補足解説
これは完結後に見ることを前提に考え、書かれたものです。
ネタバレが多分に含まれておりますので、目を通すのは本編読了後をおすすめいたします。
●欲ノ蟲
色ノ蟲、食ノ蟲、睡ノ蟲に分かれている。彼らは性欲、食欲、睡眠欲に酷似した欲求を有している。これらは本来、一体の生物であり、人間に擬態して生活していた。それを久東家の先祖が研究。三体が一つになっている状態である時、不老不死に極めて近い状態だという結論を出す。さらに分離しても一つの生物として生き続けられることを明らかにする。しかし、分離した欲ノ蟲からはその不死性が失われていた。加えて、三体揃った状態でも不老不死を維持するためには成熟したいずれかの個体を共食いすることが必要であることが判明する。
欲ノ蟲の繁殖方法はシンプルであり、他の種を孕ませることである。これはある程度の大きさの種である必要があり、大型の犬程度の大きさがあれば可能である。本来は全てが同一の種であるらしく、生殖は色ノ蟲が行い、卵は十個前後。他生物の体内か、それと同等の環境で保管しなければそれらは死滅する。
成体になるまでの欲ノ蟲は他生物の体内で生活する。その際、三種に分かれる。同一の身体に複数体が寄生することはない。一つの個体が寄生すると、他の欲ノ蟲及びその宿主が体内に混入させると即死する物質を宿主の体内に作り出す。その物質は宿主の体内で孵化した時に発生するものであり、成体に近づくにつれて失われていく。その液体は他生物にとってはある種の毒物であり、体内に侵入するとその生物の欲求と思わしき欲を掻き立てる。宿主には一際その影響が強く出るようである。
欲ノ蟲の完全個体を生存させるためにはいくつかの個体を育成する必要がある。ただ、人間に擬態している生物であるためか、人間の体内でなければ正常な形で育たない。正常な形で育たなかった場合、欲ノ蟲は体外に身を晒した時点で即死する。その宿主ごと、とも考えられたが、そのままの状態で同種を取り込もうという動きは全く見られなかった。
不老不死の研究と称し、魅上家、牙持家、幻夢川家から協力を得る。不老不死の効力が失われる、十年前後の周期で宿主の提供。これにより、欲ノ蟲の一個体を研究対象として生かして置くこととなった。
●主ノ蟲
欲ノ蟲とは全くの別個体。欲ノ蟲の毒を無効化することから無関係ではない。この宿主の体液を欲ノ蟲の宿主の体内に混入させると、欲ノ蟲は即死するが、その際かなりの抵抗があるため、宿主のその周囲の器官はずたずたに引き裂かれる結果となっていた。この正体はある種の願望機であり、宿主の欲求を受け、現実的に不可能だと思われる現象を容易く引き起こすことが出来る。ただし、宿主の存在性を削る。
主ノ蟲が欲ノ蟲に対して対抗するような性質を有するのは誰かが欲ノ蟲に対する力を願った結果である。つまり、箱庭の世界を見つめる久東錬次の世界を見つめる何者かの、主ノ蟲が存在しなかったものの、また別の願望機を得ていた何者かの願いの形であった。
世界には時折支配者を決定するための願望機、それに準ずる何かが置かれている。
●蟲床、争い
いつしか欲ノ蟲の宿主は蟲床と呼ばれるようになっていた。不老不死を巡って争うというのは長い年月が流れ、曲解されていった結果である。残った蟲床が不老不死になり、大爺様という名の欲ノ蟲の完全体のいる蔵で暮らすというのが名誉なのだと信じてやまない狂信者がそれぞれ、御三家の大元にいる。
幻夢川家だけはある事件のため、幻夢川睡郷だけがその家の生き残りである。
基本的にそれぞれの家は身寄りのない孤児、また、縁のある家から養子として迎え入れるという形を取っていた。その方法は多少強引なものもあった。
争いが起こるようになってから蟲床を守護するために守人という役職を設けることにした。それには十分鍛えられた人間が付き、蟲床を守った。基本的に恋愛感情を持つことは禁じられている。
●外部からの手が加えられない世界
久東錬次(外部)の手が入らなかった場合の世界の違い。
・幻夢川睡郷が家での事件に巻き込まれ、西條家に対して恨みを持つ。協力関係などが最初から破綻した状態でスタート。(anotherにて)
・久東錬次(内部)の戦力が皆無であり、何も出来ない状態。起こっていることを何一つ把握しないままに戦いが終結する。勝者は牙持家。蟲床は二名死亡。
・西條瑛悟は暴走しない。
・久東結果の力は終始錬次を守るために使用される。それぞれは微量であるため、消滅はない。
・久東結果から主ノ蟲についての情報を最後に得る。世界をやり直す選択をする。
といった具合でした。




