9 服が透けて見える眼鏡
今日は王都の名所巡り。
最初に連れて行って貰ったのはギルド本部に近い中央公園。
中に入るとどこまでも広がる整備された林。
ここが王都の中とは信じられない程の広さ。
林の中にポツン、ポツンと大きな建物が建っている。
10分程歩いて着いたのが二つの尖塔を持つ巨大な教会、王国大聖堂。
大聖堂の前には野球場よりも遥かに大きな広場があり、広場を囲む林の近くには沢山の屋台が並んでいる。大聖堂の横や後ろには幾つもの大きな建物が見える。
「先に大聖堂の見学をしましょうか。」
「うん。」
両側に10階建て位の尖塔を持つ6階建て位の巨大な建物。
壁にも様々な彫刻が施されて、建物自体が芸術品という感じがした。
巨大な入り口を潜ると正面に礼拝室の大きな扉。
開かれた扉の先は礼拝用の場所らしく、数百人の信者が床に膝と両掌を付けて祈っている。これがこの世界の祈りの作法らしい。
その奥に演壇が有り演題の中央には机っぽい説教台?
演壇後方の壁際には沢山の神像が並んでいる。
中央にはひと際大きな神像、左右に少し小さめな神像、更にその左右に小さな神像が沢山並んでいる。
礼拝室の周囲にある色とりどりのガラスをはめ込んだ沢山の窓から優しい光が差し込んで、神像や礼拝室を厳かな雰囲気にしている。
「正面にいらっしゃるのが創造神様、右が生命神様で左が時空神様、沢山ある小さな神像は私達に加護を下さる神々よ。」
八百万と迄はいかないが、この世界には沢山の神様がいるらしい。
前世の様に御利益が有るのか無いのか判らない神ではなく、加護という形で明確な利益を与えてくれているので人々の信仰心も厚いのだろう。
創造神様は俺が思っていた痩せたお爺さんのイメージとはかけ離れた、仁王様のような筋骨隆々のおっちゃん。
世界を睨みつけているような怖い表情なのに何故か優しさが感じられる不思議な像だった。
俺が元気に生きていられるのは創造神様のお陰。
見様見真似だが、信者達同様に膝を付き両掌をペタリと床に付ける。
“お陰で元気に暮らしております。これからも見守っていて下さい”
心の中で感謝の言葉を奉げた。
礼拝室を取り巻く廊下にはそれぞれの神様のエピソードらしきものが描かれた絵画が沢山飾られていた。
創造神様の絵では、宙に浮かんだ創造神様が大きな杖の先から神々を生み出している様子が描かれていた。
「お昼は屋台で食べようか。」
俺が広場に並んでいる屋台をじっと見ていたせいかカリナさんに気を使わせたようだ。
自慢じゃ無いがストンには屋台が無い。
ストンはど田舎なので屋台の商売が成り立つほど人がいない。俺にとっては初めて見る屋台に目が釘付けになっていた。
「うん。」
嬉しくて”はい”を忘れてしまう。
この世界の屋台初体験。
テンションが上がる。
「キラは何が食べたい?」
「えっとね~、・・・。」
屋台の近くを歩きながら良さそうな店を探す。
屋台を見ると殆どが銅貨2枚、所々に3枚と4枚。
「これ。」
見つけたのは良い匂いがしている串肉。
大きな謎肉か3つ串に刺さっている。
「おじさん、2本頂戴。」
カリナさんが注文してくれた。
俺は金袋を取り出して銅貨を数える。
「ギルドからお金を預かっているから大丈夫よ。」
「そうなの?」
「王都にいる間の食費は全部ギルド本部が払ってくれるからキラは心配しないで良いの。」
「いいのかな?」
部屋代も食事代も護衛料も全部ギルド本部持ちって、後で何かさせられるのではないかと不安になる。
「ギルド本部はお金持ちだから大丈夫よ。」
カリナさんに笑われた。
焼き立ての串肉はめっちゃ美味しかった。
食べ終わると直ぐに次の店。
謎肉と謎野菜の煮込みを平らげて、締めは違う店の謎串肉。
3件の屋台でお腹一杯になったので果実水を買って公園のベンチで休憩。
「美味しかった。」
「そう、良かった。次はどこに行こうかな。この近くだと服屋、小間物屋、花屋に魔導具屋、露天商の集まっている路地とかかな。」
「露天商の路地。」
魔導具屋にも行ってみたいが、ストンには露天商は無い。
見た事が無いので興味を引かれた。
「じゃあ露天商を見に行きましょう。」
「うん。」
「でも露天商で売っている物は怪しい物が多いから、お店の人の言葉は8割嘘だと思って聞きなさい。後で騙されたと判ってもお店自体が無くなっている事も多いからね。」
「うん。」
少し歩いて路地に入ると両側に露天商が店を開いていた。
布の日除けっぽい屋根が有るのは上等な店で、地面に布を広げただけの店が多い。
店主は地面に置いた箱に腰掛けているか直接地面に座っているだけで呼び込みも無いし、値札も無い。商品の説明が書いてあるものもあるが何も書いていない物が多い。
「判らなかったら店主に聞きなさい。値段も交渉次第だから言い値で買ってはダメよ。」
「うん。」
まともな日用品や、アクセサリーもあったが、見るからに怪しい物もある。
“赤竜の鱗 金貨3枚”と“赤竜の牙 金貨15枚”と書かれた物があった。
どちらも真っ赤な色をしている。
「これが赤竜か?」
カリナさんが店主に聞いた。
「良い物に目を付けたな。これは今王都で解体中の赤竜の素材だ。ある貴族から特別に回して貰ったものだからこれしかない。明日には王都を発つから今日は特別価格だ。」
赤竜の事は秘密だと言われていたのにもう噂が広がっているらしい、王都怖わ。
それよりも赤竜って赤というより臙脂っぽかったし、牙は白かったよ。
タコやカニは茹でたら赤くなるけど竜もそうなの?
「鱗は全ての魔法を弾くと聞いたが本当か?」
「ああ本当だが完全に弾くのは生きている時。死んでからは魔法の威力を半減させる程度だ。それでも硬いから、この鱗で盾を作れば物理攻撃も魔法攻撃も殆ど防げる。」
カリナさんが食いついている。
「赤竜って生きている時からこの色なの?」
俺もおっさんに聞いてみた。
「そうだ。恐ろしく巨大な上に真っ赤だから遠くからでもすぐに判る。王国騎士団が見つけてバリスタで撃ち落としたんだ。」
竜はタコやカニとは違って茹でなくとも赤い?
「赤竜って臙脂色。牙は白だよ。」
カリナさんにこっそりと教えたらおっちゃんにばれた。
「坊主は安物の絵本で見たんだろう。本物はこれだぞ。」
怒られた。
カリナさんに物陰に連れて行かれた。
「キラは赤竜を見たのか?」
「うん。」
「ひょっとして倒したのはキラか?」
「倒したというか拾った? 王都に持って来たのは俺。」
「成程、それでこの待遇なのか。」
「でも秘密にしろって言われた。」
「誰にも言わないから安心して。そうか、キラが赤竜を倒したのか、・・・。」
とりあえず納得してくれたので良かった。
路地に戻った。
“呪いの石 持っていると呪われて死ぬ”
めっちゃ恐ろしい物が売っていた。
じっと見ると嫌な気配のする魔力っぽい薄い靄が見える。
「おっちゃんは呪われないの?」
「俺は呪い除けの石を持っているからな。」
「見たい。」
「人に見せると効果が落ちるから駄目だ。」
呪いの石は見せても良いの?
判らん。
”服が透けて見える眼鏡“を売っていた
見た目は望遠鏡っぽい筒。
「本当に透けて見えるの?」
おっちゃんに聞いてみた。
「おお、本当だ。但し朝の間しか透けて見えない。昼過ぎからは遠眼鏡としても使えるぞ。」
「今は透けて見えない?」
「そうだ。俺も朝はずっとこの眼鏡を使って楽しんでいたんだ。ウハウハだったけどもう飽きたから売ろうと思っている。金貨10枚でどうだ?」
「子供に変なものを売ろうとするな。」
おっちゃんがカリナさんに怒られた。
欲しかったのに、ぐぬぬ。
“古代遺跡の遺物“という立札の有る店があった。
“謎の卵” “燃える謎石“ “恐ろしい程重い謎石” “水に沈む謎の木” “底の無い謎の壺”
良く判らない物を売っていた。
“謎の卵”はどう見ても卵型に加工した石、“燃える石“は多分石炭。
“水に沈む謎の木”は黒檀っぽい?
“底の無い謎の壺”の下をちょっとだけ持ち上げて覗いたら本当に底が無かった。
「本当に底が無い。それに入れる口も無い。」
「そうだろ、だから謎の壺なんだ。」
「凄い。」
「普通の壺を逆さに置いただけじゃない。」
カリナさんにバカにされた。
言われて見ればそうとも言える。
判らないのは“恐ろしい程重くて堅い謎の石”。
長さ1.5m幅60㎝位ある歪んだ長方形っぽいデコボコした石。
全体はデコボコだが良く見るとデコボコ1つ1つの面はめっちゃツルツルで真っ黒。
「これ持っても良い?」
「恐ろしく重いぞ。」
抱えて見ると辛うじて石の途中に手が掛る程大きい。
デコボコを手掛かりにして持ち上げようとしたがかなり重くて動かない、多分500㎏位?
「本当に重そうだね。重しとして使えそう。」
手に触れた感じで希少金属らしいと判った。
「もしも坊主がちょっとでも持ち上げたら金貨10枚の所を半額の5枚で売ってやる。」
おっちゃんが笑いながら言った。
「・・・金貨3枚しか無い。そうだ、持ち上げられなかったら金貨2枚払うから持ち上げられたら金貨3枚で売って。」
「いいぞ。取り引き成立だ、とりあえず金貨3枚を出せ。持ち上げられなかったら1枚返してやる。」
「いいのか?」
カリナさんが心配そうに聞いてきた。
「うん、力試しだから。」
カリナさんに笑って金袋から金貨3枚を出した。
目一杯身体強化を掛けたら謎の石は何とか持ち上げられた。
「やった~!」
「参った、降参だ。石は坊主の物だ。この金貨は貰うぞ。」
おっちゃんは笑顔。
金貨3枚で売れたのが嬉しいらしい。
多分重すぎて取り扱いに困っていたのだろう。
俺は未知の素材が手に入ってニコニコ。
当分この石で遊べそう。
魔法袋に入れる振りをしてアイテムボックスに仕舞った。
本屋があった。
薄い本が並べられているが開けられない様に紐で縛ってある。
薄い本だからタダで読まれたら商売にならないのだろう。
××男爵の物語、ゴブリンでも判る計算、△×姫の日記、〇×国の成り立ち。
表題しか見えないが面白そうな本では無い。
幾つかの本は裏向けに置いてある。
「何で裏向け?」
「表紙が取れているから、表を上にしたらタダで読まれてしまうからな。中身は俺が説明してやるぞ。」
「これは何?」
「管理登用試験の問題集。」
「これは?」
「森熊の討伐法。」
「これは?」
10枚くらいの紙が綴じてあるが端がボロボロになったかなり古い本。
「これは・・女性のあそこの絵だ。」
おっさんが急に小さな声になってこっそりと教えてくれた。
「幾ら?」
俺も小声で聞く。
「銀貨3枚。」
「買った。」
思わず言い値で買ってしまった。
カリナさんが白い目で見ている。
おっちゃんとのやり取りを聞かれたらしい。
銀貨3枚を出して本を受け取る。
本をひっくり返すと、魔法陣が描いてあった。
決して如何わしい理由で買ったのではない、ほんとだよ。
裏からうっすらと見えていたんだよ。
「さっきの本は魔法陣の本か?」
本屋から離れた所で聞かれた。
武器屋で俺が魔法陣を描いていたので判ったらしい。
「使えるかどうかは判らないけど、古そうだったから買ってみた。」
「石も特別な物か?」
石は魔法袋に入れた・・振りをしてアイテムボックスの中。
「良く判らないけど特殊な金属っぽかった。素材として使えるかも知れないと思って買って置いた。」
「キラは買い物上手なのかも知れないな。」
褒められた。
”服が透けて見える眼鏡“を買えなかったのは心残りだが、楽しい買い物が出来た。
王都見物して暇を潰していたら、4日目の晩にギルマスが来た。
「キラは上級ポーションを作れるか?」
「はい。」
今日はギルマス相手なので“お返事はい”。
お祖母さんの遺したレシピと素材で作ったことがある。
「上級薬師の試験は王都でしか受けられん。王都にいるうちに受けておく方が良いぞ。」
もう王都に来る事は無いし、今は暇なのでこの機会に資格を取っておこうと思った。
「お願いします。」
翌日ギルマスに連れられて薬師ギルドに行き、試験を受けた。
課題は上級ポーションと中級魔力ポーションの作成。
2日以内に5本ずつ作り、それぞれ2本以上、合計5本以上完成すれば合格。
大勢の試験官の前で沢山並んだ素材の中から必要な素材を選び、用意された機材を使ってポーションを作る。
完成まで5時間半。
用意されていた素材の中に少し品質の悪いものがあったので手古摺った。
試験官がポーションを鑑定して即座に合格が決まった。
今日も王都見物。
王都は広いので色々と見る所がある。
今日はグルメツアー。
王都で評判の甘味店や有名料理店に案内してくれるらしい。
予約している時間まで王都を歩く事になった。
商業街を歩いていると制服らしきものを着た学生を何組か見かける。
「今日は学校が休みなの?」
「あれは王立学院の学生。貴族の子弟だから授業をさぼっても怒られないの。」
「そうなの?」
「先生達も貴族の推薦で雇われた人ばっかりだからね。」
「ふ~ん。」
「昔は学院内平等が謳い文句だったけど、今はダメ。学院内でも平民の子供は差別されるし、成績も裏金の金額順らしいわ。成績の良い平民はいじめられて学院から追い出されるから成績上位は貴族の子弟ばっかりだって。平民の優秀な進学希望者は王立学院では無く領地学校を希望するそうよ。」
「王立学院で良い成績を取ると追い出されるから?」
「そう。まじめに勉強したいなら領地学校って言われているわ。学院長も先生方もみんな平民を差別しているから貴族の子弟は平民相手にやりたい放題なんだって。」
伯爵家にいた頃、遠聴の練習でしょっちゅうメイドさん達の話を盗み聞きした。お陰で王国貴族、特に王都在住の貴族達のいや~な話を山盛り聞いてすっかり貴族嫌いになった。
噂だけでなく実際に母は殺されたし俺も殺されかけた。
お祖母さんも貴族の裏切りで死んだ。
王立学院の話を聞いてもさもありなんとしか思わない。
「まあまともな貴族なんて絶滅危惧種らしいからね。」
「絶滅危惧種?」
しまった、これは前世の言葉だった。
「えっと、・・昔は沢山いたのに今ではほとんど見かけなくなった動物?」
「面白い言葉。でも、本当にまともな貴族は絶滅危惧種よね。」
「あはははは。」
のんびり歩いたら予約の時間の少し前に甘味店に着いた。
お客さんらしい二人組が店員さんに案内されて席に行くところだった。
「予約したカリナです。」
「はい、すぐに・・・。」
「おい、席に案内しろ。」
王立学院の制服を着た4人連れが店に入るなり店員を怒鳴りつける。
「ただ今満・・」
「俺達は貴族だぞ。おっと、あそこに4つ空いてる。あそこにしよう。」
4人組が店員を押しのけて店の奥に向かった。
「おい、そこは俺達の席だ。おまえらは後にしろ。」
さっき案内されて行ったお客さんを押しのけて席に座る。
ムカッと来た。
「王立学院はバカばっかりだとは聞いていたが本当だな。順番すら守れないなんてゴブリン以下の大バカだ。子供がこれ程バカなんだから親はきっと大バカなんだろうな。バカ親の顔が見て見たいもんだ。きっとゴブリンよりも酷い顔をしているんだろうな。」
気が付いたら大声で怒鳴っていた。
どうも“腹が立つと弁も立つ“のが俺の性格らしい。
「貴様、今何と言った!」
店に入って行った4人が引き返して来た。
「順番すら守れない奴はバカだと言ったんだ。」
「俺達は貴族の家柄だぞ。」
「鶏ガラは良いスープが作れるが、イエガラっていうのは美味しいのか?」
「貴様、俺達を愚弄するのか?」
「バカにバカと言って何が悪い。」
「バカって言う奴がバカなんだぞ。」
もう一人の学生も口を挟んで来た。
子供か。
「子供だからと言って貴族を侮辱したら只では済まないぞ。」
「只じゃないってお小遣いでもくれるのか?」
「貴様~!」
殴り掛かって来た男の手首を掴んで表に放り出した。
「ガキが粋がるな!」
後ろから殴り掛かって来た男をヒョイと躱して足を出したら表に転がり出た。
残りの2人が剣を抜いたので表に出る。
こんな所で暴れたらお店に迷惑が掛かる。
表に出たら俺の前にカリナさんが立った。
そう言えばカリナさんは護衛だった。
「大丈夫だから危なくなるまでは手を出さないで。」
カリナさんを押しのけて4人の前に立つ。
既に4人共剣を抜いている。
剣を振りながら襲い掛かって来る4人を次々に張った軽いバリアで受け流す。
「お兄ちゃん達がいきなり剣を抜いて切り掛かって来たよ~。こわいよ~。」
大声で叫ぶ。
バリアで剣を受け流しながら時々弱い気弾で足元を掬って転ばせる。
バリアも弱い気弾も目には見えないので、傍目には切り損なって勝手に転んだように見える、筈。
4人いるので一人が転んでも誰かが襲い掛かってくれる。
「助けて~、剣で切られるよ~。」
大声で叫びながら逃げ回り、バリアで剣を流し、時々気弾で転ばせる。
「怖いよ~。助けてよ~。」
大声で叫びながら逃げ回るので大勢の人が集まって来た。
「助けて~、剣で切られるよ~。」
叫びながら逃げ回り、バリアで剣を流し時々転ばせる。
「おい、子供に何てことをするんだ。」
「お前ら王立学院だな。」
「王立学院は子供を襲うのか?」
集まって来た人達から声が上がる。
「助けて~、切られちゃうよ~。」
すれすれで躱しながら透明な気弾で転ばせる。
「こら止めろ。」
「子供をいじめるな。」
「人殺し。」
「人殺しだ。」
群衆の声が大きくなって4人も気が付いたらしくキョロキョロと周囲を見回した。
「おい、拙いぞ。」
1人が声を掛け、4人が一斉に逃げ出した。
「あ~、怖かったぁ。」
取り囲んでいる群衆に向かって大きな声で言った。
「ぷっ!」
後ろで吹き出す音が聞こえた。
振り返るとカリナさんがお腹を抱えて笑いを堪えている。
「何で笑ってるの?」
「だって、プハハ。だって、助けてくれって叫んでるキラが無傷で襲い掛かっている4人が血だらけだったから、ガハハ。」
そう言えば、4人は何度も転んだので石畳に擦れたズボンが破れて血だらけになっていた。
「まあそう言う事もある。」
警備隊が来ると拙いのでこっそりとギルド本部に帰った。
カリナさんがメイドさんに頼んでくれたので料理長特製の甘味を食べる事が出来た。
「さっきの戦いはどうやったのだ?」
「えっと、冒険者の秘匿?」
「何をどうしたのかは全く見えなかったが、少なくとも私より強いという事は判った。BランクどころかAランクでも不思議ではないわ。」
「あはははは。」
笑って誤魔化した。
お星様とブクマを戴けてテンションが上がりました。
これからも気魄一閃の精神で精進します。