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5 俺は炊事も洗濯も出来る立派な12歳

投稿再開後初めてお星様を頂きました。

頼運はおだてられると木に登るタイプなので元気が出ました。

これからも頑張りますので宜しくお願いします。

これからは1人で行動する事が多くなる。

今迄はいつも姉さん達と一緒だったから少し不安だけど12歳になったから大丈夫、かな?

必要な物はアイテムボックスに入れているのでダミー用のリュック一つを持って寮に向かった。

暫く歩くと貴族科の男子寮が見えて来た。

石造り3階建ての大きな建物が沢山並んでいる。

魔法使いが多い王都では大きな建物は土魔法を使って建てるので石造りが多いらしい。

「えっと、第5、第5。」

建物の壁に大きく数字が書いてある。

貴族科第5男子寮を見付けて中に入った。

姉さん達に教えて貰った通り出入り口の脇に管理人室がある。

窓口の前にあるベルを鳴らしたら窓口が開いて管理人さんが顔を出した。

優しそうな顔をしたおばちゃん。 

「新入生のハリ―です。今晩からお世話になります、宜しくお願いします。」

話すのは苦手なのでちょっと緊張したけど、代表挨拶の特訓をしたおかげでちゃんと教えて貰った通りに言えた。

「ハリー君ね。ハリー君、ハリー君、あった。ハリー君は308号室、3階の右奥よ。これが鍵だから無くさないようにしてね。食堂はこの廊下の先、朝と晩だけよ。お昼は学院の食堂で食べなさい。湯場はそっちの端よ。」

管理人のおばちゃんの説明を聞き、鍵を受け取って3階に上がった。

308と書いてあるプレートが掛かった部屋に入ると3畳ほどの部屋。

姉さん達にめっちゃ狭いと聞いていたけど、想像していたよりも広くて綺麗。

王立学院の寮は全て個室なので会話が苦手な俺にとっては有り難い。

大きめのベッドと机があり、机の横に棚が付いている。

ベッドの下にある箱が衣服などの収納らしいけど、俺はアイテムボックスの収納量が大きいので問題無い。

というより、出すのがめんどくさいから収納は使わない。

好きな事は頑張るけど、嫌な事はしない。

多分父さんに似たせい、という事にしておこう。

うん、俺は悪くない。

家族みんなが”ハリーはやりたい事をすれば良い“、“好きな事に突き進むのが男の道よ”と言ってくれているので学院でも好きな事だけを頑張るつもり。

俺は炊事も洗濯も出来る立派な12歳。

他は全然ダメだけど、何でも出来るよりも可愛げがあると姉さん達が誉めてくれたから問題は無い。

些細な事を気にしたら負けだ。

今日からはここが俺の城。

初めての1人暮らしにテンションが上がった。



ベッドに腰を下ろして、学院の先輩である上の姉さんや中の姉さん達に教えて貰った学院生活をもう一度おさらいする。

1週間が7日で、毎週同じ日の同じ時間に同じ授業がある。

週明け初日、2日目、3日目とか呼ぶらしいが、同じようにお日様が登って、同じように日が暮れるのに違う1日だなんて不思議でしかない。

最初に聞いた時はびっくりしたけど、学院のお勉強にはこうした1日の区別が必要らしい。

4週で1ヶ月、13か月で1年。

これは穀物の作付けや刈り入れ時期を知る為と姉さん達が教えてくれた。

そう言えば暑い時期や寒い時期があったとその時初めて気が付いた。

作物を育てるには適切な時期に作付けをして、きちんと育った時期に収穫する事が大切らしい。

1年中収穫できる薬草や温室で育てている薬草ばかり見ていたので作付け時期や収穫時期というものを知らなかった。

新しい事を知るのは楽しい。

姉さん達が教えてくれた学院での過ごし方をしっかり聞いたし、大切な所はメモしたから大丈夫な筈。

学院は週明けの日から5日間授業があって、残り2日はお休み。

今迄は毎日好きな事をしていただけなのでちゃんと出来るかちょっと不安。

授業は午前に2コマ、午後に1コマ。

研究科目は実習なので2コマ連続。

週末の2日は黒い森で姉さん達と一緒に冒険者活動。

姉さん達が時間割という物を作ってくれたので早速壁に張った。

毎朝確認すれば大丈夫、だと思いたい。



寮の1階にある食堂は朝と晩だけ開いていて、昼は学院の食堂で食べる。

制服が破れたりサイズが合わなくなったら給品部と言う所で交換してくれる。

王立学院は大陸1の教育施設なので、入学試験に合格したと言うだけで大変な名誉らしい。

名誉というものが何かは姉さん達に説明して貰っても良く判らなかったけど、美味しい食べ物では無い事が判ったのでそれ以上は聞かなかった。

卒業出来れば平民でも貴族や大商人から結婚や養子の話が山ほど来るので、経済的に苦しい学生でも親戚一同や領地貴族が学資や生活費を支援してくれるらしい。

お金という物を使った事が無いので学資や生活費と言われてもさっぱり判らない。

右から左へと聞き流した。

難しい話をスルーするのは得意。

父さんも難しい話をスルーするのが得意。

古代語で”馬の耳にネンネンコロリ“というスキルだと父さんが教えてくれた。

父さんが入学した頃は貴族の派閥争いや利権争いの結果高位貴族の子息達がやりたい放題して学院が乱れていたらしいが、今はそれ程でもなくて、学生達は親や親戚・地域の期待も背負って必死に勉強していると姉さんから聞いた。

とはいえ例外はいるらしく、1部の教授や腐れ貴族の子弟は貴族の権力を背景に威張っているらしい。

まあ俺には関係ない、多分。



建前上、王立学院内では身分に拘わらず平等だが、入学式後の自己紹介の時には俺達を侮蔑する悪口が教室のあちこちで囁かれていた。

平民の俺達は仕方ないとしても、4人いた男爵家と騎士爵家の子弟が自己紹介した時も悪口が酷かった。

男爵家は大抵が大きな街の代官で、子爵家はそこそこの町の代官。

地方の住民にとっては事実上の支配者。

その子弟となれば平民にとっては雲の上の存在、って姉さんが言っていた。

そんな男爵家や騎士爵家の子弟でも高位貴族の子弟が多い王立学院では肩身が狭いらしい。

高位貴族が下位貴族を見下すのは生徒の殆どが貴族という王立学院ならではで、平民に至っては論外の最下層、と姉さんが言っていた。

父さんが通っていた時は貴族の子弟もおとなしかったらしいが、ここ数年は貴族の子弟が平民や下位貴族の子弟を甚振る事件が偶に起こるらしい。

俺達4人姉弟は全員平民。

それなのに成績は総合1位から4位で姉達3人は全員美人。

当然のように風当たりが強く、廊下ですれ違っただけでも睨まれるのが普通だと中の姉さん達が言っていた。

上の姉さんや中の姉さん達も首席から4席独占だったので最初は睨まれたらしい。

“今もそうなの?”って聞いたら、笑っていた。

楽しそうに笑ったから大丈夫なんだろう。

睨んだ学生達がどうなったかは気になったけど、怖いから聞かなかった。

姉さん達を睨んで無事に済む筈が無い。

”ナムアミダブツ、チ~ン“

父さんから教わった幸せに死ねる呪文を心の中で唱えた。

俺は気にしないので問題無いけど、テン姉達は絡まれそうなので少し心配。

手を出した生徒が五体満足で生き残っていないとテン姉達が処分を受ける可能性がある。

俺がテン姉達を心配しているように、姉さん達は俺の事が心配らしい。

男はぶっ飛ばせば良いから問題無いけど、女学生は予想もしない方法で襲って来るから絶対に気を抜くなとさっきも言われた。

姉さん達と一緒に育った俺なので女性が危険と言う事は身に染みて理解しているつもりだけどこんなに何度も言われると怖くなる。

俺は常識をわきまえた12歳、女性と争うような非常識な人間では無いから大丈夫、な筈。

姉さん達こそ、学生を爆散させない様に気を付けて欲しい。



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