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24 奥様達は元気モリモリでお肌艶々 

間に合わなくて遅くなりました。

御免なさい。

R15なので大丈夫とは思いますが、ちょっと怪しい表現があります。

想像力の逞しい方は、危ないと感じた所から20行位飛ばして読んで下さい。


「皆中級魔法まで会得しているらしいけど、今日はどれくらい魔力が増えているかを確認して貰うのが目的だから初級魔法だよ。」

「「「「はい。」」」」

「まずは私からですわ。ストーンバレット!」

正妻であるレイナが少し離れた森に向かって初級魔法のストーンバレットを撃った。

木の幹に当たったストーンバレットが後ろの木まで貫き、2本の木が大きな音を立てて倒れた。

「ヘッ?」

レイナが変な声を出した。

「「「うそぉ!」」」

3人が驚いている。

「威力が上がってる?」

奥様達の魔法を見た事は無いから俺にはどれくらい変わったかが判らない。

「上がっているなんていうレベルじゃないわ。短縮詠唱のストーンバレットだと幹に少し食い込むくらいだったのよ。」

「同じクラスなので何度も見ていますが、あんな太い木を倒せるなんて信じられません。」

リーナの言葉にシャリーとリューラもコクコクと頷いている。

「大幅に威力が上がったのは確からしいね。人間相手なら今ので充分だけど、魔獣相手だと避けられてしまうね。あれだけ威力があるならもう少し小さなストーンバレットがもっと早い速度で飛んでいる所をイメージすれば魔獣にも当たると思うよ。小さい方が素材の傷も小さいから高く売れるしね。」

「キラ様の魔法は人間では無く魔獣を倒す為の魔法なのですね。」

「襲われたら人間相手にも戦うけど、基本的には魔獣と戦うのが冒険者だからね。」

「そうでした、私達は冒険者の妻でしたわ。魔獣に当てるにはどれくらいの速さですか?」

「う~ん、とりあえずの目標はこれくらいかな。」

見易い様に色を付け、速度を落とした2㎝の気弾を撃つ。

森の木に3㎝程の穴が開いた。

「そんなに早いのですか?」

「空を飛んでいる鳥さんに当てるならこれくらいの速さかな。」

普通の速度で気弾を撃つ。

銃弾並みの速度で飛んだ気弾が5~6本の木の幹を突き抜けた。

「凄く早いです。」

「俺も最初はめっちゃ遅くて鳥さんどころか森猪にすら避けられて慌てた事があったよ。何年も練習を重ねて漸くこの速さになったのだから焦らずに練習すれば大丈夫だよ。」

「頑張ります。」

「次は私よ。」

シャリーが前に出た。

「え~っと、小さく早く・」

「ちょっと待って。」

「何でしょう?」

「シャリーは火属性だよね。」

「はい。」

「森や草原では火魔法は禁止だよ。」

「そうでした。」

シャリーがしょんぼりと肩を落とす。

「屋敷に魔法の訓練場を作るからそれまで待って。」

「本当ですか?」

「ドランのギルドでお祖母さんの作った訓練場を見たから多分作れると思う。」

ドラン侯爵家のシャリーなら訓練場を見た事もある筈だ。

「はい、それまで待ちます。」

シャリーが笑顔になった。

うん、可愛い。

奥様達の笑顔を見ると俺も嬉しくなる。

「じゃあ次は私の番ね。」

リーナが前に出る。

「風魔法は見え難いから人間は殆ど避けられないけど、魔獣は直感で避けるから速度を上げる事を意識してね。」

「はい。風刃!」

リーナが風刃を撃った。

木の幹を両断して大きな木がゆっくりと倒れて行く。

「良い感じだよ。風魔法の欠点は威力が低い事だから風刃の速度と回転数を上げるようにイメージすればもっと威力が上がって堅い皮の魔獣でも切り裂く事も出来ると思うよ。」

「はい。えっと、速度と回転・・。風刃!」

速度は微妙だが回転数が上がって木を2本切り倒した。

「そう、そんな感じ。何度も練習すれば速度も回転数ももっと上がるからね。」

「はい、頑張ります。」

「最後は私ね。」

リューラが前に出た。

「リューラは氷魔法を使えるかい?」

水魔法は威力が低いので氷魔法が使えるか聞いてみた。

「アイスランスが使えます。」

アイスランスは中級魔法だけど、森の中でも火事にならない魔法なので大丈夫。

「それは凄いね。じゃあ速度を意識して撃ってごらん。」

「はい。速度、速度。行きます、アイスランス!」

2m程のつららが森の木に向かって飛んだ。

太い木が1m程の高さの所で爆散した。

「良い感じだよ。ただ今の大きさだと魔獣がミンチになるからもう少し小さな、そう、これくらいのアイスランスを回転させながら撃ってみようか。」

手で40㎝程の長さを示す。

「はい。大きさ、速度、回転。行きます、アイスランス!」

50㎝程のつららが森の木を貫いた。

「うん、いい感じ。基本的に攻撃魔法は発動までに一瞬の間を取って魔力を凝縮、小さくて硬い魔法を撃つ事。回転をつけると射程距離が延びるし命中精度が高くなるから練習の時は1発1発変化を見ながら丁寧に撃つのが大事だよ。」

「はい。」

「じゃあシャリー以外は自主練習。疲れたと思ったら魔力切れが近いから休憩だよ。」

「「「はい。」」」

「私は何をすれば良いですか?」

「シャリーは発動前の練習をしようか。」

「発動前ですか?」

シャリーが首を傾げる。

うん、可愛い。

いや、今は見とれている時ではない。

「火魔法というのは基本的には火事を起こす魔法だよね。」

「はい。」

「それも出来るだけ広い範囲に火事を起こせる魔法が上位の魔法と考えられてる。」

「はい。」

「だから大きな火の玉を作る方向に練習している魔法使いが多い。」

「そうですね。」

「ところが、火の玉を大きくすると射程距離が短くなる。」

「はい。」

「戦争なら弓よりも遠い距離、まあ100m位飛ばせれば充分だけど、魔獣相手だと100mなんて一瞬で詰められる距離だから危険なんだ。」

「そうなのですか?」

「上位の魔獣は100mを2~3秒で詰めて来るし、魔法攻撃の射程距離が100mを超える魔獣も多いよ。」

「・・・・。」

「だから火魔法も射程距離を延ばす必要がある。つまり、土や氷の魔法同様に小さくて威力のある火魔法を練習して欲しい。」

「小さくて威力がある、ですか?」

「例えば直径1mのファイアーボールを発射する前に5㎝に凝縮する。」

「凝縮ですか?」

「お祖母さんが遺した文献によれば、凝縮する事で温度が上がるんだ。赤いファイアーボールを凝縮すると黄色にさらに凝縮すると白、更に凝縮すると青になるらしい。青のファイアーボールはミスリルの鎧も貫くと書いてあった。」

何とか属性魔法を使おうと試行錯誤していた時にお祖母さんの遺した属性魔法に関する本で詳しく研究したので良く覚えている。

「ミスリルの鎧もですか?」

「お祖母さんの書き残した本だから間違い無いと思う。」

「凄い。」

「実は光属性の魔法でも同様の事が出来る。光の球を凝縮して撃てば高速高温、しかも数㎞先まで届く攻撃魔法になる。但し光魔法は魔力操作が難しいから俺の場合は思いついてから使えるようになるまで5~6年掛かったけどね。火魔法の場合は光魔法ほどの威力は出せないけど、シャリーなら短期間で超高温のファイアーボールを習得できると思う。」

「頑張ります。どうすれば良いですか?」

シャリーが元気になった。

「まずは1mのファイアーボールを待機状態にして魔力を込めながら小さくする練習だ。」

「はい、ファイアーボール!」

シャリーが杖を翳すと杖の先に直径3mの巨大なファイアーボールが浮かんだ。

慌てて結界で囲んで魔力を遮断する。ファイアーボールが消えた。

「済みません、1mのイメージだったのです。」

シャリーが肩を落とす。

「それだけ魔力が増えていると言う事だから喜んで良いよ。でも次は気を付けてね。」

「はい、頑張ります。え~っと、1m、1m。ファイアーボール!」

シャリーの掲げる杖の先に直径1.5m程の火の玉が浮かんだ。

「いいよ、いいよ。周りから押し込むようにして小さくして。」

「小さく、小さく、小さくな~れ。」

赤い火の玉が少しずつ縮んで1m程になると色が黄色に変わった。

「あっ、色が変わった。」

「そうそう、次は白くなるまで縮めよう。」

「もっと小さく、もっと小さく、もっと小さく。」

黄色の火の玉が50㎝程に縮まると色が段々と白っぽく変わっていく。

「休憩。」

シャリーに疲れが見えたので中止させた。

「はあ、はあ。」

シャリーの息が上がっている。

「火魔法は集中力が落ちると危険だから無理は絶対にダメだよ。基礎体力が不足しているだけで魔力は充分に残っているからしっかり休憩してもう一度やってみようね。」

「はい。」

他の3人は真剣に自主練習をしている。

暫く待って奥様達に声を掛けた。

「はい、休憩。お昼にするよ。」

「「「は~い。」」」

奥様達が集まって来た。

「凄く沢山撃ったのに、全然疲れた感じがしないの。」

「私も。今までなら10発位でフラフラしたのに30発位撃っても全然平気。」

「魔力がすっごく増えているのが良く判ったわ。」

3人がニコニコと笑いながら報告してくれる。

「うん、良かった。創造神様に感謝だね。」

「「「「はい。」」」」

草原にシートを広げてお弁当を出した。

料理長特製のサンドィッチとスープ。

「キラ様は属性魔法にも詳しいのね。」

「何とか使えるようになろうと色々と試したからね。結局使えなかったけど。」

「私達4人で5属性の魔法が使えるからキラ様には不要だと思ったのかしら。」

「創造神様ですから未来の事もお見通しだったのでしょうね。」

確かにそう考えると俺が属性魔法を使えないのも納得がいく。

「なる程、言われてみれば納得出来るな。」

「創造神様の期待に応えるには一杯練習しないと駄目ね。」

「頑張りましょう。」

「「「はい。」」」

「私達も光属性の魔法を練習するのだから、お手本にキラ様の光魔法を見たいわ。」

「私も。」

「う~ん、それはまた今度かな。」

「どうして?」

「出来るだけ見られないようにしたいんだ。見られると対策を考えられてしまう事があるからね。冒険者の秘匿って言うんだけど、陛下も見せろとは言えないんだ。奥様達には見せても良いのだけど、俺の情報を探る為にいつも5~6人の見張りがいるから今は無理。」

「今も見張りがいるの?」

4人がキョロキョロと周りを見回す。

「今日は多くて8人いるね。俺の真後ろ200m程の所にある大きな木の太い枝の上に一人。これは王家の影だね。」

4人が一斉に俺の後ろを見ると影が慌てて枝の後ろに隠れる。

「リーナの真後ろ300m程の所にある大岩の上に一人伏せている。顔がチラッと見えるよ。」

4人が一斉にリーナの後ろを見ると顔が引っ込んだ。

「本当だ。」

「あれは帝国の諜報部。帝国の諜報部はもう一人、リューラの後ろ2㎞程先の丘の上から遠眼鏡で覗いている。王家の影はもう一人、シャリーの後ろ300mの叢に隠れている。この4人が常連のメンバーだね。」

「常連って、キラ様が気付いている事を知っているの?」

「退屈した時に何度か遊んであげたからまあ顔見知り?」

「遊んであげたって?」

「足元に小さな結界を張って転ばせたり、真上を飛びながら手を振ってあげたり?」

「他の4人はどこの所属?」

「多分ミット侯爵派や周辺国に雇われた傭兵?」

「良く判らないのね。」

「顔ぶれがコロコロと変わるし、悪意を感じるから近づかないようにしている。」

「それでもミット侯爵派や周辺国って判るの?」

「”蒼い梟“っていう王都で一番大きい裏ギルドが俺の味方で色々と情報を流してくれてる。」

「キラ様は裏ギルドとも繋がりがあるのですか?」

シャリーが驚いて聞いて来た。

いや、悪い事には使ってないから大丈夫だよ。

「”蒼い梟“のボスは話の分かる男だから問題ないよ。他の裏ギルドもよっぽどのバカでない限り俺や俺の関係者には手を出さない、筈。」

「そうなの?」

「俺に手を出した大手の裏ギルド2つを壊滅させたから、まともな、いや王都の情報に詳しい裏ギルドはよほどのことが無ければ俺には手を出さない。」

「流石はキラ様です。」

奥様達にキラキラした目で見つめられると恥ずかしくて顔が熱くなる。

「さあ、午後の練習を始めるよ。」

熱くなった顔を隠すようにして立ち上がった。



「明日は同衾の儀ですから訓練はお休みです。」

2日連続の訓練から帰った晩、夕食後のお茶を楽しんでいたらレイナが宣言した。

この国では披露宴が終わった数日後に初めて夫婦が同衾すると聞いていたので驚きは無い。

「判った。」

世の中には逆らって良い物とダメなものがある。

お天道様とお嫁さんには逆らってはいけないという前世のネット知識があるので素直に頷いた。

前世では婚前交渉も珍しくは無かったし結婚式の晩が初夜だったけど、郷に入らば郷に従え、同衾の時期や作法は奥様達に任せる事になっていた。

イエローの情報では高位貴族が結婚した場合、婚姻相手が処女であったか否かを侍女頭が確認するらしい。俺自身は処女性にはこだわって無いし、何よりも結婚して貰えただけで幸せだと思っているので侍女頭の確認が無くても問題は無い。

そもそも前世でも女性経験が無かったのでネットで見た怪しい?知識しかない。

ネットにはビデオで見た通りにして即離婚されたと言う情報もあったので怪しいネット知識を使うのは危険、全てを奥様達に任せておけば問題無い、たぶん。

高位貴族の場合、複数の夫人がいるのは珍しくないらしいが、同時に複数の嫁を貰うと言うのはさすがに稀らしい。

王家ならば前例があるのではないかと、レイナがテリア殿下に頼んで調べて貰ったら数代前の王太子が3人の嫁を同時に娶った時の詳しい作法が禁書庫に残っていたらしい。

作法の中身については話してくれなかったが、王家の作法なら問題は無いはずなのでその時の作法通りに同衾の儀を行う事になった。



夕方に始まり、翌々日の昼過ぎまでほぼ丸2日に渡って続いた同衾の儀が終わり、俺はぐったりとソファーにもたれていた。

疲れてはいるが、気分は爽快。

同衾の儀式がこれ程素晴らしい物とは思わなかった。

前世を含めると45年目の春。

漸く男になれたという感激で顔がにやけてしまう。

奥様達は俺よりも体力が無い筈なのに、足元がふらついたのは儀式が終わった直後だけ。

今は元気モリモリでお肌艶々。

俺は未だに腰に力が入らなくて歩くのも怪しい。

何故だ。

判らん。

ソファーでは奥様方と同衾の作法を調べてくれたテリア殿下が賑やかに歓談中。

「どうだった?」

「最初だけは痛かったけど、確認して貰ってすぐに魔法で治したから問題無かったわ。」

「流石にトイレの時間以外はずっとっていうのは厳しいわね。」

「えっ、本当にトイレの時間以外はずっとしてたの?」

「テリアがそう教えてくれたじゃない。もう駄目だと判るまで2日間頑張ったわ。」

「あはははは。まあちょっとした冗談のつもりだったのですけど・・。」

「元気が無くなった時の対処法は素晴らしかったわ。」

「そうそう、お陰で元気が無くなってからでも直ぐに復活させられたわ。」

「・・・あれは王家の秘伝で、何としても血筋を残さなければならない時用なんだけど・・。」

何か怪しい話をしているようだが、疲れ切っていたのでぼんやり聞いているだけ。

「4人だから何とかなったけど、結構体力がいるから3人で”打ち止め“に持ち込むのはきついわね。」

「8巡目位から私達の動きも悪くなったわよね。」

「そうそう、股関節が痛くなった。」

「治癒魔法ですぐに痛みは取れたけどね。」

「8巡目・・、結局何回したの?」

「私とシャリーは12回。リーナの12回目にとうとうピクリともしなくなったの。」

「だから私とリューラが次の時の優先権を獲得したのよ。」

「46回・・・、流石はSランクね。」

「そうかしら。キラ様はベッドで仰向けになっていただけなのにあの通り疲れ切った顔をしているのよ。頑張って動いたのは私達なのにおかしいわよね。」

「そうそう。”お天道様が黄色く見える“とか訳の分からない事を言うし、終わった直後は私達以上にフラフラで真っ直ぐに歩く事も出来なかったの。Sランクってあまり体力が無いのかしら。」

「あはははは。一応一般的な閨の心得の本もあるから後で届けるわ。」

どうやらテリア殿下の情報は一般的な閨の心得とは違ったらしい。

同衾の儀式が終わってからは交代で2人ずつが添い寝してくれるようになった。

驚いたのは奥様の胸に手を置いているとすっごくよく眠れる事。

朝の目覚めがめっちゃ爽快になった。

チチよあなたは強かった?



奥様達も足腰が疲れたようで、同衾の儀の翌日だけは魔法の訓練を休んだがすぐに訓練再開した。

奥様達は急に魔力量が上がったので、一つ間違えれば魔力暴走の恐れがある。

俺にとって何よりも大切なのは家族になった奥様達の安全確保。

夏の長期休みの間に奥様達が安全に自主練習出来るまで魔力操作の練度を上げておくのが喫緊の課題。

今日は屋敷の中で魔力水の作成練習。

魔力水自体は光属性である必要は無いが、結界や空間魔法の基本となる光属性の魔力操作練度を上げる為にはいずれ光属性での魔力水作りも出来るようにはしたい。

まずは属性魔法を安全に発動出来るよう、魔力水作りで魔力操作の練度上げをして貰う事にした。

俺の体験だと魔力操作の練度上げには魔力水作りが最適。

水に流し込む魔力はどの属性でも良いが、魔力が飽和状態になるまで一定の量を流し続けなければならない。

俺は簡単に出来たが、1定量の魔力を長時間流し続けるのは難しいと母さんが言っていた。

注ぎ込む魔力量が少なければ同じ魔力量を維持し易いが、飽和状態になるまで時間が掛かる。かといって注ぎ込む魔力量を多くすると、魔力が不安定になって失敗し易い。

その日の体調や周囲の物音などによって魔力に揺らぎが起きても失敗し易い。

安定して注げる魔力量を意識しながら何度も魔力水を作り、注げる魔力量を徐々に増やしていくのが大切。

中級薬師の資格を持つリーナは1ℓの魔力水を作るのに2時間掛かっていたらしい。

奥様達の魔力が格段に増えたので、念のため4人の前には5ℓの水が入った大鍋を用意した。

「水が溢れかけたらすぐに中止してね。みんな魔力量が増えているから最初はほんのちょっとの魔力を流すイメージだよ。失敗したら薬草園に撒けばいいからゆっくりと同じ量の魔力を水が光るまで注いでね。」

4人が鍋に手を翳す。

杖を使えば流れる魔力量を増やせるが、波動に微妙な強弱が生じてしまうので魔力水作りには向かない。

掌から少量の魔力をずっと安定させたまま流し続けるイメージが大切。

4人が鍋に掌を翳したままじっと集中している。

「光った。」

25分程で最初に叫んだのはリューラ。

その後もレイナ、シャリーが完成させたが中級薬師の資格を持つリーナが苦戦。

魔力の流れを見ると体内魔力を制御して光属性の魔力だけを流している。

魔法水の魔力はどの属性でも良いが、最終的にはポーション作成や結界、空間魔法が出来る光属性の練度を上げたいので黙って完成まで待った。

1時間程でリーナの鍋が光った。

「何でリーナが一番遅いのよ。」

一番早く出来たリューラが口を尖らせた。

「リーナはポーション作成用に光属性の魔力を注ぐ練習をしていたからね。魔力水作りは何度も体験済みだから次の練習をしていた、違う?」

「エヘッ。」

リーナが舌を出して誤魔化している。

うん、可愛い。

つい見とれてしまう。

いや、今は魔力水だ。

「魔力を使えば使うほど魔力量が増えるのは知っているよね。魔力が沢山残っている日は寝る前に魔力水を作って魔力を使えば少しずつだけど魔力量が増えるよ。薬草園に撒くのは次の朝でも大丈夫だから寝る前には出来るだけ魔力を使うようにしてね。とりあえず暫くの間は一定量の魔力を長時間流す練習として魔力水の作成をするよ。」



屋敷の外から中が見えない結界を張れば監視役を気にせず魔法の練習が出来る。

結界を張ってからいよいよ光魔法の練習に取り掛かった。

「今日からは光魔法の基礎となるバリアの練習をするよ。」

「「「「はい。」」」」

「バリアは結界魔法や空間魔法の基礎だから自在に使いこなせるようになって欲しい。みんなが判り易いように色を付けてバリアを使ってみるよ。これが基礎の防御バリア。」

体の前に薄い青色に染めたバリアを展開する。

「魔獣などに襲われた時、とっさに展開出来れば身を守る事が出来る。実際に張るには技術がいるけど、今日はみんなの魔力を使って俺がバリアを張るよ。体の中で魔力がどう動いてどう発動するかの感覚を覚えてね。まず一番発動し易いのは掌を前に向ける姿勢。」

レイナの両手を持って掌を前に向けさせる。

レイナの魔力に意識を集中し、魔力の流れを加速しながら掌に集める。

「バリア!」

レイナの前に薄青のバリアが出来た。

「シャリー、そこの棒で叩いてごらん。」

ゴン、ゴン、ゴン。

「ビクともしませんね。」

「俺が張ったけど、使ったのはレイナの魔力だから、コツさえつかめばレイナも自力でバリアを張れるよ。」

あとは練習あるのみ。

レイナの手を離すとバリアが消えた。

「もう一回。」

レイナに笑顔で言われると断れない。

もう1度レイナの両手を持って掌を前に向けさせる。

「バリア!」

レイナの前に薄青のバリアが出来た。

「もう一回。」

「バリア!」

「もう一回。」

「バリア!」

「もう一回。」

「バリア!」

「なんとなく判った気がするわ。行くわよ、バリア!」

レイナの前に薄青のバリアが出来た。

「凄い。」

「流石はレイナ。」

「私もやる。」

驚いた事に全員が1日で基本のバリアを張れるようになった。

そういえば俺の奥様達は全員が王立学院魔法科の優等生だった。

「何か起こった時には即座にバリアが張れるように発動速度を速める練習をしてね。強度も大切だけど、発動速度が速ければ次々とバリアを張って何重にも出来るから1枚が破られても2枚目が防いでくれる。バリアを張る時に維持する時間を2分程度にイメージしておけばみんなの魔力量なら充分維持出来る筈だよ。」

「「「「はい。」」」」


前回は久しぶりにお星様を戴きましたが、今回は久しぶりにブクマを戴けました。

少し疲れて来た所でしたのが、元気が出ました。

お星様とブクマは戴けると素直に嬉しいです。

頑張ってカキカキするのでこれからも宜しくお願いします。


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