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21 馬がしゃべった

お嬢様方が到着した。

王宮で集合した5台の馬車が次々と門を入って来る。

会話が苦手な俺に気を遣って一緒に来ることになったとテリア殿下から連絡があったが、シバスチャン情報では皆が一番乗りを狙っていたので纏まって来ることになったらしい。

1対1でお嬢様の接待するのは怖いので助かった。

シバスチャンに言われて俺は正面玄関でお嬢様方のお出迎え。

騎士にエスコートされたお嬢様方に御挨拶。

うん教えられた通りに出来た、よね。

シバスチャンを見ると小さく頷いてくれたので大丈夫そう。

20人近い護衛騎士達は屋敷の使用人達に命じて馬車から大量の荷物を降ろさせ、侍従長のトーマスに案内されて待機室へと向かった。

それでも玄関ロビーに残っている侍女が10人。

人数を絞ってくれたらしいが、5人のお姫様に2人ずつで10名、まあそうなるな。

貴族のお嬢様をお招きするのは大変だ、使用人達が。

応接間のソファーに腰を降ろす。

奥にはホストである俺と一番身分の高いテリア。

俺の前には左右にお嬢様方が二人ずつ。

昼食の用意が出来るまではお茶会。

壁際には侍女さん達が一杯。

広い応接間なので閉塞感は無いが、見られてる感満載で自分の屋敷なのに居心地が悪い。

「お招きありがとう御座います。何か手土産をと思ったのですが、キラ様への手土産ですと各家のご当主を巻き込んでの見栄の張り合いになりかねません。皆で話し合った結果使用人の皆さまへの志にすることにしました。」

さっき降ろしていた箱は使用人達への土産らしい。

「実際に働くのは使用人達ですのでその方が有り難いです。」

お嬢様達の配慮に思わず笑顔になる。

俺への土産だと貰った方が気疲れする。

そもそも俺が貰って嬉しい物って有るのか?

う~ん、判らん。

「ほら、言ったとおりでしょ。」

「アクセサリーも着けているのを見た事が無いし、美術品にも興味が無い。謁見用の服ですら王宮で用意するまで持っていなかったという方ですからね。」

確かにその通り。

「あはははは。」

笑って誤魔化した。

「寮の下働きの話では、お部屋にも備え付けの物以外は何も無いそうですわ。」

「魔法袋をお持ちだからでしょうが、学院の購買部でも必要最小限の物以外を買った事が無いと言っておりましたからね。」

待て待て、どうやってそんな情報を集めたんだよ。

俺の個人情報はどうなってるんだ?

そんな会話の間にメイド達が慣れた手つきでお茶をセットしている。

「えっと、冒険者はいつどこへ行くか判らないので荷物を少なくするのが基本なのです。」

前世の勿体ない症候群のせいで、片端からアイテムボックスに収納しているだけ。

不用品が山盛り入っているせいでアイテムボックスがゴミ屋敷化しているのは秘密。

「それは知りませんでした。」

「余計なものを持ってこなくて良かったですわ。」

「本当ですわね。」

「宜しければ昼食迄の間、お屋敷を案内して頂けませんか?」

「良いですよ。」

お嬢様方に屋敷を案内する事になった。

俺自身もあまり判っていないが、シバスチャンが居るので大丈夫だろう。

1階の大広間や食堂などを説明し、2階に上がり廊下を左に行った突き当りへと案内する。

「ここが執務室です。」

大きな執務机とシバスチャン用の作業机にソファーセット。

書棚は有るものの書類が少しあるだけ。

「本当に何もありませんのね。」

「週末に溜まっていた書類を片付けるだけですから。えっと、隣が私室です。」

執務室からも私室に行けるドアがある。

広いものの、ベッドが一つとソファーセットが1組しかないのでがらんとしている。

隣に浴室やトイレ、従者用の部屋。

「この屋敷を拝領してもう1年以上になりますわよね。」

「そうなりますね。」

「本当に何もありませんのね。」

「あはははは。」

「他の部屋はどうなっているのですか?」

「2階の奥は客室と俺の家族用スペースだそうです。ここまでの廊下にあったのが来客の控室、執事と侍女長、侍従長の部屋が階段横にあり階段から右に行った所が客室らしいです。本館で働く使用人は全員3階です。」

客室に行ったことは無いし、3階には上がった事すら無い。

「この部屋から右に曲がった所が奥様用の部屋という事ですか?」

「判りません。執務室から先は一度も入った事がありませんので。」

「貴族の屋敷は大体同じような作りですから、キラ様の主寝室はこの先にある筈ですわ。」

「そうなの?」

シバスチャンに聞いてみた。

「はい。ご案内致します。」

執務室を出ると左にある今迄行った事の無い廊下を進んだ。

いつも階段から真っ直ぐ突き当りの執務室に行くだけ、右側に曲がった事は無い。

「こちらが旦那様の私室と主寝室になります。」

シバスチャンが説明してくれる。

初めて入ったが、あるのは大きな机と空の書棚にソファーセットだけ。

隣のドアを開けると大きなベッドにサイドテーブル。ソファーセットが一つ。

ここは階段から遠いし、広すぎるのでいつもの寝室でいいというのが俺の感想。

前世のG症候群を引き摺っているせいか、広い部屋は落ち着かない。

「他は奥方様やお子様の部屋を予定しております。」

「部屋が沢山あるのですね。中を見ても宜しいですか?」

「ご案内致します。」

シバスチャンが部屋を出て隣の扉を開ける。

「こちらが奥方様のお部屋となります。」

結構な広さの有る部屋だが、家具は何もない。

日除けらしいカーテンを開けると大きな窓。その向こうには広い庭が見える。

「素敵なお部屋ですわね。」

「ええ、本当に。」

お嬢様方が窓の景色を熱心に見ている。

庭の片隅に錬金場があるので俺にとっては見慣れた風景だ。

「他のお部屋も同じような造りですの?」

「この部屋が一番広くなっておりますが、造りは他の部屋も同じで御座います。ご案内致します。」

シバスチャンが廊下に並んだ部屋を案内する。

俺は付いて歩くだけ。

どうせ使わないしすぐに忘れるから覚える気にもならなかった。

どの部屋も同じ造りで、中には何もなかった。

案内を終えるといよいよ昼食会。

大食堂には既にカトラリーが配置されていた。

「お付きの方々はあちらのテーブルでお召し上がり下さい。」

シバスチャンの言葉に侍女さん達がキョトンとしている。

「この屋敷では使用人も一緒に食事を摂ります。それぞれの仕事があるので交代制ですが、一緒に食事をするお陰で使用人全員の顔を覚えられました。」

俺が補足した。

名前を覚えてないのは秘密。

人数が多いので最初から覚える事を諦めた。

お嬢様方が侍女さんに頷いたので侍女さん達もテーブルに着いた。

料理が運ばれてくる。

スープにサラダ、魔獣肉のシチューにメインは魔獣肉のステーキ。

魔獣肉は昨日俺が獲って来たもの。

「美味しい。父上が食べたくなるのも判りますわ。」

「本当に。」

「毎日だと絶対に太るわね。」

料理も好評だった。

デザートの黒い森産果物を楽しんだ後は今日の為に料理長が用意した高級茶。

侍女さん達も満足顔でお茶を楽しんでいる。

「本当に楽しかったわ。」

「貴族の食事会と違って気を遣わないで済むのが嬉しいわね。」

「貴族の食事会はアレだから。」

「そうね、こうした気楽な会は良いわね。」

「次は何時にします?」

「前期試験休みはどう?」

「ちょっと間が空くけどしょうがないわね。」

「じゃあ決まり。キラ様、次は前期試験休みの2日目でお願いしますね。」

「俺の屋敷でするの?」

「勿論ですわ。他ではこのような楽しい昼食会は出来ませんもの。」

いつのまにか次回も俺の屋敷で開く事が決まっていた。

今回も俺の都合は聞かれなかった。

「はぁ。」

お嬢様方が笑顔だからまあいいか。



授業は順調。

魔導具製作Ⅱでは通信魔道具の改良をしている。

待ち受け状態にするための回路は魔石を魔力源として常時魔力を流し続ければ良いので構造的には簡単。問題は魔力消費量を抑える事。小さな魔力で亜空間内部の魔法陣を発動状態にしておかなければならないので頑張って魔法陣をいじっている。

もっと大きな問題が小型化。

持ち運べるようになれば利便性が大幅に向上する。

ギルド通信程の規模は無理でもいくつかの主要都市が結べればメリットは大きい。

あまり小型化すると軍事利用されるのでその点も配慮が必要。

まだまだ色々と問題は残っているが実用化への目途は立った?



唯一全く上手くいかないのが馬術。

冒険者は護衛依頼などで馬に乗る場合がある。

馬並みの速度でゆっくりと空を飛ぶのは早く飛ぶよりも疲れる。

そんな理由で選択した馬術だが、これが難しい。

あまり体が大きくないせいか、馬に舐められている?

手綱を幾ら絞っても教官の言うように腹を蹴っても思い通りには動いてくれない。

3度目の授業の時に馬にお願いした。

「ねえ、お願いだから言う通りに動いてよ~。」

“・・・・”

「言う事を聞いてくれたら後でリンゴを上げるからぁ。」

”ホントウカ“

「えっ。」

”ホントウニリンゴヲクレルカ“

馬がしゃべった。

「うん、嘘は付かないよ。終わったら上げるからちゃんと動いてね。」

”ワカッタ“

それからは馬が言う事を聞いてくれるようになった。

勿論終わった後でリンゴを上げたよ。

俺の馬だけが特別なのか相性が良いのかは判らないが、他の馬と話す事は出来なかった。

アイテムボックスには森で採ったリンゴが沢山ある。

うん、これで乗馬の授業も安心。



前期試験が終わり、今日はお嬢様方との昼食会。

「はぁ。」

溜息しか出ない。

貴族にしてはフランクで話しやすいが、やはり貴族のお姫様なので緊張してしまう。

下手な事を言えば、怖いお貴族様が乗り込んで来るかもしれないのだ。

前日に黒い森で狩って来た魔獣や果実を調理長に渡したので、後は使用人達に任せて俺はお嬢様方の接待係。

前回同様全員が一斉にやって来た。

まだ1対1で話せるほどの度胸は無いのでこうした配慮は嬉しい。

前回同様に幾つもの箱を降ろしている。

前回は刺繍糸やハンカチ、酒やつまみになる木の実などだった。

今回も使用人達への手土産なのだろう。

使用人達に心配りしてくれるところは正直嬉しい。

前回は本館を案内したが、今回は庭や錬金場を見たいと言う事で、前回よりも動き易い服装で来て貰った。

とはいえ、高位貴族のお嬢様なのでめっちゃ高そうな服。

汚れても知らないよ。

お茶を飲んで休憩した後はさっそく庭の散歩。

花壇の説明をしながら錬金場へと向かう。

時々近くに控えている庭師さんをチラ見すると頷いてくれる。

教えて貰った通りに説明できたらしい。

花の名前とか花言葉なんてまるで知らないから慌てて庭師さんに教えて貰った付け焼刃の知識だけどお嬢様方が喜んでくれたので努力した甲斐があった。

錬金場の中に入って器具や素材の説明をする。

「キラ様はポーションも作れるのですか?」

「一応上級薬師の資格を持っています。」

確か9歳の時に合格した筈。

「素晴らしいですわ。私は去年やっと中級薬師の試験に合格しましたのよ。」

ドリーナ様が驚いていた。

「上級薬師の資格を持っていたら冒険者をしなくてものんびりと生活出来ますでしょ?」

「冒険者をしていると新鮮な素材が只で手に入りますから。薬師の知識が無い冒険者が採取すると希少な素材でも保存状態が悪かったり、ギルドを通すので手に入れるまでに時間が掛かったりで品質が落ちてしまいます。」

「でしたらキラ様のお造りになるポーションは品質が良いと言う事ですか?」

「薬師ギルドのお姉さんはそう言ってました。」

「辺境伯家の領地には魔獣が多いのでポーションがいつも不足しているのです。私が薬師の資格を取ったのも少しでも家の役に立ちたいからで、王都屋敷で作って領地に送っておりますの。もしよろしければ素材を分けて頂く事は可能ですか?」

「多少であれば大丈夫です。薬草園もご覧になりますか。」

「はい、お願いします。」

裏の薬草園に案内した。

「これって、・・・。」

ドリーナ様が薬草園を見て固まった。

少し拡張した薬草園には青々とした薬草が繁っている。

「薬草ってこんなに大きくなるのですか?」

「時々余った魔力水を撒いていたら大きくなりました。大きいですが効能は小さな物よりも良いですよ。」

「大きくて効能も良い、って余った魔力水とは何ですか?」

「面倒なので魔力水は纏めて作ります。かなり多めに作るので余りは薬草園に撒いています。」

「余る程魔力水を作れる薬師などキラ様だけですわ。」

「そうなのですか?」

魔力水なんて水に魔力を注ぐだけなのに解せぬ。

「そうです。」

断言されてしまった。

「お食事の用意が整いました。」

メイドさんに呼ばれて本館に戻った。

今日のメインは魔獣肉のカツ。デミグラスソースのようなものが掛かっている。

サクッとした衣にジューシーで柔らかいな魔獣肉。揚げ加減も程よく皆が満足してくれた。

食後のティータイムはお嬢様方のお話を聞いていれば良いだけなので楽。

「本当にこのお屋敷での食事会は心が落ち着きますわ。」

「仲良しグループだけですから何を言っても大丈夫という安心感がありますわ。」

「本当に。」

「次回は学年末試験の後ですわね。」

「今から楽しみですわ。」

「その前に試験を頑張らないとシャリーヌ様は1組から落ちてしまいますわよ。」

「主席のテリア様は別格としても、お3人も10位以内ですから肩身が狭いです。」

「3年生の時は23位でしたからシャリーヌ様なら大丈夫ですわ。今年は15位以内を目指して下さいね。」

「善処致しますわ。」

学年は一つ下だが俺は40位台、聞かなかった事にした。



時間が出来たので準備を進めて来た謎石、じゃなくて竜魔鋼の加工にチャレンジした。

準備に手間取ったのは重量軽減の付与魔法が難しかったから。

重量軽減の魔法陣は広く知られているのだが、武器として使うには打撃時の重量は軽減せずに武器を使う者だけに重量軽減の効果を与えなければならない。

術式が複雑になって色々と工夫が必要だった。

作るのは両刃の斧。

王都の武器屋で色々な武器を見て、幾つかを振らせて貰った結果、竜魔鋼が重すぎるので片刃だと振り回した時に刃筋が不安定になり過ぎると思ったから。

重量軽減が上手く行けば軽々と振り回せる筈なので両刃にすれば手数も多くなる。

赤竜の牙で作った雷剣ではダメージを与え難い大型魔獣用の武器。

謎石を出して結界で包む。

魔力を注いで魔法成形の開始。

めっちゃ魔力を吸われる感じがしている。

魔力量を少しずつ増やしていく。

竜魔鋼が形を変え始めた所で注いでいる魔力量をそのまま維持する。

時間が掛かりそうな予感がしていたので、料理長に頼んでサンドイッチを大量に作って貰っておいて良かった。

サンドイッチを齧り、水筒の果実水を飲みながら魔力を流し続ける事丸3日、漸く大斧が出来上がった。

魔法成形の練度はかなり上がっていた筈なのに丸3日、竜魔鋼の加工が難しい事を実感した。

試験休みが終わってしまったので付与魔法は後日にする。

働き過ぎはダメ、絶対。

週末の休みを1日使って武器強化の付与を付ける。

翌週には魔法防御の付与。

翌週にいよいよ重力軽減の付与。

300㎏の大斧が片手で振り回せるようになった。

何となくまだまだ付与を付けられる感じがする。

翌週には自動修復。

更に翌週に自動洗浄の付与を付けた所で学年末試験直前になった。

とりあえずは夏の長期休みに試し切りしてから微調整する事にした。



学年末試験も目立たぬように程々の成績で48位。

学年末試験が終わったら第3回お嬢様会。

3回目ともなると使用人達も慣れて来たし、お嬢様方もリラックスモード。

「夏の長期休みは何時も王都にいらっしゃいませんわね。」

「体力が落ちないよう、毎年少し離れた所に泊まり込んで訓練しています。」

「どんな所で訓練しているのですか?」

「人里離れた岩山です。」

「お1人で?」

「はい。」

「どの様な訓練を為されているのですか?」

「岩山を全速で上り下りします。それから剣で森の木を切り倒しながら走ります。お昼を食べたら魔法の練習ですね。空を飛びながら探知魔法で魔獣を探して倒します。今年は小さなバリアを連続して魔獣にぶつけてみようかと思っているので、鳥型魔獣の群れが出てくることを願っています。」

「1ヶ月半ずっとですか?」

「魔法には色々な種類があるので、一通りの魔法を何度も撃ちます。使っていないと発動速度や精度が落ちますから。」

「飛行魔法で私を抱いて飛ぶ事も出来ますか?」

「騎士団長のような大男を抱き上げるのは精神的にちょっと嫌ですが、お嬢様方でしたら喜んで抱いて飛びますよ。」

「「「キヤァ!」」」

サービストークのつもりだったのに、本当にお嬢様方を抱いて飛ぶ事になった。

解せぬ。

お嬢様を屋敷の庭でお姫様抱っこ。

そのまま舞い上がって10m程の高さをグルグル回って降りる。

高い所が恐いのか、俺の首に回した手をやたらと強く引き寄せてしがみ付かれるのには困ったが、屋敷の中なので誰にも見られないし皆が喜んでいたのでまあいいか。

「食事の準備が整いました。」

5人を3回ずつ空中散歩させた所で侍女から声が掛かった。

「次は私の番だったのに、・・」

「食事が冷めてしまいます。」

頬を膨らせたテリア様を宥めて食堂に向かった。

今日のメインは鳥型魔獣の唐揚げ。

唐揚げやハンバーグなど俺がコンビニ弁当で食べていた物はおおよその作り方を料理長に教えたらかなり近い物を再現してくれるようになった。

最近は屋敷に帰る度に料理長が執務室に来て料理の話をするのが定番。

情報源は禁書庫で読んだ書物という事にしている。



食事会が終わると夏の長期訓練。

今回は大斧の試し切りが楽しみ。

いつもの岩山に飛んでインターバルランで体を解すと早速麓の森で試し切り。

3m近い大斧を片手で振り回しながら森を走る。

俺の後ろでは次々と大木が倒れて行く。

切れ味は赤竜の牙で作った雷剣の方が良い。

大斧は重くて刃が分厚い分雷剣のようにスパッと切れると言う感じではなく、ズバッと振り抜ける感じ。

大斧は両方の刃が小剣よりも少し長い60㎝、振り抜き、切り返してまた振り抜く。

バランス調整をしたつもりだったが、大斧を使うのが初めてのせいか何となくしっくりこない。

色々と考えながら振り回すと、大斧を仕舞って魔法の練習に切り替えた。

夕食を済ませた後、大斧を取り出して昼間の感じを思い出しながら重力魔法の術式をいじってバランスを調整した。

翌日も岩山を走り回った後、大斧の試し切り。

斧の先から少し中央部に重心をずらし、斧全体の重さを少し増やした事で振った感じがイメージに近くなった。

硬い魔獣を求めて探知魔法に強く光る魔獣を探す。

雷剣では浅い傷しか負わせられなかった魔獣でも大斧の刃ならば深く食い込むし、重量があるので肉に食い込んでも止まることなく振り抜ける。

刃の長さが60㎝しかないので大物を両断する事は出来ないが、殆どは1撃で倒せた。

魔法の練習をして拠点にしている洞窟に帰る。

食事を済ませると大斧を取り出して、柄にワイバーンの皮を巻く。

握った感じを雷剣に近くしたかった。

大斧自体が黒いのでワイバーンの皮も目立たないしグリップ感がアップし良い感じ。

翌日からは雷剣と大斧の2刀流?も練習した。

結論だけ言えば無理。

長さが違いすぎるし、両手のバランスが悪すぎる。

戦う相手によってどちらかを選ぶ方が良さそうだった。


ブクマ、有難う御座います。

ご褒美の感じがするので素直に嬉しいです。

頑張って書き書きするので、これからも読み続けて頂ければ幸いです。

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