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27 キラ家12姉弟の揃い踏みは初めて

ブクマ頂きました。

感謝、感謝です。

もう少しで第3部が終わります。

ラストスパート頑張ります。

頼運

旧王都であるミュール奪還作戦が開始された。

今はソランダ侯爵領となった、旧ミトン領にあるミュール川に架かる橋の袂に、キラ王国の精鋭部隊が集まった。

新国王となったルナ王が直々に総大将として出陣する。

参謀にはドラン侯爵とリーナ母さんが付いた。

先鋒はレイナ母さんとリヌ、ドナ、リラの新3侯爵。

帝国軍10万との戦いに於ける功績で3人は伯爵から侯爵に陞爵した。

ちなみに他の8人は子爵のまま。

キラ家ばかりを優遇するのは拙いから。

偉くなると仕事が増えるので、俺としては有り難い事。

精鋭部隊の隊列を守るのはブロン、チャー、レード、クーロ、ナイ、テン、レブンという7人の姉達。

キラ家12姉弟の揃い踏みは初めてなので、俺的にはちょっとワクワクしてる。

リューラ母さん率いるステルン伯爵軍1000がミュール河岸で後詰として待機している。

黒い森から新たに溢れ出て来た魔獣が、ミュール川西岸に渡るのを防ぐ為。

父さんと俺は遊軍として全体の護衛。

新王都キラの留守番はシャリー母さんとアシュリー公爵という布陣になった。



つい先年、帝国軍の兵站部隊10万が壊滅的損害を受けた旧王都ミュールへの西域街道だが、強力なBランク魔獣は行軍するキラ王国軍に近づく前に探知魔法で把握され、姉さん達によってあっという間に爆散させられる。

Cランク以下の魔獣は練度の高い西部兵なら容易く蹴散らせる。

帝国軍の様に、遅くて弱い兵站部隊を護衛しながら進む必要は無い。

兵站は父さんと俺のアイテムボックスに全て納められている。

余計な荷物を背負わなくて済む身軽な兵達は、強いし進行速度が早い。

魔獣の群れを蹴散らしながらでも、400㎞の行程を僅か10日で踏破して旧王都であるミュールに到着した。

キラ王国の軍勢がミュール大門前に集結すると、隊列を整えて旧王城へと行軍した。

守備隊の指揮官である、サリート=クデル元宰相が王都の警備兵5000と共に王城の正門で出迎えてくれた。

「「「「ルナ王万歳!」」」」

「「「「キラ王家万歳」」」」

魔獣の包囲によって長期間孤立していた兵達にとっては、待望していた援軍の到着。

大きく開いた城門から入城するルナに、籠城していた兵達から大きな歓声が上がった。

レイナ母さんとブロン姉、ナイ姉が得意の土魔法で壊れた門や街壁を次々と修復する。

他の姉達は街に入り、残っている魔獣を探知魔法で見つけ出して討伐した。

旧ミュールは街の名をクデルと改め、キラ王によって侯爵に叙せられた元宰相が治める事となった。

宰相は元々が侯爵だったので問題は無いらしい、知らんけど。



クデル侯爵の領都となったクデルの分厚い街門が閉ざされ、いよいよ本格的な魔獣戦が始まった。

「使うのは釣りという冒険者パーティーが得意とする戦法だ。」

“釣り”なら俺も知っている。

足の速い冒険者が魔獣にちょっかいを掛けて怒らせ、逃げながら仲間が待ち受けている狩場に引き込む戦い方。

俺は使った事が無いけど、冒険者達が良く話していた。

「「「はい。」」」

「俺とハリーが黒い森に飛んでAランク魔獣を釣って来る。奥様達や娘達は300mに近づいた所で城壁の上から中級魔法か光弾で狙撃だ。」

「「「はい。」」」



上級魔法は広範囲に攻撃できるが、Aランク魔獣を倒すには攻撃力が足りない。

1発の破壊力の大きい中級魔法と光弾で狙撃する事になった。

「動かなくなった魔獣への攻撃は禁止。 収納時にまだ生きていたら俺とハリ―で止めを刺す。 腹を空かしながらも必死に頑張って、この城を守ってくれた警備隊のみんなに美味しい肉を食わせてやりたいからな。」

「「「はい。」」」

ただ単に父さんが勿体ないと思っているだけと思うけど、賢い俺は黙っていた。

Aランク魔獣は素材も価値があるし肉も美味い。

倒れた魔獣を姉さん達が攻撃したらミンチになって肉も素材も採れなくなる。



「行くぞ。」

「うん。」

父さんの後を追って街壁を飛び立った。

「体に薄く魔力を纏わせてから、弱い気弾を魔獣に当てて注意を引く。 魔獣がこちらの魔力に気付いたらゆっくりと街に戻りながら、近くにいる魔獣にも気弾を当てて一緒に付いて来させる。」

「うん。」

父さんが体に魔力を纏わせる。

俺も真似して同じ位の魔力を纏わせた。

2人で森の深部に飛んだ。

探知魔法にはAランク魔獣の大きな赤い点が沢山見えている。

父さんが気弾を撃った。

魔獣が反応する。

父さんが少し戻りながら周囲の魔獣にも弱い気弾を撃つ。

俺も真似をして街に戻りながら10頭程の魔獣に弱い気弾を撃つ。



最初なので釣りを仕掛けるAランク魔獣はそれぞれ10頭ずつの20頭という約束。

街壁で待つ姉さん達の討伐具合を見て、2回目以降は頭数を調整する事になっている。

釣りを仕掛けたAランク魔獣は20頭だが、周囲にいる魔獣も釣られて動き、街壁に着くころにはAランク魔獣32頭、その他の魔獣が数百頭という大集団になってしまった。

ゆっくり飛びながら、と言っても時速5~60㎞で父さんと2人で北側の街壁へと誘導する。

森の深部から街まではおよそ150㎞、行きは15分で帰りは3時間ちょっと。

街が見えて来た。

北側の城壁に母さん達や姉さん達が間隔を空けて立っている。

北側は元国軍の練兵場なので広い空地になっているから魔獣を狙い易い。



俺と父さんが魔獣を練兵場に誘い込んで城壁の上に立った。

俺達を追って来た魔獣が練兵場から城壁へと向かって来る。

「ぅてぇ~!」

ルナ姉の号令と共に母さん達や姉さん達が魔法を撃ち捲る。

”ナムアミダブツ、チ~ン“

恒例のお祈りをした。

流石にAランク魔獣、姉さん達の魔法を2発3発受けても倒れない強者もいる。

「ワハハ。」「キャハハ。」「イェ~イ。」「ヒャッハ~。」

姉さん達の叫び声の方が、魔法の爆発音よりも喧しい?

見学していた宰相やキラ王国軍の士官達が、楽しそうに魔法を撃ち捲る母さん達や姉さん達を見て固まっていた。

相手は20m級の大型魔獣32頭を中心とする魔獣数百頭の群れ。

15分で戦闘が終わった。

15分かかったのは小型魔獣が散らばって逃げたから。

母さん達や姉さん達は満足そう。

俺と父さんは魔法探知で生死を確かめながら死体をアイテムボックスに放り込む。

戦闘時間よりも回収時間の方が長かった。

城内に戻ると魔獣死体を出して警備兵や国軍総出で解体。

これから先暫くは魔獣との戦い。

戦うのは母さん達と姉さん達。

当然の事として解体は警備兵や国軍の兵士の仕事。

解体した事の無い兵には経験者が教える事になっている。

肉は今晩の焼肉パーティー用。

1万5千人が思い切り食べても食べきれない程の量があった。



1ヶ月、家族みんなでAランク魔獣の討伐を続けたのでAランク魔獣はだいぶ間引けた。

母さん達と上の8人はこれ以上王都や領地を空ける訳にはいかないので帰っていった。

帰ったと言っても、転移で送ったのは俺だけど。

残ったのは俺達下の4姉弟と父さん。

要するに領地経営は寄り子の代官達に丸投げしている4人と暇な父さん。

これから父さんは最深部に行ってSランク魔獣の間引き。

姉さん達3人は兵士達率いて旧王都改めクデルの周辺で魔獣を討伐して街道の安全確保。

魔獣の群れは東部や南部に向かったので、クデル周辺に残っている魔獣は少なくなっていた。


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