第14話 神威
「この捕まえた虫はどうすればいいでしょうか」
「その虫ならもう離して大丈夫ですよ、スキルの継承を終わったので」
ユイカさんが離すと、神速虫はどこへ飛んでいった。
「さて、これでスキルが継承されたと思うので早速、神威を使ってみましょうか」
「はい、でもどうやって」
「最初は言葉で唱える必要がありますが、慣れれば頭で神威と唱えるだけで使えるようになります」
「なるほど」
肉体強化スキルの便利なところは、使用したい時に頭で唱えるだけで使えるため、使用中かどうかが相手にわからない点にある。
ただスキルは使用時間が長くなるほど、体力の消耗が激しくなる。
魔法は魔力を使うが、スキルは体力を使う。
そこら辺のコントロールが始めは難しく、スキルを使い始めた時はすぐバテてしまのだが、神威にはそのデメリットがあまりない。
「ではユイカさん、剣をまずは振ってみてください」
「わ、わかりました」
そう言ってユイカさんはシュッと短剣を振った。
太刀筋が悪くない。
やっぱりユイカさんはしっかり剣術を習っている人だ。
これなら霧の剣も短期間である程度習得できるかもな。
「良い太刀筋ですね」
「ありがとうございます!」
「それでは次は、剣を振る瞬間に神威と言ってみてください」
「わかりました、か、神威」
『バシュ』
神威と唱え振るった剣は先ほどとは比べ物にならないほどの速さで空を切った。
よし成功だ、後はこれを繰り返し行い。
神威に体を慣れさせれば霧の剣の本格的な習得に移れるぞ。
「すごい、すごいですタツベイさん、私使えました」
「お見事ですユイカさん、その調子であと30分ほどやってみましょう」
「はい!!」
それから30分、ユイカさんには同じモーションで神威を使ってもらった。
そうする事で身体がその動きをする時は神威を発動することを感覚で覚え始め、言葉で言わなくとも発動できるようになる。
まぁでもそろそろかな。
「ハァハァ、なんかうまく力が入らなくなってきました」
ユイカさんは苦しそうに肩で息をし始めた。
いくらコスパのいいスキルでも、使いすぎれば流石に疲れてしまう。
その限界を知るために30分間振り続けてもらったが、ちゃんと30分持ったな。
ユイカさんは意外と胆力が強いのかも。
「よし、今日はこの辺にしておきましょう」
「は、はい」
スキルの修行で肝心なのは、日々の鍛錬だ。
一朝一夕で身につくものではない。
ここから長い道のりになるが、ユイカさん心なしか楽しんでいるように見えた。
「なんだか楽しそうですね」
「あ、そうですか、でも正直楽しいです、今までスキルなんて使ったことなかったからかな」
そう言ってユイカさんニコッと笑った。
なんて良い子なんだろう。
俺は歳のせいか、目に涙を浮かべそうになったが、必死に堪えた。
歳はとりたくないもんだ。




