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リベロ・ラベロの住み家

 アカサタたち一行は、暴れ竜リベロ・ラベロの住み家を目指して、馬に乗って進み始めました。

 今回は、少数精鋭です。勇者アカサタと女勇者ハマヤラ。賢者アベスデにスカーレット・バーニング・ルビー。それに加えて、オベベ村の“ナイジール”という若き戦士が道案内についてきています。

 リベロ・ラベロが襲ってくるのを待っていてもよかったのですが、それだと、どこの村や街に現われるのかわかりません。それで、直接、相手の元を訪れることに決めたのでした。


 リベロ・ラベロが住んでいるのは、ヌーメア平原の真ん中に空いている巨大な穴の中です。

 どこまで続いているのかわからないほど、深い深い穴。普通の人間たちが訪れるにしては、危険過ぎる場所。けれども、今回は賢者アベスデもついてきてくれています。イザとなれば、瞬間移動系の魔法で、ピュ~ンと飛んで帰ればよいのです。

 ただし、1度に多くの人は運べません。それで、メンバーを絞って、少数でやって来たのでした。


「えらくへんぴな場所に住んでるものなんだな~」と、勇者アカサタ。

 それに対して、女勇者ハマヤラが、こんな風に答えます。

「ま、そこはドラゴンだから。別に、交通の便のいい、にぎやかな都会に住む必要なんてないでしょ」

「そりゃ、そうか」と、アカサタも納得します。


         *


 オベベ村の若者ナイジールに従って、馬を走らせる一行。数時間も進むと、やがて、巨大な穴の前まで到着しました。馬は、ここに置いていきます。


 その後は、賢者アベスデと女勇者ハマヤラの唱えた“飛行の魔法”で宙に浮くと、ゆっくりと穴の底へと降りていきます。

「でも、この任務、失敗したら、どうするの?余計に、相手を怒らせるだけじゃない?」と炎系の魔法の使い手スカーレット・バーニング・ルビーが、穴の中へと深く深く沈んでいきながら尋ねます。

「まあ、1度、敵の姿を確認しておくだけでも意味はあるじゃろうて」と、賢者アベスデが答えます。


 上空には、今、やって来たばかりの穴の入り口から、太陽の光が注ぎ込んでいましたが、その光も徐々に届かなくなってきます。それにつれて、段々と気温も下がってくるのがわかりました。

 辺りが闇に包み込まれる前に、おのおのタイマツを取り出して火をつけます。


 ここまでの道中、特に魔物に出会うコトはありませんでした。

 どうやら、この辺一体は、かなり平和なようです。あるいは、暴れ竜リベロ・ラベロに、魔物も喰い尽くされてしまったのかも知れません。


 そうこうしている内に、やがて、全員が最下層へと到着しました。

 ゆっくりと地面に着地します。着地の際には、ほとんど音もしませんでした。


         *


 穴の中を少し進むと、そこには巨大な1匹の竜が身を丸めて眠っていました。暴れ尽くして、疲れてしまっているのでしょう。

 けれども、一行が近づいてきたのを察知すると、竜はゆっくりとそのマブタを開いていきます。

 そうして、眠そうな声でこう話しかけてきました。


「人間どもが、やって来たか…」


 それに対して、賢者アベスデが尋ねます。

「竜よ!大いなる翼を持ち、この世界を滅ぼすとも言われておる偉大な竜よ!なぜゆえに、人々を苦しめ、破壊行為に走るのか?」

 暴れ竜リベロ・ラベロは答えます。

「お前らにはわからんよ、この心境は…」

 それは、意外と落ち着いた声でした。この辺一体を暴れ回っているとは信じられないほどに。


 魔物にも様々な種類が存在します。

 言葉を話す者もいれば、そうでない者もいます。その種族間同士でしか通用しないような言語や叫び声で意思の疎通をはかるタイプもいますが、高度な知能を持った者は人間の言葉も話します。

 ドラゴンというのは、かなり高い知能を持った種族です。例外はあれども、基本的に人間の言葉を話すコトは可能です。リベロ・ラベロも、当然のように人の言葉で会話してきます。


 今度は、女勇者ハマヤラが尋ねます。

「魔王のせいなの?魔王に命令され、それに従って動いているの?」

 今度はバカにしたように、リベロ・ラベロが答えます。

「魔王?魔王だと?フン。このオレは、誰にも従ったりはせぬ。従うのは、自らの意志のみ。自由に生き、自由に暮らし、自由に死んでゆく。それだけに過ぎぬ。誰も、このオレを従わせたりはできぬ」


「では、なぜ、急にあたしたち人間を襲い始めたの?」と、今度はスカーレット・バーニング・ルビーが質問します。

「それも自由よ。全ては自由意志にもとづいて行われる。このオレが、どう生きようが、何を破壊しようが、それは自由ではないかね?」

 その言葉を聞いて、勇者アカサタが、こう言い放ちます。

「ケッ!結局、自分勝手でワガママなだけじゃねーか!」

 その瞬間、暴れ竜リベロ・ラベロは、半分眠そうだった目をカッと見開いて答えました。

「そうよ!その通りよ!自分勝手でワガママで!そういう生き物よ!ただし、それは誰もが同じだとは思わんかね?魔王も、その軍勢も、小僧!お前ら人間もな!」

 その声には迫力があり、威圧感が込められていました。けれども、同時に、どこか楽しげでもありました。

 それを聞いて、勇者アカサタは、さらに軽口を叩きます。

「お前が、世界を暴れて回るのが自由なら、この勇者アカサタ様がお前を倒すのも自由ってわけだ?」

 すぐに、女勇者ハマヤラが、それを制します。

「やめなさいよ!アカサタ!私たちは、ケンカしに来たわけじゃないんだからね!あくまで、話し合い。戦わずに済む方法を見つけるために来てるの!」


 けれども、暴れ竜リベロ・ラベロは、さらに楽しさを増したような声で答えます。

「小僧!勇者アカサタとか言ったな?お前の言う通りだ。このオレが何をするのも自由なように、お前が何をするのも自由。もちろん、このオレを倒そうとするのもな。世界は、そんな風にできておる。誰が何をするのも自由。ただし、実際にそれが達成できるかどうかは、別の問題だがな」

「おもしれえ!じゃあ、いっちょ試してみるか!?」と、アカサタはさらに挑発します。

「やめなさいって!」

 スカーレット・バーニング・ルビーも止めに入りますが、時すでに遅し。暴れ竜リベロ・ラベロは、突然、起き上がると、サッとその口に勇者アカサタをくわえ、そのまま飛行体勢に入り、ジェット機のように飛び立ちます。

 そうして、瞬く間にその姿は見えなくなってしまいました。

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