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首なし西瓜(七)

この小説は、もともと中国語で執筆したものをAI翻訳を通じて日本語に変換しています。そのため、不自然な表現や誤った言葉遣いなどがあるかもしれませんが、どうかご容赦ください。

「……考えすぎだよ」


柯魁晉コー・クィジン苗筱珺ミャオ・シャオジュンの肩を軽く叩き、余裕の笑みを浮かべた。苗筱珺は冷や汗を流しながらその手を振り払い、いつもの高慢な態度を取り戻すと、軍用バックパックからあの禍々しい「招鬼符しょうきふ」を取り出して突きつけた。


「うちの兵がこの倉庫で見つけたものよ。この営舎でこんな術を使えるのは、私とあんた以外にいない。私はやってないわ。……さあ、どう説明するつもり?」


「へえ、僕を疑ってるのかい?」


「あんた以上に疑わしい奴なんていないわよ」


「二人しか使えないなら、僕が君を疑うことだってできるだろう? 筱珺シャオジュンさん」


「なっ……!」


怒りのあまり平手打ちを食らわせようとする彼女を、柯一尉は両手を挙げて軽くいなした。彼はその符咒を受け取ると、事も無げに小さな「紙人形」の形に折り始めた。


「ちょっと! 何してるのよ!」


彼女は慌てて彼のポケットに手を突っ込み、その紙人形をひったくって投げ捨てた。

「招鬼符を人形にして身につけるなんて正気!? 強力な悪霊に憑依されたら、簡単な術じゃ解けないわよ。また何か良からぬことでも考えてるんでしょ!」


「……君は本当に、この軍營キャンプに術を使える人間が僕ら二人だけだと思っているのかい?」


「他にもいるって言うの? 馬鹿言わないで。青土山せつざんにいる兵の素質は全員把握してるわ。少しでも霊力があれば私の目は誤魔化せない。……あんただって何かしたはずよ」


「ああ、お互い様だね。僕たちは何もしないわけにはいかない性質だ。……だが、今回の施法者には二つの可能性がある。一つは、僕たちより遥かに上の術者で、完全に気配を消している者。もう一つは、能力が小さすぎて僕たちの探知に引っかからない者だ」


「……心当たりは?」


「さあね。ただ、今回の件はいつもの君の『原稿探し』とは違う。陰気が異常に濃い。君の力でも、僕の力でも、ここまでの事態は引き起こせない。……明らかに、別の何者かがこの営舎に潜み、鬼神の法を操っているんだよ」


柯一尉の表情から笑みが消え、真剣なものに変わった。苗筱珺もそれに応じるように、もう一枚の招鬼符を取り出し、紙人形にして火をつけた。灰を宙に撒くが、何も起きない。柯一尉も同じことを試したが、風一つ吹かなかった。


「……まずいことになったね」と柯一尉が呟く。


人形にした招鬼符を人につければ、霊が見えるようになり、最悪の場合は悪霊が憑依する。茅山術ぼうざんじゅつの一種であるこの邪法を試しても反応がないということは、「モノ」はすでに誰かに取り憑いている可能性が高い。それはこの倉庫にいる誰かかもしれないのだ。二人は除霊の道具を構え、奥へと進んだ。


「あんたが『鬼遮眼』に遭った時点で気づくべきだったわね。ただの怪談の幽霊が、あんたほどの巫女を足止めできるはずがない。背後に操る人間がいるからこそ、制御不能な状況になってるのよ」


「そんなこと分かってるわよ! だから深夜になる前に来たのに。……まさか、三人のバカが事態を加速させるとは思わなかったわ。……それより、なんで大隊長なんて連れてきたのよ!」


「彼は僕の『切りジョーカー』なんだ」


「……はあ?」


「いいかい、最後には僕たち二人も彼に助けられることになるかもしれないよ」


一方、スン大隊長は懐中電灯の光を頼りに、一人で倉庫を進んでいた。

散乱する古いロッカーを見ながら、彼は「ここを片付ければ雨天時の訓練場や講堂に使えるな。二十四時間明かりを灯しておけば、くだらない怪談も消えるだろう」と、極めて現実的な計画を立てていた。


柯一尉が描いた「心霊マップ」のどの場所でもそうだったように、大隊長には何の異変も起きなかった。通路は順調に続き、やがてT字型倉庫の右側、中庭へ続く扉が見えてきた。

(あの怖がりの伝令を引っ張り出せば任務完了だ。命の恩人として、あいつをもっとこき使ってやろう)


そう思ってドアノブに手をかけた瞬間、背後からあの忌まわしい呻き声が響いた。

昼間、駐車場で郁佑ユーヨウと一緒に聞いた、あの耳を劈くような悲鳴だ。それが今、幾重にも重なり合い、倉庫の空気を震わせている。


「……僕の頭はどこ……僕の頭……」

「……頭がないんだ……僕の頭を返して……」


「――誰だ!」


大隊長は躊躇なく振り返った。そこには、血まみれの軍服を着た**「首なしの幽霊」が立っていた。

大隊長は一瞬驚いたが、次の瞬間、反射的にその幽霊の胸元に強烈な蹴り**を見舞った。


「――どけッ!」


ドゴォッという手応えと共に、首なし鬼は闇の向こうへ吹き飛んで消えた。大隊長がライトで周囲を照らしたが、そこにはもう何もいない。


「チッ、驚かせやがって。……待てよ。今のが幽霊か?」


彼は怒りよりも先に、驚きと喜びを感じていた。長年探し求めても会えなかった幽霊に、ついに遭遇したのだ。

(……いきなり蹴り飛ばしたのはまずかったか。次に見つけたら、大隊長として少し詫びを入れてやるか。……しかし、首がないのになぜ喋れるんだ? 構造が分からん)


彼は首を傾げながら再びドアノブを掴んだ。すると、またしても背後にあの気配が漂った。すすり泣くような、哀怨に満ちた空気。大隊長は今度こそ捕まえてやろうと勢いよく振り返った。


だが、そこには――。

再び、誰もいなかった。


首なし鬼は消えたが、嗚咽おえつは止まない。スン大隊長はその声の主を追って、重なり合う内務櫃ロッカーの裏側へと踏み込んだ。

「……そこか!」

懐中電灯を口に咥え、両手で邪魔なロッカーを力任せに跳ね除けると、泣き声はぴたりと止まった。そこには何もなく、ただ剥がれ落ちた床板の残骸があるだけだった。大隊長が足元の破片をかき分けると、一枚の古い姓名條(せいめいじょう:名札)が顔を出した。


「……周裕邦ジョウ・ユーバン?」


その名を目にし、周囲を一度探し回ったが、他に収穫はなかった。名札くらい、このボロ倉庫なら誰かが落としていても不思議ではない。彼は灰を払い、散らかしたロッカーを直す気にもなれず、そのままその場を立ち去ろうとした。


数歩歩いたところで、異変が起きた。今度は泣き声ではない。

「頭を……返せ……」

あの声だ。大隊長は左手で拳を握り、声のする前方へと走った。通路の先に人影が見える。軍服を着ており、首の上にはしっかりと頭が乗っていた。

背を向けて立つその人物に、大隊長はライトを向け、「教育」してやろうと近づいた。だが、その男が猛然と振り返った瞬間、大隊長は息を呑んだ。


男の頭が、まるで熟れた果実のようにポロリと床に落ち、転がったのだ。

切断面からは大量の鮮血が噴き出し、耳を刺すような高笑いが響き渡る。

「ヒッ、ヒヒヒヒヒ! 頭がないんだ! 僕の頭がない! お前のをくれよ! その頭をよこせ!!」


首なし鬼は凄まじい力で大隊長の喉を締め上げた。だが、大隊長は微動だにしない。彼はライトのストラップを肩に掛け直すと、自分を絞める鬼の腕を両手で掴み――。

「……おい。首なしの野郎」

メキメキと音を立ててその腕をこじ開け、ゆっくりと顔を上げた。その眼光は、どちらが化け物か分からないほど鋭く、冷徹だった。


「……貴様、なぜこの男の名を知っている? 『人頭西瓜』なんてくだらん怪談とは無関係のはずだ。……いいか。私の部下を操り、伝令を誘拐したことは目をつぶってやる。だが、『彼』の名を使って私を弄ぶことだけは、絶対に許さん。 ……おい! さっきまでみたいに鳴いてみろよ! なぜこの名を知っているのか答えろ!」


「――孫震スン・ジェン!」


不意に背後から自分の名を呼ぶ声がし、大隊長はハッと振り返った。だが背後には誰もいない。再び正面を向いた時、掴んでいたはずの鬼は霧のように消え去っていた。倉庫内にはもう泣き声も笑い声も響かず、死のような静寂が戻っていた。


(誰が……私の名を呼んだ?)


大隊長は疑問を振り払い、中庭へと続くドアを開けた。ドアにはなぜか鍵が刺さっており、解錠するとその先の左側通路から、激しい衝突音と叫び声が聞こえてきた。


「誰だ!」


飛び込んだ先で、二人の迷彩服の兵士が床で取っ組み合いをしていた。一人は自分の伝令、黄郁佑ファン・ユーヨウだ。郁佑は大隊長のライトに気づき、必死に「来ちゃダメだ!」と首を振っている。だが、大隊長は眉を吊り上げて怒鳴りながら歩み寄った。


「黄郁佑! 貴様、そこで何をもたついている!」


「閣下! 来ないでください! 危険です! 徐寶シュ・バオ学長が……!」


郁佑の制止を無視して近づくと、彼の体は傷だらけで、軍服はボロボロに裂けていた。郁佑を組み伏せている兵士は、不気味な笑い声を上げながら、ガクンと首を後ろへ回転させた。白目を剥き、額から血を流しながら、徐寶は「ヒヒヒッ」と笑い、大隊長へと襲いかかってきた。


「……刃物か!」


徐寶の手には、鈍く光る刺刀(銃剣)が握られていた。それも訓練用の鈍いものではない。研ぎ澄まされ、血に染まった本物の刃だ。大隊長は咄嗟に廃棄されたベッドの板を盾にし、突き出された刃を凌いだ。

大隊長は郁佑をひっ掴むと、肩に担ぎ上げて後方へ跳んだ。


「おい、説明しろ。これはどういう状況だ?」


「閣下……! 行方不明だった徐寶学長です。何かに取り憑かれたみたいで、さっきまで壁に頭をぶつけてたかと思ったら、急に刺刀を振り回して『西瓜を斬る』って僕を襲ってきたんです!」


「取り憑かれただと? 口から緑の液を吐きながらブリッジで這い回るアレか?」


「閣下、それはエクソシストです!」


郁佑のツッコミを無視し、徐寶は血走った眼でじりじりと距離を詰めてくる。大隊長は近くに転がっていた蚊帳かやを吊るための鉄棒を二本拾い上げ、戦闘態勢をとった。


「貴様、それで戦うつもりか!」

「閣下こそ! そんな鉄の棒二本で刺刀に勝てるんですか!?」

「バカを言え。向こうは一本、こっちは二刀流だ。負けるはずがないだろう」


(……二刀流って。宮本武蔵のつもりかよ!)


郁佑は心の中で絶叫したが、他に武器になりそうなものはない。徐寶が振り下ろした刺刀は、ベッドの枕を鮮やかに切り裂き、白い綿が雪のように暗闇に舞った。


「クソッ! どっから持ってきたんだあの刃物。切れ味が良すぎる!」


スン大隊長も黄郁佑ファン・ユーヨウと同じ結論に達していた。二人が後退する先は、T字型倉庫の左端――行き止まりだ。窓もドアもなく、ただ埃を被った古い寝具や毛布が山積みにされている。大隊長は背後の状況を盗み見ると、ある案を思いつき、郁佑の肩を小突いた。

「おい、小兵。その役立たずの物干しハンガーは捨てろ」


「閣下、これを捨てたら刃物を防ぐものがなくなります!」


「そんなボロで何が防げるか! 捨てろ捨てろ! いいか、私の計画を聞け……お前は……こうするんだ。分かったか?」


郁佑には、それがひどく無茶な計画に思えた。だが、大隊長の自信満々な表情と、他に選択肢がない状況に、彼は覚悟を決めた。ハンガーを放り捨て、大隊長の背後に滑り込む。大隊長は小声で準備を確認し、カウントダウンを始めた。


「――三、二、一、行けッ!」


大隊長が叫ぶと同時に突進した。鉄の棒を振り回し、徐寶シュ・バオを牽制する。徐寶の刺刀(銃剣)が大隊長の顔先をかすめ、頬に赤い一文字が刻まれた。血が滲み、刺すような痛みが走る。大隊長はひるまず、鉄棒を徐寶の腕に叩きつけた。だが、骨が砕けるような音がしたにもかかわらず、徐寶は痛みを感じる様子もなく、そのまま刃を返してきた。


「閣下!」


郁佑の叫びが響く。大隊長は避けきれず、顔を庇った両腕を深く斬り裂かれた。鮮血が飛び散り、大隊長は重心を崩して床に倒れ込んだ。手首から流れる血が川のように床に広がっていく。彼は激痛に耐え、鉄製の二段ベッドを支えに無理やり体を起こした。


徐寶が大隊長の前に立ち、不自然な角度で首を傾げながら、大隊長の額を二回叩いた。その仕草に、大隊長は自嘲気味に笑った。結局、この「人頭西瓜」のクソッタレな筋書き通りに進むというのか。


「……この瓜、熟れてる……」


徐寶は大隊長の喉を掴んで吊り上げ、刺刀を高く掲げた。西瓜を「収穫」するつもりだ。


「……ふん、熟れてるだと? 私の部下を乗っ取って、私を斬るのがそんなに楽しいか。……いいか、邪霊だか何だか知らんが、私の営舎キャンプを不法占拠し、伝令を誘拐し、挙句にそんなつまらん冗談を……。聞きやがれ、首なし鬼……」


大隊長は血まみれの腕で徐寶の胸ぐらを掴み、至近距離で血走った白目を睨みつけた。

「――この孫震スン・ジェン様を……幽霊ごときが舐めるんじゃないッ!」


咆哮とともに、大隊長は残りの力を振り絞って徐寶を担ぎ上げ、ベッドの脚に向かって突進した。激しい衝突の衝撃で、徐寶の手から刺刀が滑り落ちる。それが邪靈の逆鱗に触れたのか、徐寶の顔は極限まで歪み、人間とは思えない低い咆哮を上げた。


「黄郁佑! まだかッ!」


「閣下、今です!」


大隊長は首を絞められ意識が遠のきそうになりながらも、徐寶を抱えたまま背後の「寝具の山」に向かって全力で走った。郁佑が底から毛布を引き抜いたことでバランスを崩していた寝具の山は、大隊長の体当たりを受け、雪崩のように崩れ落ちた。何十枚もの重い毛布と枕が二人を飲み込み、郁佑もろとも床下へ押し潰した。


「……げほっ、ごほっ!」


最初に這い出したのは郁佑だった。埃まみれの毛布の山から抜け出し、全身の痛みに顔をしかめる。まさか軍隊に入って毛布の下敷きになるとは思わなかった。

「閣下! 孫大隊長!」


必死に探すと、毛布の隙間から一本の手が突き出た。

「閣下!」

郁佑がその手を掴もうとした瞬間、その手は黒くドロドロとした焦げ茶色の液体の塊へと変貌し、郁佑に向かって襲いかかってきた。

「うわあっ!」


「……ケホッ! はぁ、はぁ……!」


少し離れた場所から、本物の大隊長が這い出してきた。郁佑は慌てて大隊長に駆け寄り、肩を貸して立ち上がらせた。大隊長の両手は、すでに乾き始めた返り血で真っ赤に染まっていた。


「……あいつ(徐寶)はどうした? まだ毛布の下か? 掘り出さなきゃならんが……」


「あ、あの……閣下、徐寶学長が……」


郁佑の言葉が止まり、その体は子供のように激しく震え出した。

「……何だ。また何か見えたのか?」


「か、閣下……見え、見えませんか……?」


大隊長が振り返っても、そこには崩れた毛布の山があるだけだ。だが、郁佑の顔は紙のように白い。大隊長は思い出し、郁佑の右腕にある**「刺青タトゥー」**を掴んだ。

その瞬間、咆哮とすすり泣き、そして甲高い笑い声が混ざり合った異様な音が鼓膜を突き破った。


毛布の山から、悍ましいものが這い出してきた。

それは幾枚もの「人面」を繋ぎ合わせたような、幼稚園児が失敗した粘土細工のような姿をしていた。ナメクジのようにヌメヌメとした質感で、床に粘液を撒き散らしながら、二人に迫ってくる。


(……チッ。塩でも撒けば溶けるのか?)


大隊長は満身創痍の体を引きずり、その「人面ナメクジ」との第二ラウンドに備えた。

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