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家族の血液検査
子ども二人を連れて辰井病院へ行きました。
今日は幸一と三好夫婦の血液型を調べるための採血です。
幸一との約束通りに雄介は幸一を抱いて椅子に座り、幸一の採血を行なってもらうようにしましたが……
看護婦は二人に声を掛けました。
「お父さん、お子さんお一人で。僕、一人で座れるよね。」
「駄目ですか?」
「採血しにくいですので……。」
「幸一、一人で座って……。」
「えぇ―――っ お父さん……。」
「手を繋ごうな。それで我慢。」
「僕、お父さんが一緒だからね。大丈夫よ。
それに、カッコイイお兄ちゃんでしょう。ねっ。」
「僕、頑張る。」
「いい子だ! 幸一。」
注射が怖いのでしょう。
幸一は採血される腕から顔を逸らし目を瞑っています。
「痛い!」
「僕、まだ注射刺してないよ。」
「えっ?!」
大騒ぎして幸一の採血が終わりました。
次は親の番です。
「お父さん、頑張って!!」
「おう!」
「お母さん、頑張って!!」
「頑張るね。」
血液型が一致していたら、何もないよくある家族の姿でした。