しかも、このようなセリフと共に!
「マッチ・ヘ・ボンバー!!」
すると、その瞬間、ボンッ!という音と共に、先程の何倍もの大きさの炎が立ち上りました。同時に、酒場中に嫌な臭いが立ちこめました。
ここで、読者の皆様には、解説をしなければならないでしょう。
“マッチ・ヘ・ボンバー”とは、勇者アカサタが自らのお尻から放ったオナラに、火をつけるという危険極まりない技なのです!
その威力は、マッチの数倍。時には、オナラの大きさに応じて、10倍以上の威力となります。ただし、勇者アカサタのお尻の穴をもヤケドさせてしまう可能性もある諸刃の剣なのでした!!
「くっせ~!」
「きったねぇな!何しやがる、コイツ!」
「いい加減にしやがれ!」
「さっさと、こっから出ていきやがれ!!」
酒場中が、そんな罵詈雑言の嵐と化しています。今度は、本気で怒っている人までいます。
けれども、そんな様子を一通り見ていたスカーレット・バーニング・ルビーは、勇者アカサタのことを、ますます気に入ってしまいました。
そうして、自分の側に呼び寄せて、こう言い放ちました。
「おっもしれえな!オメエ!」
さらには、アカサタと肩を組んだり、抱き寄せたりし始めます。もちろん、スカーレット・バーニング・ルビーの胸は、アカサタの顔に当たっています。
その瞬間、勇者アカサタの特殊能力が発動しました!
ピキ~ン!!
「このおっぱいは、かなりのデカさ!金属製の胸当ての上からでもハッキリと感じられる。しかも、弾力性がある。たとえるならば、水風船。このお姉さんには、モチモチとした感触の水風船が2つ胸についている。今後は、“水風船おっぱいお姉さん”と呼ばせてもらおう」
これは、アカサタの心の声。
勇者アカサタは、服の上からでも、女性のおっぱいが、どの程度の大きさをしているか把握する能力を持っているのです。大きさだけではなく、その形状・弾力性まで。
しかも、間接的にとはいえ、これだけの近距離で顔に触れているのです。スカーレット・バーニング・ルビーのおっぱいがどのようなものであるのか、アカサタにわからないわけがありません。もはや、金属製の胸当てなど、紙切れ1枚の役割に過ぎませんでした。
こうして、スカーレット・バーニング・ルビーと勇者アカサタの2人は意気投合し、その日は夜明け近くまで飲み明かしたのでした。
今後、2人は姉弟のように絆を深め合うこととなります。




