第六話 ポップアップウィンドウ:国王陛下
回収する気があるんだかないんだか、そんな伏線もチラホラと。
結局出てくる機会がないかもしれないし、物語の根幹に関わる重要な要素となるかもしれない。
※9/10 18:40 加筆修正しました。
隠しきれてなかったり、見ただけで察せてしまったこともあるかもだけど、今はそっと見守ってください。
これは一種の備忘録でもあるのです。
ゲームの設定資料
●国王陛下
・容姿、属性
主人公くんちゃん。TS不老ボクっ娘。
藍白の髪と黄金色の瞳、ついでにアホ毛(動かない)。髪はうなじが見えるぐらいまで雑に後ろで一括りにされている(自分でやった)。
一言で表すと「無」。
確かに感情は存在しているのだが、気怠そうに眉を顰めた顔から内面を察するにはエスパー持ちが必要かもしれない。口調や雰囲気からある程度は察することが可能。
高校生ぐらいの背丈、お胸は……あっ(察し)。
・立場
『アズマ王国』の絶対君主であり、ハイヒューマン(或いはアズマ人)にとって崇拝の対象。
原始的で野蛮な生活を送っていた自分達を導いてくれた神。言っておくと宗教ではないし、宗教勧誘もやっていない。というかアズマ人は大半が無宗教。無関心、寛容とも言う。
なんの断りもなしに【王宮】から出たり、いきなり遠くの都市まで繰り出せたりしても誰も咎めない(侍従長の小言は除く)のはこの立場が原因。
誰も神であり、自らが仕える主人公くんちゃんを制止する権利も考えも持っていないのだ。それが例え行き当たりばったりの行動だったとしても、だ。
・名前
名前は設定していないので単に「国王陛下」と呼ばれる。対外的には「アズマ国王」と報じられる。
中身には名前があった。
・口調
抑揚のない単調なリズムで話すが、感情値に変化があると声に感情が宿りだす。
語彙が乏しいのはわざとである。自分の言葉には責任を取らなくてはならないが、曖昧に濁された言葉であれば相手が勝手に自己解釈してやったことにできる。
「そこまでやれとは言ってないし、お前が勝手に勘違いして勝手にやらかしたことだ」といざとなったら責任転嫁できるようにしている。
主人公くんちゃんなりの処世術と言えるだろう。
・性格
「気まぐれな虚無主義者」
ニーチェによると虚無主義とは大きく分けて3つである。
一つ───精神的にボロボロになり、その時々の状況に身を任せ、流れるように生きる「弱さのニヒリズム」(消極的・受動的ニヒリズム)。
二つ───精神的にハイになり、新しい価値を能動的に創造していく「強さのニヒリズム」(積極的・能動的ニヒリズム)。
三つ───弱さのニヒリズムも強さのニヒリズムも否定し、この世の全てに価値がないものだと自らへの干渉も無視して悟りを開く「無のニヒリズム」(中心・無関心的ニヒリズム)。
主人公くんちゃんは一つ目と二つ目が当てはまる。
世界に意味などないと信じている。だからこそ、時に静かに観察し、時に破壊を仕掛け、遊び半分で世界を揺さぶる。所詮この世界は液晶ディスプレイ越しに見える作り物であるが故に。或いは「現実」と称していた世界でさえも。
主人公くんちゃんは傍観者であり、超越者であり、道化である。そこで起こる喜劇も悲劇もハプニングもその全てを主人公くんちゃんは許容する。
■■■「スイッチをおしたのはボク、アラートをきったのもボク。あの時はそれがしたかった。そうしたらもっとおもしろくなると思った。後悔なんてするひつようもない」
・性自認
「身体主義の異性愛者」
身体主義───生物学的本質主義とも呼ばれる。
性別や性自認を「生物学的な身体=性器・染色体・ホルモン」によって決まるとする考え。つまり、ち◯ち◯がついてたら男だし、ち◯ち◯がついてなかったら女とする考え方。
性自認を肉体に紐付けて変えるため、TSした主人公くんちゃんはあっさりと「女」になった模様。アバターに憑依したその日に自分のち◯ち◯がないことを確認して「男」は終わった。
そこにTSモノ定番の自己同一性とか男女の感覚の違いに戸惑うとかそういうストーリーはなかった。本人曰く「そういうもん」。虚無主義だから気にしていないのか、気にしていないから虚無主義なのかは不明。
後日、侍従長(男)に下着を着替えさせてもらったらしい。流石に新しい生活の仕方には戸惑うかとか、「女」なのに「男」だった時の名残りで男性に肌を晒すことを気にしないとか「ん、NPCになんで意識するひつようがある?」───そういうところだぞ。
異性愛者は文字通り、自分の性自認と別の性別の人に恋愛感情や性的感情を抱く性的嗜好のこと。つまり、「男」だと自認していたら「女」が恋愛対象になるし、「女」だと自認していたら「男」が恋愛対象になる。
この言葉に従うなら主人公くんちゃんは───「男」が恋愛対象ということになる。どうしよう、主人公くんちゃんが「男」とキャッキャウフフとしているところが全く想像できない。ついでに「女」とも。
・資産
主人公くんちゃんは幾らでも国庫からお金を引き出せるが、あまりやりたがらない。理由はそれをするとお金の関係の問題で責任が自分に向く可能性があるから。
なので、政府から支給される「お小遣い」を除いて自分のお金は自分で稼いでる。
【六大企業】の一つ、アズマ産業複合体の筆頭株主であり、海外にも多くの投資を行っている。主人公くんちゃんが個人的に所有している土地や建物も多く、株主として影響力を持つ企業も多い。
資金が原因で凍結していたプロジェクトへの資金注入やクラウドファンディングへの寄付なども行っていた。
灰天歴876年には『ソブリン連邦』で発行されたビジネス誌『ルーブス』の『世界長者番付』で首位にランクインしたほど、多くの個人資産を持っていた。
・人間関係
そんな絶望的に人付き合いに向いてない性格でありながら、意外なことに交友関係はかなり広い。
興味のないことにはとことん無関心な主人公くんちゃんだが、一度何らかの関わりを持てば「興味のあることリスト」に載るので、その後の個別イベントを開放することができる。因みにどの選択肢を選んでも恋愛ルートに辿り着くことはできない。たぶんバクである。
フッ軽主人公くんちゃんなので、呼べば余程のことがない限り来てくれる。
ただし問題はそれができる程の人間がどれほどいるかということ。
プレイヤーは兎も角として、NPCであるアズマ人から見た主人公くんちゃんは「祖先の時代から導き続けてくれた神」「絶対にして偉大なる王」である。
そんな主人公くんちゃんと関わりを持って、おまけに気軽に呼び出せるアズマ人は殆どいない。主人公くんちゃんを「神フィルター」、或いは「王フィルター」を外した一人の少女として見るだけの精神性を持つ必要がある。
「知り合い」や「友達」といった区分はあまり作りたがらないが、ある程度、具体的には好感度+80超えた当たりの人物には配慮や気遣いをするようになる……かもしれない。
基本的に自分から関わりに行くことはない。『アズマ王国』には貴族や資産家などの上流階級が参加する社交パーティーもよく行われるのだが、誰もが畏れ多いと遠慮して招待状を主人公くんちゃんに送らない。誰か一人でも送ったら絶対来る。
・主人公くんちゃんと関わりを持つ人物(色眼鏡を使わない人物)
①侍従長(♂)
主人公くんちゃんの補佐を行う。
公務・政務・日常生活などの手配は全て彼の仕事。
敢えて庶民的な食事をチョイスするなど気配りのプロ。
「お小言」には相当神経を使っている様子。理由は逆鱗が何処なのか分からないから。
実は妻子持ち。祖父は先代の侍従長だった。
主人公:「いつも助かってる」
②民部卿(♀)
戦前日本の内務省のような「スーパー省庁」民部省のトップ。
一人称は「ワタクシ」。語尾に「〜ですわ」がつく。
主人公くんちゃんとは定期的にお茶会を開く仲。
前任者が砲撃の的になった後、お役所特有の年功序列の風習をぶち破り若くしてトップにまで上り詰めた女傑。
平均寿命がヒューマンの2倍ほど長いアズマ人の中でもかなりの若さ。ヒューマンでいうところの成人したての若造。
主人公:「あのお茶おいしかった。次は牛丼もっていく」
③【六大企業】CEOの皆様方(団体)
『アズマ王国』の貴重な納税者。
【光鎧府】の実質的な統治者達。
主人公くんちゃんのことは自分達と同じ商人、或いは資産家として見ている。そのため変にかしこまらず、一人の対等なビジネスパートナーとして見ている。
ある程度の信用も主人公くんちゃんに寄せており、【光鎧府】の政府を軽視した振る舞いにも干渉してこないと踏んでいた。
主人公:「なにかもうけ話でもある?」
④ネルソン大統領(♂)
『アメリア合衆国』の元大統領。故人。プレイヤー。
主人公くんちゃんのリア友。
リアルでもニヒッてた主人公くんちゃんをこのゲームに誘った。
ゲームが現実となった後も個人的な交流は続いていた。何も知らない人からすれば、ティーンエイジャーな少女と壮年の男性が密会を繰り返しているように見えるので、よくパパラッチに写真を撮られてゴシップ誌で沸かせていた。
【モーターゲート】事件後、大統領職を辞任した際に何者かに暗殺された。
主人公:「かなしい。バイバイ親友」
・能力
何度も言うが、今の主人公くんちゃんやプレイヤーの肉体はゲームの開始時に設定したアバターである。
アバターには一つの『スキル』をつけることができる。
『スキル』にはフレーバー要素を重視した意味のないものや、特定の政策・政体・種族・場面でシナジーを発揮するもの、恒常的にバフを与えるもの、ゲーム開始初期に有利に働くもの、など多様な種類がある。あくまでも個人に付与される能力なのでそこまで強くはない。
主人公くんちゃんの能力は【時を忘れた肉体】。
アバターが歳を取らないと言うものであるが、そもそもアバター(ゲーム時代の)に年齢の概念がないので意味はない。フレーバー要素を重視した『スキル』の一つ。
しかし、『アズマ王国』の場合、強力なシナジーを発揮する。具体的には以下の通り、
「絶対君主制」+「ハイヒューマン」+「原始的宗教観」+「君主崇拝」+【時を忘れた肉体】=「天より降臨せし神によって導かれる千年王国」
この世界がリアルになった時、主人公くんちゃんはアバターに魂を宿し、永劫の時を生きることとなる。