17 王族も貴族もだいっ嫌い
偶々講義が休講になったので、校舎裏のベンチで寝転んでいた。
以前経営学の授業で“次の時間は王立学院の奇跡について議論する”と言われてさぼった時に見つけた場所。
植え込みの後ろなので横になっていれば人目に付きにくい。
仰向けになって空を見る。
抜けるような青い空、視界の端で横にある植え込みの緑の葉がちらちらと揺れている。
ぼんやりと空を眺めるだけで、何もしないのんびりしたひと時。
こんなに心穏やかな時間を過ごすのは前世も含めて初めてかもしれない。
転生させて貰えて良かった、神様ありがとうございます。
神様に感謝していたら声が聞こえた。
「だから無理です。」
「ふざけるな、今まで通りに金を持って来ればいいんだよ。」
怒鳴り声で穏やかな気持ちが吹き飛んだ。
神様、感謝を返して下さい。
俺はこっそりのんびり生きていたいんです。
「父に見つかってしまったのでもう無理なんです。」
「それはお前の都合だ。家の物を売り払ってでも金を作れ。」
「そうだ、お前には妹がいたな。奴隷に売り飛ばして金を作れ。」
「そんな事出来る筈無いです。」
「だったら店の売り上げを抜き取れ。」
カツアゲにしても酷いな。
のんびりするのはダメらしい。
俯瞰を飛ばして見ると4人のガタイの良い学生が気の弱そうな男を囲んでいる。
ネクタイの色から全員が5年生。
不良学生は大半が退学になったか更生したと思っていたが、不正が横行していた時代の生き残りがまだいたらしい。
ベンチから半身を起こすと男の一人と目が合った。
「見られたぞ、逃がすな。」
他の3人に声を掛け、剣を抜いて切り掛かって来た。
いきなり切り掛かって来たと言う事はこれまでにも何人か切り殺しているのだろう。
犯罪慣れした学生達に手加減は無用。
”結界“ ”結界“ ”結界“ ”結界“
4人を筒状の結界で拘束する。
こんな時は暗殺者対策の筒状結界がめっちゃ便利。
4人が芋虫の様に地面に転がった。
脅されていた学生がびっくりして目を見開いている。
「済まないけど警備隊に行って、1年のキラが4人に襲われたと伝えてくれるかい?」
「は、はい。」
脅されていた学生に声を掛けると、警備員室へと走ってくれた。
学生が居なくなると、俺は笑顔で地面に転がっている学生を見下ろした。
漸く新しい魔法を試せる。
俺のテンションが上がった。
ニコニコしながら転がっている学生の1人に新魔法を発動する。
”自白“
頭の中で考えている事をペラペラとしゃべってしまう魔法。
王都の露店で買った魔法陣の本にはとんでもない魔法が載っていた。
複雑な魔法陣ばかりで、発想が奇抜過ぎて解析するのにめっちゃ時間が掛かっている。
“自白”は漸く解析が終わり、何か所も手直して再構築した出来立ての魔法。
魔法陣を解析している時に効果は判ったが、機会が無くて試す事が出来なかった新魔法。
「いつから金を巻き上げてる?」
「はじめ・・2年の冬から。」
「どれくらい巻き上げた?」
「・・毎月金貨100枚。」
地面に転がっている他の3人が呆然としている。
「金は何に使った。」
「賭け・・王子殿下の遊び。」
「バカ! しゃべるな。」
「口を噤め。」
外野が煩い。
「殿下は脅して巻き上げた金という事を知っているのか?」
「知ら・・殿下も一緒に脅した事がある。」
「今日は?」
「殿下から今月分はまだかと催促された。ダメなら妹を攫えと言われた。」
「こっちです。」
もっと聞きたかったが警備員が来てしまった。
「キラかっ・・君、無事か?」
閣下と言おうとしたので警備員の顔を見たら慌てて言い直してくれた。
将軍時代に何度も顔を会わせたので学院の警備員は新参以外全員が顔見知り。
今回は警備隊長が顔見知りの4人を連れて来てくれた。
「この4人が恐喝している現場を俺が確認しました。今は結界魔法で拘束しています。結界を解きますので縛り上げて下さい。」
「ふざけるな、俺達は第1王子殿下の側近だぞ。警備員風情が手を出したら全員打ち首だ。」
「そうだ、そこの馬鹿が勝手に言っているだけだ。」
「貴様らは王族を敵に回すのか?」
「俺達・・恐喝だろうが殺人だろうが王子殿下が揉み消すから大丈夫だ。今回も王子の配下がこいつらを殺して終わりだ。王子に逆らったバカは何人も死んでいるからな。えっ、・・俺は何をしゃべっているんだ?」
自白魔法が効いている男だけが訳の分からない事を話している。
「縛り上げて下さい。責任は俺が取ります。」
「縛り上げろ。」
隊長の命令で警備員が4人を縛り上げた。
4人が喚き続けて煩い。
”睡眠“
これは王宮の禁書庫で見つけた新魔法。
4人が静かになった。
今日は新魔法を2つも試せたのでめっちゃ嬉しい。
「4人は眠らせました。このまま王宮に運んで下さい。俺も行くので馬車の手配をお願いします。」
「護送用の馬車を用意しろ。」
隊長がすぐに馬車の手配を命じてくれた。
「君、君は被害者だから絶対に守るよ。正直に言うと、君は今回の事件のせいで闇ギルドや諜報部に暗殺される恐れがある。ここにいては危険だから俺と一緒に来てくれるかな。絶対に俺が守るから。」
「君は・誰?」
「内緒にしてくれる?」
「はい。」
「この間まで公正化特務部隊の将軍をしていたキラ。警備隊長とも知り合いだし、陛下や宰相にも顔が利くよ。一緒に来てくれるかい。」
「はい。」
警備隊長と5人を連れて王宮に乗り込んだ。
直ぐにいつもの4人組が会ってくれた。
新魔法も含めて事情を説明した。
「路地の露天商で見つけた魔法陣だと! 王都のどこだ、どの路地だ。」
約1名魔法バカがいるのを忘れていた。
「魔導師長、今はそれどころでは無い。キラ、我々の前で自白魔法とやらを使う事は出来るか?」
「はい。但し質問された事に関して頭の中で考えている事を勝手に話すので何を言うか判りません。出来るだけ次々と質問を続けて下さい。」
「わかった。恐喝犯を一人ずつ連れて参れ。」
「直ちに。」
護衛騎士も部屋には入れていないので、騎士団長が直々に恐喝犯を迎えに行った。
恐喝犯の1人が縛られたまま部屋に連れて来られた。
既に睡眠魔法は切れているらしく猿轡をされたまま唸っている。
「キラ、魔法を頼む。」
「はい。」
”自白“
「掛かりました。」
「なんと、もう掛けたのか。」
「はい。猿轡を外して下さい。」
「へ、陛下?」
「第一皇子の命令で生徒を恐喝していたと聞いた。まことか?」
「そんな・・早く金を持って来いって言われたんだよ。なんで陛下が出て来るんだ? 聞いてねえぞ。何でこうなったんだよ。殿下が揉み消してくれるんじゃないのかよ。陛下が出て来るなんて聞いてねえよ。強姦も殺しも一緒にやったんだから、陛下も殺せよ。いつか殺すって言ってたじゃねえか。ふざけんじゃねえ、いつかじゃなくて今殺せよ。このままじゃ俺が殺されるじゃねえか。全部殿下の命令なのに殿下はどこに行ったんだよ。親父に殺される。絶対殺されるヤダ、絶対ヤ」
”睡眠“
「申し訳ありませんが睡眠魔法を使いました。次々に質問して頂かないと思っている事を勝手に話してしまいます。」
「すまぬ。あまりにも驚いたので次の質問が出来なかった。だが本心が聞けるという点では次の質問をしない方が良いかもしれぬな。次も勝手にしゃべらせてみよう。儂が片手を上げたら眠らせてくれ。」
「はい。」
後の3人も同様に聞くに堪えない傲慢かつ残酷な振る舞いや陛下に対する罵詈雑言を延々としゃべりまくった。殿下自らが主導して何人も強姦した事や目撃者を殺した事、殺しや恐喝の現場に何度も立ち会って楽しんでいた事が明らかになった。
「はぁ。」
陛下ががっくりと項垂れている。
「・・・今後の事は我々で話し合う。被害者は家族に連絡した上で厳重に保護するので安心してくれ。」
宰相が苦々し気に言葉を紡いだ。
「・・それでは失礼します。」
帰れという雰囲気だったので素直に帰った。
こんな馬鹿な事に付き合いたくはない。
楽しい学院生活が台無しだよ。
2日後、授業中にも拘らず王宮に呼び出された。
「捕えていた側近達が殺された。」
「はあぁ?」
予想外の事に呆れて思考が停止した。
「・・・、なんで?」
「どこから漏れたのか、側近達が王子の罪を認めたという事が王子に伝わったらしい。捕らえたその日の晩に王子が直々に尋問すると言って牢番から鍵を取り上げ、護衛と共に牢に押し入った。“この者どもは虚偽の証言で王族を罪に落とし入れようとした反逆者である。反逆罪は即刻処刑が国法、成敗せよ”と護衛に命じて4人を殺させた。」
王子が命じたら牢番も鍵を渡さざるを得ないか。
「・・・・。」
「4人は王子の後ろ盾であるストーブ公爵家、ヒート侯爵家、コータツ侯爵家、カイロ伯爵家それぞれの嫡男と次男。4家は連名で第1王子の処刑を申し入れて来た。ところが、クーラー公爵家から確たる証拠が無いのに王子を処刑する事は罷りならぬと横槍が入った。」
「・・・・」
言葉が出ない。
ストーブ公爵家とクーラー公爵家の仲が悪いのは政治に疎い俺でも知っている。
知ってはいるけど、ここで口を出すか?
まあストーブとクーラーが仲良しな筈は無いけど。
季節で交代すれば上手くいく?
エアコン公爵は居ないのか?
予想外の展開に混乱して訳の分からない事を考えてしまう。
「証人の4人が大法院の審議の前に死亡。キラの自白魔法については言えぬし、仮に言ったとしても事態が複雑になるだけだ。両公爵家との話し合いで、4人は病死となり4家には咎め無し。王子は側近の監督不行き届きで1ヶ月の謹慎となった。」
「・・・・。」
王族も貴族もだいっ嫌いだ。
めちゃくちゃ暴れたくなった。
気を落ち着かせる為に大きく1つ深呼吸した。
「帰ります。」
「すまぬ。」
頭を下げた陛下と宰相に背を向けて部屋を出た。
「はぁ。」
溜息を吐くと、空に飛んだ。
城壁を超え、王都の北にある黒い森まで飛んでめちゃめちゃに魔法を撃ち捲った。
嫌な事件もあったが、のんびりとした楽しい学院生活は変わらなかった。
授業も楽しいし、昼休みにアルト達と過ごすのも楽しい。
冒険者活動も順調、時々肉を差し入れに行く孤児院の子供達の笑顔にも癒される。
そんなこんなであっと言う間に前期試験。
目立たないようにそこそこの答案を作成する。
あまり手を抜き過ぎると3組に落ちるのであくまでそこそこ。
やっと2組に慣れたのに全く知らない学生達の中に入るのは辛い。
程々に学生生活を送り程々に冒険者活動する。
まさしく俺の目指していたのんびり生活、王立学院に入って良かった。
前期試験は魔法科の54位、うん程々だ。
後期の授業も順調に進むが相変わらず魔法実践だけは難しい。
授業の殆どが属性攻撃魔法の練習。
俺は訓練場の隅で生活魔法の練習。
風と火でドライヤーとか水と火で温水魔法。
暇なので魔力の流れを眺めていた。
教授は魔法を使っていない時でも体内を流れる魔力速度が格段に速い。
それでも俺よりはだいぶ遅い。体内魔力の色は緑っぽい青。水と風の2属性。
風魔法を発動すると水属性の体内魔力も減る。
属性の違う体内魔力も魔法発動の際には違う属性に変換するらしい。
俺の体内魔力の色は無色。
体外に出る時に光を意識すると白く、意識しないと透明のまま。
飛行魔法の時はちょっと青み掛かった白。
探知や攻撃魔法のコントロールに風属性を使っているからだろう。
俺は色々な魔法を使えるのに、属性の攻撃魔法だけは何故か使えない。
気弾で盗賊を殺したから俺自身の攻撃性が無い訳でもない。
判らん。
訓練場の小石を摘まみ上げ、軽く放って魔力を込めた気合を送る。
イメージは前世のアニメで観た念動力。
“飛べ”
小石が飛んで行った。
10m程先にコロンと転がる。
もう一度魔力を込めた気合を送る。
“戻れ”
小石が俺に向かって飛んで来た。
これって土魔法っぽく見える?
魔法の専門家である教授は騙せないよな。
小石を浮かせたまま右に左に動かしてみる。
何となく何かに使えそうなんだけどな。
小石の周りに浮かぶ魔法陣を眺める。
イメージ優先の魔法に変えてからは、魔法発動の前にイメージに適した魔法陣が自動的に作成されるようになった。
短距離の転移なら出来るようになったけど、これは転移の魔法陣とはかなり違う。
魔法陣が見えるので比較しながら新しい魔法を考える事も出来る。
遠い所にある物を引き寄せる。
遠い所に落ちた獲物を引き寄せるくらいしか使い道を思いつかない。
小石を前に転がして引き寄せる。
小石を前に転がして引き寄せる。
小石を前に転がして引き寄せる。
そうだ、ナイフだ。
ナイフを投げて手元に戻す。
槍でも良いな。
この魔法陣を付与すれば投げたナイフが返って来る、かも。
「何だその魔法は。」
教授に見つかった。
「え~っとぉ。小石を動かす魔法?」
小石を前に転がして引き寄せる。
前に転がすときと引き寄せる時の魔法陣が微妙に違う。
小石を前に転がして空中に浮かせる。
空中で固定すると魔法陣が変化した。
空中の小石を上下に動かす。
魔法陣がまた少し変わった。
小石を手元に引き寄せる。
また魔法陣が変わる
「色々と使える感じがするのですが、今の所は投げたナイフが戻って来るような付与に使えるのではないかと考えていました。」
「君は付与魔法が使えるのか?」
「時間が掛かりますけど簡単な付与なら出来ます。」
「教えて貰う事は出来ないか?」
「一応魔法使いの秘伝なので。ただ、大賢者の本に書いてあったとだけお伝えします。」
「そうか、確かに大賢者様は付与魔法が使えたな。それだけでも助かる。色々と調べてみる。」
あっさりと引いてくれたので驚いた。
“冒険者の秘匿”同様に“魔法使いの秘伝”というのがあると魔導師長に教えて貰った。
使い過ぎると墓穴を掘るので注意が必要。
俺は失敗から学べる12歳だ。
後期に入った政治学Ⅰの授業では王国の貴族制度について学んでいる。
今日は寄り親・寄り子制度についての講義。
ミュール側東岸は肥沃な土壌のお陰で生産量が高く、多くの小国が乱立していた。
初代ミュール王が強力な軍を率いて周辺諸国を撃破、譜代の重臣に爵位を与えて滅ぼした小国を統治させた。
この為、東部の大貴族は初代ミュール王と共にミュール王国を作ったという自負があるので気位が高いらしい。
東部地域を制圧した初代ミュール王はミュール川西岸地域の小国制圧に乗り出した。
面積では圧倒的に広い西岸地域だが、人口が多く産業の発展したミュール王国の圧倒的な軍事力の前に国王達は次々と調略を受け入れて恭順の意を示し、ミュール王国の高位貴族となった。
その際、ミュール王国の支配下の入った小国の王に仕えていた重臣達をどうするかが問題となり、元国王達にミュール王国の男爵位と騎士爵位の叙任権を与え、寄り親として監督させたのが寄り親寄り子制度の始まりらしい。
元国王にだけ叙任権を与えた事に反発した東部貴族達の要求で、東部貴族にも叙任権を与える代わりに地域防衛の責任を課したので、ミュール王国は地域の支配権を持つ高位貴族達の連合国家という形となった。
貴族数の増え過ぎを防ぐ為におおよその人口や街の数で高位貴族が叙任出来る爵位の数を制限し、基本的には石造りの街壁を持つ街は男爵、木壁や土塁を持つ町は騎士爵が支配する事となったが、それでも貴族の数は数千家。
今では監督する総務殿ですら正確な数を把握できていないらしい。
寄り親は寄り子の指揮監督権を持つので寄り子を自由に処罰出来るが、領地内が混乱した場合には地域防衛義務違反としてミュール王家により降爵や取り潰し処分となる。
寄り子を正当な理由なく処分したと訴えがあれば王家の審問官による審問が行われるので寄り親も無茶な処分は出来ない。
寄り子は寄り親の要請に応じて戦力を供出する義務があるが、寄り親によって他国や隣接する他領から守って貰えるという恩恵も得られる。
こうした小国に等しい高位貴族達を束ねる為にミュール王家は強力な軍を各地に派遣して貴族の監視をすると同時に隣接する周辺国の脅威を抑え、高位貴族達も圧倒的な軍事力を持つ王家には忠誠を誓っていた。
しかし、建国して100年を過ぎる頃から4代目、5代目の領主となった高位貴族は王家に対する忠誠心が薄れ自領の利益を優先する事が多くなった。
広大な領地や優良鉱山と強力な軍を持つ王家の支配力は大きいものの、幾つかの高位貴族が手を組めば内戦になる恐れもあり、そうなると周辺国も黙ってはいないので王家としては国の舵取りが難しい状況になっている、というのが現状らしい。
陛下のおっさんが殿の卿や次官を首にしたいけど出来ないと嘆いていたのはこうした事情があるかららしい。
禁書庫の本には隠蔽や暗視・透視・通信など使えそうな魔法が沢山載っていた。
その他に歩行や変化・変成・変態など本を読んだだけでは意味不明なものも有る。
通信などは前世知識で何とかなりそうなのに、どう考えてもイメージが固定出来ない。
覚え易かったのは色々なポーション。
同じポーションでも色々な素材で作成出来る、微妙に効能は違うらしいが。
大規模魔法も沢山載っていたが、属性魔法ばかりなので使える気がしない。
学院に居る5年間でどれだけ読めるか判らないが、禁書庫が俺にとって楽しい場所であることは確かだった。
禁書庫は王族と特別な許可を受けた者しか使えないので人に会う事は少ない。
偶に会うのは、魔法使いらしい中年のおっさんと、薬の臭いがするおっさん、同じ年頃の女の子の3人位。閲覧室で挨拶しても迷惑だろうから飲食スペースで出会った時に一応頭を下げる程度の付き合い。
基本的には誰にも邪魔される事無く本に没頭できる有難い環境だった。
王国地理のお陰で漸くこの国の概要が判った。
ミュール王国は東西4000㎞、南北2500㎞という広大な国土を持つ超大国。
面積は日本のおよそ25倍、殆どアメリカ合衆国と同じ。
北東の隅に黒い森があり、溢れ出る魔獣を防ぐ為に初代国王が作った街が発展して王都になり、黒い森を抑え込んだ事で大量の食糧や素材を手に入れ東にある小国に攻め込む余裕が出来た。以降次々と小国を征服、ミュール川東岸全域を支配する大国となった。
東岸地域の支配が安定すると今度は広大な西へと領地を広げる余裕が出来、圧倒的な兵力を背景に面積は広いものの兵力の少ない西部地域を調略して現在の大国となった。
その為に王都は国土の北東隅。
驚いたのは王国のほぼ中央にあるのがストン。
田舎町なのに王国の中心だった。
王国は建国して160年。
大きくなりすぎた弊害が顕れる頃なのだろう。
最たる例が無能貴族の増加。
初代は有能でも、4代目や5代目になるといささか怪しい貴族が増えて来る。
バカな貴族が増えれば、馬鹿な貴族を操る狡賢い貴族が力を増すのは必然だった。
のんびり楽しく過ごした1年が過ぎ、いよいよ学年末試験。
前期試験とは違って実技科目も入って来るので程々の程度が予測しにくい。
剣術はまあ上位、礼儀作法は程々、魔法実践は下位、体術は上位、錬金は程々。
筆記試験はちょっと頑張らないといけないかな。
結果は魔法科42位。やばいもうちょっとで1組だった。
予想外だったのは魔法実技の95点。
入学試験と同じ30点くらいと思っていたのが誤算。
勿論点数が高くなった事は有り難い事。
1組にはならなかったので結果オーライだった。
頑張って丁寧に仕上げようと思ったのですが、第2部関連で説明を追加する必要が出来、急遽差し替えたので今回もギリギリまで加筆する事になってしまいました。
それでも1ヶ月間隔日投稿という目標がクリア出来たのでちょっと達成感を感じています。
これも継続して読んで下さっている皆様方のお陰、本当にありがとうございます。
どれだけ隔日投稿を続けられるか判りませんが、出来るだけ頑張りますのでこれからも宜しくお願いします。
免独斎頼運




