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1 ピッタリサイズのマイクロビキニ

暫くお休みをいただきましたが、今日から投稿を再開します。

毎日11時に投稿予定です。

少しでも楽しく読んで頂けるように頑張りますので、宜しくお願いします。

頼運

最後の試験が問題無く終わった。

「今日は仕事が一杯あるから、試験が終わったら直ぐに帰って来なさい。」

朝、レイナ母さんに言われた。

父さんや俺の都合を聞かずに用事を言い付けるのは、キラ家女性の得意技。

父さんを見ていたので、俺も慣れている

遅れたら絶対に怒られる。

学年末試験が終わると、友人達に挨拶する事も無く、すぐにいつものトイレに向かった。

転移は秘密なので人目に付いてはいけない

あれ?

友人達って誰?

トイレに向かいながら、考えてみた。

少し話したのは寮や研究室で一緒になった先輩達。

先輩達はもう卒業している。

他は俺を連行した大勢の警備員さん達と、取り調べ担当の警備隊長さん。

新しい魔法の実験で壊した施設の弁償関係で会った事務長さんや学院長。

これって友達じゃないよな。

同じクラスの学生とは挨拶程度で、話した事など殆ど無い。

俺って友達が居ない?

まあいいか。

俺にはイータという素敵な奥様が居るのだ。

気持を切り替え、トイレから転移で王都屋敷に戻った。



キラ家王都屋敷は、元々王都が嫌いで何度もストンに帰ろうとした父さんを、前王が何やかやと理由を付けて無理やり王都に住まわせたのが始まり。

今のキラ家は王国の役職に着いている訳では無いので王都に屋敷を持つ必要は無い。

父さんが王国を追放された時に撤退の話が出たが、俺達末の4姉弟がまだ王立学院に在籍していたので、規模を大幅に縮小して屋敷だけを残した。

俺達4姉弟が学院を卒業したら、もう王都屋敷を維持する必要は無い。

明日早朝に王都屋敷を撤収する事が決まっていた。



「転移で跳べば一瞬なのに。」

卒業試験前、撤収する時は4姉弟が揃って馬車で移動するとレイナ母さんから言われて、姉さん達はぶうぶう言っていた。

わざわざ馬車で行くのは時間が掛かる。

移動中の身の周り品や、着替えを選ぶのがめんどくさいと言っていた。

といっても、選ぶのは侍女さん達。

思い通りにならないと文句を言うのは姉さん達のさが。

姉さん達は魔獣討伐が大好き。

馬車で移動するよりも魔獣討伐に行きたかったようだ。

強い魔獣と対峙する時の緊張感が堪らないらしい。

戦闘が嫌いな俺には全く判らないけど。



「西部貴族連合の盟主であるキラ侯爵家が王都屋敷を引き払った、という事を広めるのが大切なの。」

レイナ母さんが説明してくれた。

母さん達は何か日常と違う事が起きたら、その度に俺達にも丁寧に理由を説明する。

キラ家伝統の情報共有。

「そうなの?」

受け答えは下の4姉弟で一番先に生れたナイ姉の役割。

「新王になって、西部貴族への国税増加要求が出されたし、王都の治安も悪化したでしょ? キラ家としては、新王の政策には不満があるという立場を示す必要があるの。」

「ふ~ん。」

姉さん達は関心が無いらしい。

俺も関心無いけど。



「父さんは追放されたけど、キラ1族は西部貴族連合の盟主のキラ侯爵家を筆頭に3伯爵家、8子爵家という大勢力よ。しかも、アシュリー公爵家やドラン侯爵家、キュラナー辺境伯家という大貴族が後ろ盾。王家や貴族達は税負担の増加を突き付けられたキラ家がどう動くのかを見ているの。今甘い顔をしたら、脅せば簡単に言う事を聞く一族だと思われるの。」

「そうなの?」

「王家や貴族はそう言うものよ。王家の言うが儘にはならないって、王家にも貴族にも王都民にも知らせる事が大切なの。」

「王都民にも?」

「王都の混乱は王家の責任で、キラ家とは関係無い事と示して置かないと、王都民を救う為に金を出せという事になりかねないの。」

「ふ~ん。」

貴族は色々とめんどくさいらしい。

「堂々と屋敷を撤収する事で、キラ家が王家でも王都撤収を止められない程の大貴族だという事を貴族達や王都民に示すの。」

「判んない。」

脳筋の姉さん達には判らないらしい。

頭脳担当の姉さんは上の4人、真ん中の4人はお勉強もするけど脳筋寄り、下の3人は完全に脳筋というか魔法バカ。

下の姉さん達に難しい話をしても無駄だと思うけど、母さん達はいつも丁寧に説明してくれる。

末っ子の俺は良い子だから、馬の耳にネンネンコロリ。

難しい話をスルーする練度がどんどん上がっている。



「キラ侯爵家が王都屋敷を閉鎖すれば、王家と西部貴族連合との交渉は、王都から2千㎞も離れた領都キラとの間を両家の使者が往復して行うことになるの。」

「王都に屋敷が無いのだから、そうなるわね。」

「王家や西部連合盟主の使者ともなれば、それなりに身分のある貴族が、多くの護衛を引き連れて、立派な馬車で堂々と訪問する形になるの。どれくらい時間が掛かる?」

「え~と、片道2ヶ月くらい?」

「そう。王家が何かの要求をして来ても、交渉が纏まるまでには使者が何往復もするから何年も掛かるの。はっきり言えば、新王とは暫くの間交渉をしないっていう意思表示よ。」

「ふ~ん。」

やっぱり姉さん達は判っていないらしい。

俺?

姉さん達に判らない事を俺が判る筈など無い。



屋敷に着くと、使用人達が明日の出発に備えて忙しそうに走り回っていた。

試験が終わってわずか5分、これなら怒られない。

転移はめっちゃ便利。

「レイナ母さんは?」

「お帰りなさいませ。レイナ様はロビーで指示を出しております。」

「ありがとう。」

通りかかったメイドに聞いてロビーに向かった。

「お帰り、ロビーの荷物を収納したら、屋敷に張って置く結界の準備よ。」

レイナ母さんは俺の顔を見るなり仕事の指示を出す。

うん、いつものレイナ母さんだ。

「はい。」

間髪を入れずに返事する。

小さな時から母さん達や姉さん達にしつけられたから躊躇はしない。

一瞬でも返事に間が開くと機嫌が悪くなるのはキラ家の常識。

返事は“はい”か、“よろこんで“。

父さんと俺は即答のスキルを持っているから問題無い。



レイナ母さんに指示された仕事をこなしていると姉さん達が戻って来た。

姉さん達のお仕事は戦い。

今日はお仕事が無いのでのんびりしている。

「ハリー、夏用のショーツをお願いね。」

ええっ!

姉さん達は暇かもしれないけど、俺は忙しいぞ。

「父さんがブロン姉達の結婚祝いに贈ったのと同じデザインにして。」

「あれなら布地が少ないから涼しいし、作るのも簡単でしょ。」

3人で打ち合わせでもしたのか、いきなりショーツを注文された。

確かに涼しいかも知れないけど、あれは露出が多すぎだろ。

父さんがブロン姉達の結婚祝いに贈ったのは所謂紐パン。

股間にめっちゃ小さな三角形の布があるだけで、尻は殆ど丸出し。

しかも小さな布は殆ど透けている。

父さんは“マイクロビキニ”と言っていた。

”ビキニ“の意味は判らないけど。

あのショーツのお陰ですぐにひ孫の顔を見れた、とお祖父さん達が喜んでいたから、“マイクロビキニ”という物は神様が赤ちゃんを運ぶ目印なのかも知れない。

でも、屋敷で寝る時ならともかく、子爵家当主の旅行用下着があれでいいのか?

「そうね、色違いを3枚ずつ作っておいて。」

いいらしい。

3枚と言う事は毎日あれを履くつもりらしい。

俺に洗濯させるから3枚あれば毎日履き替えられるという計算なのだろう。

はぁ。

触らぬ姉に祟り無し。

返事は“はい”か“よろこんで”の二者択一。

「はい。」

屋敷に張って置く結界の準備をしてから、姉さん達用ショーツを作った。

股間以外は殆ど紐なので確かに作るのは簡単。

姉さん達のサイズに合わせて布の位置や大きさを微調整すればピッタリサイズのマイクロビキニショーツの完成。

それでも9枚のショーツを作ったら夕食時間ギリギリだった。


9月20日から新作”ギルドの引き籠り回復師”を投稿しています。

読み易い様に1話の文字数をめっちゃ少なくしてみました。

毎日10時に投稿していますので、こちらも読んで頂ければ幸いです。

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