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エピローグ「二人の食卓」
営業が終わり、静けさが戻った店内。
俺は賄いの準備をしていた。
客に出すような豪華な肉ではない。余った端肉と野菜を炒め、卵でとじただけのシンプルな丼だ。
「ほら、食うぞ」
テーブルに二つの丼を置く。
一つは俺の。もう一つは、人間サイズに化けたルル――少女の姿の前に。
「む……今日は地味だな」
「文句言うな。これが一番落ち着くんだ」
少女姿のルルは、不満そうにしながらも、スプーンを手に取った。
パクり。
「……ん。悪くない」
彼女の表情がふわりと緩む。
高級な料理もいいが、毎日食べるならこういう味が一番だ。
窓の外では、雪が降り始めていた。
北の冬は厳しい。
だが、この店の中は暖かく、美味い匂いで満たされている。
「明日はシチューにするか」
「肉を多めにな」
「わかってるよ」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
何気ない会話と、温かい食事。
それさえあれば、生きていける。
俺と相棒の満腹な日々は、これからもずっと続いていくのだ。




