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沼の主との戦闘

 何日も何日も湿地帯を歩き回り、勇者アカサタたちは、ついに魔物たちが発生する大きな鏡を発見しました!

 なんと、魔物の鏡は、沼の中に沈んでいたのです!!


 冒険者の一行は、魔物が頻繁に発生する場所を重点的に調べてみたのですが、結局、最後は賢者アベスデの力を借りることになってしまいました。

 アベスデは、小魚やナマズ、イモリといった水棲すいせい生物を魔法で操ると、沼の中を探索させました。そうして、巨大な鏡を発見したというわけです。

「戦闘能力はボチボチ上がってきたが、この手の魔法はまだまだじゃな。こういった、一見地味に思える能力も、なにかと役に立つものじゃよ。暇を見て、覚えてゆくがよい」

 そう、賢者アベスデは語ります。


         *


 それから、勇者アカサタたちは、鏡の引き上げ作業にかかりました。

 すると、突然、地面が揺れ始めます。水面は揺れ立ち、いくつもの波紋が生じます。

 そうして、沼の中から1匹の巨大なカメが姿を現しました。


 少女ラズリー・ラピス・ラビアは、それを見て大喜び!!

「カメだ!カメ!それも、あ~んなに大きなカメさん!カ~メ、カメ、カメよ~♪カメさんよ~♪」と、ご機嫌で歌っています。

 さっそく、スケッチブックとエンピツを取り出すと、物凄いスピードでエンピツを走らせるラズリー・ラピス・ラビア。


「我が名は、ロネック。魔王様につかえし、8大魔神が1つ」

 大ガメは、そう自己紹介をすると、攻撃を開始してきます。


暴風雪ぼうふうせつ!!」

 

 巨大なカメであるロネックがそう叫ぶと、突然、辺りに強烈な突風が吹き始めました。

 それも、ただの風ではありません。大雪をともなった暴風なのです。周囲は、みるみる雪に埋もれていきます。


 “ハード・エア・ウォール”の魔法によって、周囲を固い空気の壁に守られたラズリー・ラピス・ラビアは別として、冒険者たちの体には、瞬く間に雪が降り積もっていきます。

 このままでは、アッという間に雪だるまになってしまうでしょう。


「ウォーム・エア・ウォール!!」


 炎系の魔法の使い手スカーレット・バーニング・ルビーが、呪文を唱えます。その途端、勇者アカサタの周りを暖かい空気の壁がおおってくれました。

「ありがてえ!これで、充分に戦える!」

 そう叫ぶと、アカサタは巨大なカメに向って突撃していきます。けれども、慌てて走り出したために、雪の降り積もった沼に足を取られ、転んでしまいました。

 そのまま、冷たい沼の中にボッチャ~ン!


 あちこちで、同じ魔法を唱え始める魔術師たち。

 暖かい空気の壁に守られて、活動を開始する戦士やアーチャーたち。

 そんな中、ラズリー・ラピス・ラビアは、「こんなチャンスは、2度とない!」とばかりに、懸命にエンピツを動かし続けています。


 勇者アカサタは、沼の中で、どうにか体勢を立て直すと、急いで岸へと上がってきました。

 その間に、弓を構えたアーチャーたちからいくつもの矢が放たれます。けれども、吹きすさぶ猛吹雪もうふぶきの中、真っ直ぐに矢は飛んでいきません。

 そこに、女勇者ハマヤラの魔法が発動します。


「スターアロー!」


 光の力で強化される弓矢。

 今度は、風をものともせずに、矢は一直線に飛んでいきます。

 ストトトトン!という音と共に、大ガメ、ロネックの体に、次々と突き刺さります、それでも、固い甲羅こうらに守られて、ダメージは全く与えられていないようです。


「これは、結構、手強てごわいわね」

 そう言ったスカーレット・バーニング・ルビーの元へ、何かが飛んできます。

 それは、ロネックが口から吐き出した唾液だえきでした。ネバネバとした液体に体を包み込まれて、身動きが取れなくなってしまいました。

「イヤ~ン!なにこれ!?気持ちわる~い!」

 そう叫びながら、懸命に唾液をはがそうとする、スカーレット・バーニング・ルビー。

 残念。これでは、しばらくの間、戦闘には参加できそうにありません。


 次から次へとネバネバした液体を飛ばし、冒険者の動きを止めるロネック。かなりの命中精度です!

 その間に、沼から“ワニの化け物”や“沼ゴブリン”が現われて、動きの取れなくなった冒険者たちに攻撃をしかけてきます。


「やれやれ、これは、なかなか厄介やっかいじゃな…」

 そう呟く賢者アベスデの横では、この激しい戦闘のさなかも、絵に没頭し続けるラズリー・ラピス・ラビアの姿があるのでした。

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