第15話 はじめての狩り
「霧の剣、四の型10本突き!!」
『ズドン』
鋭い突きを放ったユイカさんは、3日前に俺が砕いた岩と同じくらいの大きさの岩を砕いた。
「お見事です」
「ありがとうございます」
俺が褒めるとユイカさんはぴょんか跳ねて喜びをあらわにした。
この3日、ユイカさんにはひたすら突きをのモーションで神威を使ってもらい。
突きの動きに神威を使うことを身体に覚えさせた。
その甲斐あって、3日という短期間で10本突きを使えるようになった。
ただ、まだ精度はあまく10本出ることもあれば8本になったり、5本になったりしている。
それでもよくやっている。
やはりユイカさんと霧の剣は相性がいいようだ。
「まだまだ荒削りですが、10本突きもできてきたのでそろそろ実戦といきましょう」
「実戦……た、タツベイさんも手伝ってくれますか?」
「いいえ、手伝いません」
「そ、そうですか」
俺が手伝わない事を伝えると、ユイカさんはしゅんとしてしまった。
でもここでユイカさんを手伝ってしまうのは、ユイカさんのためにもよくない。
なのでここは心を鬼にして、ユイカさんに向き合わなければならない。
「今回ユイカさんには狩ってもらうのは槍豚です」
「槍豚ですか」
槍豚は前回俺が倒したモンスターである。
この前は寝込みを襲ったが、今回は寝込みではなく起きている時に戦ってもらう。
槍豚は獰猛なモンスターではないが、弱くはない。
突進攻撃をまともに受ければ俺でも内臓破裂の危険がある。
今のユイカさんにとって、結構ギリギリな相手になるとは思う。
でもそんな相手に勝ってこそ、自信がつくものだ。
「まぁでも、流石に防具なしだときついからこれをあげます」
「これはこの前つけた赤いローブです!」
その通り、これは前回のボス攻略戦でユイカさんに着てもらった鎧布でできた赤いローブである。
前に着てもらったとき、よく似合っていたのでいつか渡そうと思ったが、いいタイミングで渡せて良かった。
「それをつけていれば大きなダメージは入りにくいと思うから、この3日で覚えた10本突きを信じて倒してほしい」
「わかりました!私、頑張ります」
よしユイカさんやる気になってくれたぞ。
これなら多分勝てるはずだ。
ただユイカさんの10本突きが、ランダムで突きの数が減る事が気掛かりだな。
なんとか本番で成功してほしい。
「ではさっそく、今から狩に出かけましょう」
「い、今からですか!」
「ええ、今からです」
そうして俺とユイカさんは槍豚のいる第三層へと向かった。




