ギルドへ
とりあえずはギャグ路線になりそうです。
というか、シリアスとギャグの境界線が曖昧に……orz
「……知らない天井だ」
うっわ何このベタな台詞。
目が覚めたら何か木造っぽい部屋で寝てました。
それでまあ、さっきの台詞になった訳だけれど……うん、虚しい。
誰かツッコんでくれよ、お願いだから切実に。
そんな風に心の中で泣いていると、ドアが音を立てて開いた。
「よぅ、目が覚めたのかい」
誰かと思えばこの間の女の人。
今は私服らしく、鎧を身に着けていない。
…待てよ?
ということは、ここはそのギルドなのか?
「名前を聞いてなかったね。アンタ、名前は?」
すいません、トリップしてました。
名乗りっていっても……苗字どうしよう。
まあいっか、即席で。
「レイカ・アルベルティーニ…です。…あなたは?」
名乗ったあと、相手にも名前を尋ねる。
一応これから関わるかもしれないから。
多分ここがギルドなんだろうしね。
「あたしかい?あたしは…キルア・バルトロッツィ。気軽にキルアって呼んでくれて構わないよ」
向こうが名乗る。
それにしても、随分とイタリアらしい苗字だけど…もしかしてそうだったりするのだろうか。
だとしたら、言語が通じない筈だけれど…。
「ところで、昨日は凄かったねぇ。一体どうやったんだい?」
そんなこちらの疑問に気付かず、キルアさん(?)はあたしの事を聞いてきた。
それは自分が一番知りたいのだけれど……て、ちょっと待てぇ!!
「え、は、ちょ。ききき、昨日!?」
思わず舌を噛みそうになったが、それどころじゃない。
もしかしてあたし、一日間ずっと気絶してたの!?
尋ねてみたら。
どうやら、一日中魘されっぱなしだったらしい。
悲劇だ………!
というか、何故に魘されるし自分。
全く訳がわからない。
「……大丈夫かい、もしかしてまだ具合が悪いとか?」
キルアさんの質問で、ハッと我に返る。
いけない、また脳内トリップしていた。
とりあえず、大丈夫だと伝える。
それから、昨日のことについて、自分の分かる範囲で話した。
全て話しおわると、キルアさんが沈黙していた。
…もしかして、アイタタタな子だと思われた?
「まさか……こんな子供が伝説の…………いやでもそれじゃ……」
すると、ブツブツと独り言を言い始めるキルアさん。
正直言って、怖いことこの上ない。
誰か助けて。
「まあ、それは兎も角。ええと、レイカちゃんだっけ、ここはギルドのミラッジョ支部だよ。」
今の場所を教えてくれたキルアさん。
ミラッジョというと…イタリア語で蜃気楼、か。
外を見ると。
成る程、確かに名前通り、遠くに蜃気楼が見える。
こういう気候なんだろう、きっと。
ここら辺砂漠に囲まれてるしね。
きっとこの間の平原が特別なだけだったんだろう。
いやそれにしても、これはないだろう。
次々と訳が分からないことが立て続けに起こって頭がパンクしそうだ。
響霧は大丈夫かな、向こうもこっちに迷い込んでる可能性が高いし。
一体どうすれば元の世界に戻れるんだろう。
それも探さなければいけないのか……骨が折れそうだ。
「ええと、キルアさん。ギルドって一体……」
「ちょっと黙って。支部長が来た」
そういってあたしの言葉を遮ったキルアさん。
支部長というと……ここ、ミラッジョ支部のトップだろうか。
そんなことを考えていると、扉が開いた。
「やあ、キルア。お客さんは目覚めたかい?」
入ってきたのは30代前半くらいの男の人。
青みのかった黒い髪で、少しパーマがかかっている。
目は黒くて、まるで日本人のような出で立ちだ。
違うと判断できるのは、西洋人らしい輪郭のお陰だ。
きっとこの人が支部長さんとやらなのだろう。
「ようこそ、お客さん。ここはギルドのミラッジョ支部。そして俺は、支部長のアウレリオ・チェレスティーノだ。話はキルアから聞いてるよ、ギルドに入りたいんだって?」
丁度人手が足りなかったんだ、歓迎するよ。
そういうと、アウレリオさんはまた部屋を出ていった。
どうやら忙しいらしく、部下らしき人に急かされていた。
こうして、あたしのギルド生活………もとい、異世界生活が始まった。