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親子という名の繋がり  作者: yukko
三好夫婦の場合
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病院長の説明

辰井病院に夫婦揃って向かいました。

午前11時に約束しています。

病院へは娘の愛子を連れて行きました。

二人の子どものどちらか……なのか、どちらも……なのか、分からないまま夫婦は無言で歩きます。

時々、雄介が抱いている愛子に話しかけるだけです。


病院に着くと、事務員が応接間のような部屋に夫婦を案内しました。


「どうぞ、ここでお待ちください。」


しばらくして、事務員がお茶を持ってきました。

誰を待っているのかさえ分からずに……


「あの…… 今日は何のお話でしょうか?」

「お話は病院長がいたしますので、もうしばらくお待ちください。」

「分かりました。」


⦅病院長が話って一体何なんだ!⦆


少し雄介は苛立っていました。

明美は苛立つ夫を横目で見て、それも不安になりました。


どのくらい待ったのでしょうか。

ドアが開いて病院長がやっと入ってきました。


「今日はお呼びして申し訳ありません。

 この度はお時間を割いて頂き誠にありがとうございます。

 ………実は、先日………当院でご出産なさいました方から……

 お子さんについてのご質問がありまして……」


病院長は汗をかきかき、言葉を選んで話を続けました。


「小学校の入学前血液検査で……

 親子ではあり得ない血液型だったと……。」

「ちょっと、待ってください!

 うちだけではなかった!ということですか?」

「三好さん……

 お宅も……ですか?!」

「はい。俺……僕はB型で、妻はO型で、息子はA型……。」

「そうですか……

 血液型が合わないと!お申し出があった方と同じ日に

 当院でご出産なさった方に……

 当院でご夫妻とお子様の血液型の検査をさせて頂きたいと…

 それで、先ずは経緯をお話して血液型の検査をお願いしようと

 今日は、来ていただいた訳です。」

「検査は受けます。

 おい、受けるよな。」

「はい。受けます。」

「勿論、検査に掛かる費用は当院で持たせていただきます。」

「あの…… それで何が分かるんですか?」

「……申し上げにくいことなのですが……

 当院でのご出産時に……お子様の取り違えが……

 あったのではないかと……思います。」

「取り違え………。」


今まで、今この瞬間まで我が子だと思っていた……思いたかった息子が、病院の取り違えで別の人の息子だと言われたのです。

明美は言葉も見つからずに茫然と空を見つめ……

雄介は明美を浮気者だと責め続けていたことが間違いだったのかもしれないことにも衝撃を受けました。

夫婦はお互いに茫然自失のまま病院を後にしたのです。

発覚している取り違えは、1957年[昭和32年]~1971年[昭和46年]に32件ありました。

発覚は、「母親の直感」や「血液型」や「容姿が似ていない」です。

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