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放課後の異世界往還

作者: ためいき

【序章】 

 静まり返った教室に、午後の西日が斜めに差し込んでいる。アレン・クロフォードは頬杖をつきながら窓の外を眺めていた。もう何度目になるかもわからない、平凡な放課後。授業が終わっても誰かと遊ぶでもなく、部活に行くでもなく、ただ、時が過ぎるのを待つように過ごしている日々。そんなアレンの目の前に、ふいに白い光が現れた。「……え?」呟いた瞬間、世界が反転した。教室がぐにゃりと歪み、まるで水の中に沈んでいくような感覚が全身を包んだ。重力が消え、視界が白一色に染まる。「……また夢、かな……」アレンはそんなふうに思いながら、意識を手放した。

 目を覚ますと、そこは見知らぬ森だった。背の高い木々が天を覆い、濃い緑の香りが鼻をつく。地面には柔らかな苔が生えており、鳥の鳴き声がどこか遠くから聞こえてくる。「ここ、どこだ……?」アレンは身を起こし、周囲を見回した。教室はおろか、近代的な建物の影すらない。代わりに、幻想的とも言える景色が広がっていた。すると、突然、頭の中に声が響いた。

『――勇者よ。我らが世界〈イストリア〉にようこそ』

「……は?」

『そなたに宿りし紋章の力が、この世界を救う鍵となる』

意味のわからない言葉に困惑しながらも、アレンの右手に熱が走った。見ると、手の甲に複雑な模様の紋章が浮かび上がっていた。幾何学的な形状で構成されたその紋章は、淡い青い光を放ち、まるで生きているかのように脈動している。「これ……何なんだよ」恐る恐る触れようとしたとき、茂みの奥から人影が現れた。

「おい、誰だ!そこで何をしている!」

現れたのは、銀髪の少年だった。腰には長剣を下げ、青いマントをなびかせている。アレンと同じくらいの年齢に見えるが、明らかに戦い慣れた雰囲気を纏っていた。「えっと……オレはアレン。どこかの……森に迷い込んで……」

「異界の者、か。ならば話は早い」

銀髪の少年はアレンの手の紋章を見ると、目を見開いた。「まさか……光の紋章!君が、選ばれし者なのか……?」

「いや、そんな……オレには何が何だか――」

「すまない、混乱しているのは分かる。でも、君はこの世界にとって、希望なんだ」

銀髪の少年はアレンに歩み寄り、静かに手を差し出した。「俺はライネス・オルデン。〈紋章騎士団〉の副団長だ。君を本拠地へ案内する。話すべきことが山ほどある」

アレンはその手を見つめた。現実感のない出来事に戸惑いながらも、どうしようもない不安と、それを越える好奇心が心を満たしていた。「……わかった。行くよ、ライネス」

こうしてアレンは、異世界〈イストリア〉での第一歩を踏み出した。何も知らぬまま、ただ運命に導かれるままに――。

アレン・クロフォードがその日目を覚ましたのは見知らぬ森の中だった。深く澄んだ空、湿った土の香り、そして小鳥たちのさえずり。数秒前まで彼がいたのは、高校の教室だった。数学の授業が終わり、窓の外をぼんやり眺めていたとき、突如現れた白い光に包まれたかと思うと、全身が水に溶けるような感覚に襲われ、そして気づけばここにいた。「夢か……?」そう呟き、あたりを見回すと、木々の間から一筋の光が差し込んでいる。現実とは思えないが、触れる草木の感触、肌に刺す風の冷たさはあまりに生々しい。突然、頭の中に声が響いた。「勇者よ。目覚めの時だ。汝は光の紋章を持ちし者。世界を救う者となるであろう」その瞬間、右手の甲に熱が走る。見下ろせば、淡く輝く青い紋章が刻まれていた。幾何学模様のようなそれは、まるで呼吸をするかのように脈動している。混乱と恐怖、そして好奇心がないまぜになりながらもアレンは立ち上がった。「何が起きてるんだ……?ここはどこなんだ?」そんなアレンのもとへ、茂みの奥から少年が現れた。銀髪の青年で、腰に剣を下げている。警戒するように目を細めた彼は、アレンの右手を見て言った。「まさか、光の紋章……!君が、選ばれし者なのか?」話を聞くに、ここは〈イストリア〉と呼ばれる異世界で、アレンの持つ紋章は遥か昔から伝わる五つの紋章の一つ、光の紋章であり、それを持つ者は世界に災いが迫る時に現れる救世主だという。半信半疑のまま、アレンは彼――ライネス・オルデンと名乗った騎士に連れられ、紋章騎士団の本拠地〈グラーディア城〉へと向かった。城は巨大な石造りで、門番たちはアレンの姿を見ると敬礼し、ライネスに促されるまま大広間へと通された。そこには騎士団長のロイ・バーンハルトをはじめ、多くの団員たちが待っていた。彼らの説明によれば、〈イストリア〉にはかつて〈冥界の王〉ヴァルザークという存在が封じられていたが、最近になってその封印が弱まり、魔獣たちの活動が活発化しているという。光の紋章を持つ者は、その災厄を封じるために異世界から召喚される運命にあるのだと。困惑するアレンだったが、彼の前に一人の少女が現れる。栗色の髪に緑の瞳を持つ彼女は〈癒しの紋章〉を持つセリス・アルヴェイン。彼女はアレンをまっすぐに見つめ、「あなたが来てくれて本当に嬉しい」と微笑んだ。その言葉に、アレンの中の何かが動いた。初めて、自分の存在が誰かに必要とされていると感じたからだ。それからの日々、アレンは騎士団に身を置き、剣術や魔法の訓練を受けることになった。最初は全く歯が立たなかったが、彼の中に眠る紋章の力が徐々に覚醒し、やがて雷の魔法〈ライゼ・アーク〉を使えるようになった。ある日、東方の村が魔獣に襲われたという報告が入る。アレンはライネスやセリス、そして風の紋章を持つ弓使いの少年カイと共に村へ向かう。現地は壊滅状態で、巨大な魔獣・オルグレムが村人を襲っていた。初めての実戦に足がすくむアレンだったが、仲間を守りたいという強い想いが紋章を輝かせ、〈雷撃双槍〉の技でオルグレムを撃破。人々から感謝される中で、アレンの決意は固まった。「オレ、この世界を守るよ。力があるなら、それを使う理由も……きっと、ある」その後も彼らは各地の村や都市を巡り、紋章の力を持つ者たちと出会っていく。大地の紋章を持つ巨漢戦士グラント、炎の紋章を持つ少女フェリア、そして最後に見つけたのが、闇の紋章を持つ謎の少年ユーゴだった。彼はかつてヴァルザークに操られ、村を滅ぼした過去を持ち、深い罪悪感と孤独を背負っていた。だが、アレンは彼を拒まなかった。「お前も一緒に戦おう。過去を背負うのは、俺たちみんな同じだろ?」その言葉にユーゴは涙を流し、仲間に加わった。ついに五つの紋章が揃い、アレンたちは冥界の門がある〈絶望の大地〉へと向かった。そこにはヴァルザークの眷属たちが待ち構えており、激戦が繰り広げられる。仲間たちがそれぞれの紋章の力を最大限に発揮し、道を切り開いていく中、アレンはついにヴァルザークと対峙する。ヴァルザークはアレンに語りかける。「お前も人の心の弱さを知っているはずだ。希望など幻想だ。絶望こそが真実だ」だがアレンは叫ぶ。「違う!たしかに人は弱い。けど、だからこそ助け合える。誰かのために戦えるんだ!」そして彼は全ての紋章の力を束ね、究極魔法〈セレスティアル・ブレイザー〉を発動。光の柱が天を突き、ヴァルザークは消滅した。戦いの終わり。仲間たちと抱き合い、涙するアレン。だが、彼にはまだ別れが残っていた。「君はもう帰らなきゃいけないんだよね」とセリスが言う。アレンは頷いた。「けど、ここで過ごした時間は、全部オレの中にある」そして再び白い光に包まれ、アレンは元の世界へと戻った。だが、教室の窓から見える空の色は、ほんの少しだけ鮮やかだった。

ファンタジーものは初めてなので設定がおかしくなっていますね

長く書く気力と自信がないので短くなると思います

今日のうちに残り書いちゃおうと思うので待っててください

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