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プロローグ

2012.6.8

 当初この作品は一人称と三人称の混ざった混在称で執筆してきました。

 けれども別の作品で同様の書き方をした場合、登場人物が多いと主人公の視点に長い間戻ってこれないという致命的な欠点に気付き、改稿することにしました。

 そのため、新しく改稿したこの作品は全部三人称で書かせていただきます。


2012.8.15

 本日、全ストーリーの修正が完了しました。

 一応の予定では小学館ライトノベル大賞にこの作品を応募する予定です。

 なので9月1を過ぎたら何らかのアクションを起こすかもしれません。

 例えば全削除とか。

 なので早めにUPしていくので早めにお読みください。

プロローグ


 月明かりに照らされた夜道。そこは人通りも少なく、静寂が支配していた。

 だが、その静寂を打ち破るかのごとく二人の人が夜道を駆け抜けていく。


 一人は男性。着崩れたシャツに汚れた格好の少々薄汚いイメージが印象の人物だ。

 体格はそれなり。大きくもないし小さくもない。ありふれた感じの人物である。


 もう一人の人物は少女。少女と言ってもその容姿は男とは違い多くの違いがある。

 服装はシャツにスカートで四肢に銀色のリングを身に着けている。だがそれだけでは言葉が足りない。

 シャツの下にある胸囲は一般的な女性より大きく、豊満といっても問題ないほどの大きな胸だ。そこから下のラインは綺麗に引っ込んでおり、太ももからつま先にかけては肉食動物を連想させるようなしなやかな肉付きをしている。 


 更に極めつけは何故か頭に耳が生えていた。

 通常考えれば頭に耳が生えているのは当たり前だが、彼女の場合は頭頂にケモノ耳が二つピンと立っており、スカートの下からはフサフサな毛のついた尻尾が生えている。

 一見模造品の類、ファッションか何かに見えるが実際は違う。それは本当に少女から生えていた。

 人の姿をしてはいたが、それは人ではない。かろうじて言うならば少女は人に見える何かだった。


「待ちなさい!」

「待てと言われて待つ奴がいるか!」


 男は後ろに振り返って罵声を浴びせ、ひたすら走り続ける。少女は速度を緩めることなくそれを追いかける。


「クソッタレ! なんでこんなところにフォックステールが居るんだよ!」


 男は忌々しげにそう言った。

 道から道を走りぬけ、住宅街を抜けてビル街に入る。

 そこで男は路地裏に入り込み、少女を振り切る作戦に出る。

 ゴミ箱を蹴飛ばし、水溜りを踏み、クモの巣をかき分けて走った。


「……畜生。行き止まりかよ!」


 そこまでして走りきったところで目の前に現れたのはそびえ立つような網製のフェンス。高さはざっと見たところ三m越えだ。

 男が足を止めたところで彼の後ろには少女が迫ってきていた。


「くそ! こんな所で捕まってたまるか!」


 そう言って男はフェンスに手をかける。


「行かせない!」


 少女は男がフェンスを登っているのを見ると、急いでその場に駆けた。

 その間にも男はフェンスの天辺に登りきり、下に降りる動作に入る。

 少女はフェンス前にたどり着くと、網の隙間から手を伸ばして降りかかっていた男のズボンを掴む。


「離せ!」

「離さないよ!」


 男は少女の手を無理やり振りほどいたあと、逃げるために二mくらいの高さがある地点から飛び降りた。


「うぎゃ!」


 着地はあまり良くない仕方だったが、何とか体を起こしてまた走り出す。それを見た少女は男を追うべく走り出す。行き先はフェンスではなく、壁に向かって。

 どう考えても危険としか言えない行動。だが彼女はぶつかる寸前で足をかけ、一気に壁を上っていく。

 テンポよく駆け上がると、フェンスの天辺を越えた辺りで一気に跳躍した。

 完全に常人では出来ない動き。されど、その動きは綺麗だった。弧を描く背中に真っ直ぐと伸びきる足。ふわりと舞うその体は月明かりに照らされ一層可憐さが増していた。

 少女は地面にゆったりと着地すると、男を追いかけるために再び走り出す。


「諦めてボクに捕まれ!」


 互いに一定の距離を保ったまま走り続ける。だが徐々にではあるが、少女が距離を縮めていく。

 追いつかれそうになったことを悟った男は路地を抜け、近くにあった建設中のビルに潜り込んだ。

 少女は男がビル内に入っていくのを確認すると、ためらうことなく中に飛び込んでいく。

 ビル内部は薄暗く、室内のあちこちには建設用の資材が転がっている。当然建設中のため電源は確保されておらず、窓となる予定の部位から月明かりが差し込む程度の明るさだった。

 その中で男は足を止め、少女の方へ向き直る。

 それを見た少女は追いかけるのを止め、その場に立ち止まった。


「ようやく観念してくれたのかな」

「ああ、観念したよ」


 男はふらつきながらも疲れた様にそう言った。そして、重たげに右手を少女に向ける。


「だから…………お前を倒すことにする!」


 そう叫ぶと、男の右手に向かって足元の砂利が吸い上げられていく。一拍したあと、大量の砂利が男の手にまとわりつき形どっていった。

 そして、ボクシンググローブよりも大きな石の拳がそこに現れた。


「融合型のザイン。能力は土使いってところかな」


 冷静に分析する少女。それを見た男は恐怖を押し殺していると勘違いしたのか、にんまりと笑う。


「俺の拳は見た目以上に硬いぜ。フォックステール」


 バンと近くの建設資材に拳を叩きつける。すると資財はありえないくらい簡単に変形した。

 それは男の言うとおり見た目以上の結果だ。


「確かに硬そうだね」

「そうさ。だから覚悟しな!」


 少女目掛け走り出す男。その間に右手を大きく引き、攻撃のモーションに入る。


「喰らいやがれ!」


 叫び声と共に彼女の顔面目掛けて拳が繰り出される。ところが少女は目を逸らすことなく余裕そうにそれを避ける。

 交差する二人。直後、男の拳は勢いそのままに近くのコンクリートの柱に激突した。

 ドゴンと何かが砕けるような音がしたあと、ばらばらと柱からコンクリートが崩れ落ちた。

 手が退いたあと、そこには深く抉れ、向こう側が見えてしまうほどに破損した柱が現れる。


「ふぅん。直撃はやばそう」

「そうだな」


 男はゆっくりと振り向く。その顔には避けられたことへの焦りは見えず、不敵な笑みを浮かべている。そして、再度少女に向かって走り出した。


「一撃でもいい! こいつが当たればお前はオシマイだぁ!」


 再び繰り出される男の拳は確実に少女の顔を捉える。だが、彼女は怯えることなく口を開く。


「脅しでボクが怯むとでも思った?」


 少女は右手を男に向ける。その手は人差し指と親指を立てた銃を真似た形になっていた。

 互いの距離は一mと少し。このままでは少女が男の餌食になることが目に見えている状況。そんな状況で彼女はクスッと笑う。そして、


「ばぁん」


 その一言のあと、男は軽々と吹っ飛ばされた。

 一瞬何が起こったか分からない状況。唯一分かることは男がずぶ濡れになっていると言うことだけだ。


「な……何が起こった?」


 動かぬ四肢に力を込めて何とか起き上がろうとする男。


「ねぇおじさん。消火用のホースの水ってどれくらいの威力があるか知ってる?」


 彼を見下す形で少女は立っていた。男はぴくぴくと震えながら顔を上げる。


「結構水圧があってね、当たると骨が折れちゃうくらいすごいんだって」


 ニコニコと場に不釣合いな笑顔を浮かべる少女。そんな彼女は再び指を男に向けていた。

 それを見た男は顔を青くする。彼女の指の意味を理解したからだ。


「そうか。お前は水の能力のザインか……」


 彼はそう言うと意識を失う。それを見た少女はポケットから携帯を取り出し、開いてピポパと電話をかけた。

 そこで受話器を耳につける。一応言っておくと、ケモノ耳ではなく普通の耳にだ。


「こちらフォックステール。支部長、対象を捕獲したよ」

『ご苦労。回収部隊をそちらに向ける』


 電話越しに低い声の男がそう言った。その声はあまりにも静かであり、何事にも揺れないであろう精神の片鱗が窺える。

 少女は電話を切ると、携帯を閉じた。


「……ふぅ」


 ガラスの無い窓から差し込まれる月明かりは少女を照らす。

 少女の髪は短いながらもサラサラとしており、青みを帯びた灰色の髪は月明かりと相まってまるで光を発しているように見えた。

 その姿は妖精。いや、それよりももっと現実的な何かだった。花でもいい。自然界ではありえない色身を見せる花のように綺麗であり、可憐だった。


 「今日のボク、お疲れ様」


 彼女はそう言って建築資材に座る。フサフサの尻尾を揺らしながら。


 俺はボクっ娘が好きだ。ケモノ耳が好きだ。

 戦う女の子が好きだ。戦う男の子も好きだ。

 渋いおっさんも好きだ。家族愛も好きだ。

 そんな気持ちを乗せてこの作品を書き上げました。

 今時の若者が忘れかけているものをここに出来る限り凝縮してみました。


 ついでに言うと、個人的に公募に挑戦するのはいいが、手持ちに誰にも見せずに作品作るのは知名度がないと思い、こいつを書きました。出来れば知名度が付くぐらいのレベルで話を書いていきたいです。

 いやぁ、文章を書くのって難しい。

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