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53 新しい振り付けの”赤ちゃんが欲しいダンス“

夜はイータと一緒にお風呂。

姉さん達に教えて貰ったそうで、優しく丁寧に洗ってくれる。

2人で過ごす寝室も楽しい。

イータはダンスの振り付けを考えるのが好きなようで、毎週新しい振り付けの”赤ちゃんが欲しいダンス“を俺に教えてくれる。

時々難しすぎる振り付けもあって関節が“ゴキッ”となる事があったり、激しい動きでベッドが壊れる事もあるけど、2人で新しい振り付けに挑戦するのはめっちゃ楽しい。

同時に飛び上がって回転したり、1瞬だけ離れて直ぐに体の向きを変えてくっつくなどの難しい技に挑戦したお陰で、イータも身体強化がめっちゃ上手くなった。

今は同時に飛び上がり、密着させた腰を動かしながら空中で逆方向に2回転する技に挑戦中。

2人の息が合わないと離れたり動きが止まるのでめっちゃ難しくて集中力が必要になる。

2人の息が合って技が決まると、めっちゃ気持ち良くなれる。

イータの話では立体的に動くのはA難度の技で、もっと難しいS難度の技もあるらしい。

いつかはS難度にも挑戦したいと思っている。

ダンスが終わると、イータの胸に手を置いて眠る。

エルフ特性でイータの胸は小さいが、大きさなど関係ない。

イータの胸に手を置くと鼓動を感じられるせいか、心が落ち着き安心して眠れる。

大きくても小さくても“おっぱいは偉大なり“というのは全世界共通の真理だと実感した。

休日が終わると次の情報当番にあたっている母さんを連れて王都屋敷に転移する。

そして新しい週の日常が始まるというのが俺の1週間。



いつも通り父さんの下に向かう母さんを連れてエルフの街に転移した。

いつも通りにイータが出迎えてくれた。

「ねえねえ新しい魔法を覚えたの、見て見て。」

「お、おう。」

忙しいのにわざわざ転移部屋の外まで出迎えに来てくれたお義父さん、お義母さんへの挨拶もさせずに俺を庭へと引き摺り出す。

いつもながら俺の話を聞かないイータにお義父さん達が苦笑いしてる。

イータが腕を上げて庭先の木を指さすと、指先から何かが出て木の枝が吹き飛んだ。

「えっ?」

何かが指先から飛んだが、早くて見えなかった。

「もう1回。」

「いくわよ、3・2・1、えい!」

今度は見えた。

「石弾?」

石弾の様に見えるが形が変だし回転していた?

最近は的役をしないので忘れていたが、姉さん達の攻撃魔法も弾が回転していた。

「土の精霊に木の実の形の石弾を回転させるようにお願いしたの。キラ様が教えてくれたのよ。」

少なくとも俺の氷槍よりも早いし威力がある。

俺の攻撃魔法は5歳の時に母さん達に教えて貰ったもの。

攻撃魔法にはあまり興味が無くて、すぐに練習を辞めたので普通の氷槍しか使えない。

週末はイータと魔獣討伐をしているし、最近は王都近郊でも魔獣が出ると言う話を聞いていたので、もっと攻撃魔法の練習をしようと思っていた時だけに興味が湧いた。



「父さん、俺にも攻撃魔法を教えて。」

「おう。ハリーは氷弾と氷槍だったな。」

父さんは子供が興味を持たない魔法は教えない。

俺の氷弾や氷槍は最低限の攻撃魔法としてリューラ母さんに無理やり教え込まれたもの。

何故か攻撃魔法には面白さを感じなくて自分から覚えようという気にはならなかった。

夢中になって撃ち捲っている姉さん達の間に入って行くのが怖かったのかも知れない。

「うん。」

大人の男同士なので父さんへの返事は“うん“が多い。

女性への返事は勿論“はい”か“よろこんで“。

「まずは氷弾の威力を上げようか。」

「うん。」

「1m位の氷の塊を出せ。」

空中に1mの氷の塊を出した。

「それを空間圧縮で2㎝にしろ。」

「うん。」

空間圧縮は魔獣素材でナイフを作った時に教えて貰った。

物質を結界で囲んで魔力を込めながら圧縮する技術。

氷の塊が2㎝になった。

「あの石を撃ってみろ。」

氷の塊を岩に向けて飛ばした。

岩が少し砕けた。

近寄って見ると3㎝くらい抉れている。

今迄の氷弾は表面に傷が付く程度。

めっちゃ威力が上がっている。



「イータの石弾を見ただろ。大きな物を凝縮して小さくすると比重が上がる。つまり、硬く重くなるから威力が上がる。火魔法の場合は温度が上がる。木の実の形にさせて回転させると威力と命中率が上がるだけでなく飛距離も伸びる。慣れたらイメージだけで作れるが最初は魔力成型で作ってみろ。」

魔力圧縮をしながら魔力成型でイメージ通りの形にするのはナイフ作りで経験済み。

1mの氷を3㎝程の木の実に形にした。

「回転させながら撃ってみろ。」

回転するイメージを描きながら打ち出す。

ヘロヘロと氷弾が飛んで地面に落ちた。

「回転しながら“飛ぶ”だ、飛ぶも意識しろ。」

父さんから声が掛かる。

そう言えば回転にばかり意識が行っていた。

”回転しながら、飛ぶ。回転しながら、飛ぶ“。

イメージを固めて、発動させる。

“氷弾”

今度は上手く飛んだ。

石を見に行くと大きな石が二つに割れていた。

「来週は王都屋敷の訓練場で練習しろ。“氷弾”の100発同時発射が出来ていたのだから新しい氷弾でも100発同時発射が出来る筈だ。それが出来たら次の攻撃魔法を教えてやる。」

「うん、頑張る。」

平日の午前中は図書館で研究、午後は王都屋敷の練習場で“氷弾“を撃ち捲るのが日課になった。



氷弾の100発同時発射が出来るようになったので、翌週は“光弾”を教えてくれた。

「ハリーにとっては新しい魔法だからハリーの魔力を使って撃つぞ。」

魔力が見える父さんならではの教授法。

後ろから俺の体に触りながら俺の体内魔力を操って魔法を発動させる。

俺には発動の時に一瞬現われると言う魔法陣は見えないが、魔法陣に流れた魔力が魔法へと変換される過程は何となく感じられる。父さんに言わせると術式というものらしい。

結界の魔道具を作る時に幾つかの魔法陣を魔力の回路で結ぶが、その結び方が術式らしい。

父さんの力で何度か魔法を発動して貰うと、術式が体に馴染む感じがした。

「今度は一人でやってみる。」

父さんに発動して貰った“光弾”のイメージを固める。

”光弾“

ちょこっとだけど光った。

「うん、良い感じだ。俺が撃ってみるからイメージを固めろ。」

父さんが光弾を撃つ。

「大事なのは距離のイメージ。光弾はきちんと距離をイメージしないと離れるにつれて拡散して威力が出し難い魔法だ。どれくらいの距離を飛ばすかをイメージしてから撃て。」

父さんが様々な距離で消える光弾を撃つ。

父さんの光弾を思い浮かべながらしっかりとイメージしながら光弾を撃つ練習をした。

僅か半日なのにめっちゃ疲れた。

「光弾は魔力の消費量が多い。しっかり練習して練度が上がれば魔力の消費量が下がる。大事なのは練習だ。」

「うん。」


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