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大罪人もう一度  作者: 御神大河
エルフ国動乱・二つ目の楔
35/36

34.反体制派アジト壊滅

 ファーナはシーナに宣言したその日から王都内の探索を開始した。

 交代巡回に配属されていないファーナは魔力で身体強化し、高速で王都内を走り回る。

 しかし、手掛かりがない。


(がむしゃらに走り回るだけじゃだめだ。もっと頭を使わないと……ルクス様なら……でもどう説明したら……んん~)

「何してんだ?頭抱えて」

「ルクス様!?え~っと……(どうしよう、ルクス様なら何か思いついて下さるかも……でも、ご迷惑かもしれないし……でも、わたしじゃ何も思い浮かばないし……う~ん……)」

「またか……。なんか悩み事か?」

「えっと……(いいや、相談しちゃお!)」


 ファーナはルクスに反体制派のことを相談する。


「なるほどな。それでこんだけ護衛を付けてんのか」

「まぁ、はい(ちょっと違うけど……)」

「というか走り回ってたら囮にならないだろ?魔力で身体強化してたらなおさら……」

「あっ!?」

「気づいてなかったのか……」

「では、今夜ゆっくり歩いてみます!(そんなこともわかってないなんて、恥ずかしすぎる……)」

「いや、それよりも多少無茶してもいいなら引っ掛けやすい方法があるんだが」

「ほんとですか!?」

「ああ」

(流石ルクス様です!)


 ファーナはルクスに作戦を聞く。


「なるほど……では、許可を──」

「待て待て。こういうのは知る奴が少なければ少ないほど成功しやすい。勝手にやるぞ!」

「わ、わかりました!(絶対後で怒られる~……けど、やるしかない!)」


 ルクスとの作戦会議が終わるとファーナは仕込みをした後、ルクスを監視している警備兵に話しかけに行く。


「あ、あの!」

「なんだ?」

「今、反体制派が暴れているそうです。なんでも警備兵の方が狙われているとか……」

「知ってるよ。ていうかダークエルフも狙われてるはずだろ?君も気を付けた方がいいと思うが?」

「そ、そうでした。え、え~っと、お互い気を付けましょう!」

「ぉおう」

(大根過ぎましたー。失敗したかもしれません)


 多少の不安を抱えながらも作戦が実行された。

 ファーナは明らかに襲撃者を待ち構える様子で、宿を出て細い路地へと入ってゆく。


 ドォン!!


 少し時間をおいて派手な爆音とともにルクスが泊まる宿に面した大通りから火柱が上がる。


「「なんだ、なんだ!?」」


 近くに住む住民たちも警備兵たちも一斉に通りへ飛び出してくる。


「何事だ!?」

「向こうの方で爆発があったようです!」

「反体制派か!?」

「わかりません」

「班を二手に分ける。片方は爆発地点の調査と警戒!もう片方は住民の避難誘導だ!急げ!!」

「「はっ!」」


 警備兵が行動を開始する。


「魔道士殿!」

「聞こえてましたよ」

「では、早く避難を!」

「相手の標的にはオレも入ってんですよね?だったらここで待たしてもらいますよ。皆さんは住民の避難を優先してあげてください」


 ルクスの余裕の態度から動く気がないと判断した警備兵は警備隊長に確認を取る。


「どうします?」

「構わんというなら住民の避難誘導に回れ!騒動の最中に姿をくらましたりしないでくださいね!」

「へいへい」


 警備兵により住民の避難誘導がスムーズに行われ、ルクスの周りには静寂が訪れる。

 辺りから生活の灯りが消え、薄暗い夜がルクスを包み込む。

 遠くからキラリと反射光が映ると開け放たれた窓から1本の矢がルクス目がけて奔る。

 ルクスは飛んできた矢を指で摘まむと矢じりを確認する。


(毒……あの時と一緒かな?)


 数瞬おいて複数の刃が同時にルクスを襲う。


「くっそ!」


 刃はルクスの服にすら掠りもせず、刺客は舌打ちする。

 ルクスは暗闇に蠢く影の数を目で数えながら、軽くストレッチをする。


「さて、やるか」


 再び襲い来る刃をルクスは狭い部屋の中、最低限の動きでいなす。


「どうなってんだ!?魔道士は近距離戦が苦手という話じゃなかったか!?」

「いや、実際避けているだけで攻撃はしてきていない。攻撃手段が乏しいのだろう!」


 ルクスが反撃してこないと高を括り雑になった攻撃を数度いなしたルクスは反撃に出る。

 勢い余って深入りした刺客の頭を裏拳で吹っ飛ばすと、間髪入れずもう1人の顔も拳で消し飛ばす。

 しかし、反体制派は怯む気配がない。


(暗くて仲間がやられたことに気付いてないのとか?もちっと派手にやるか!)


 振り抜かれた刃を回転しながら躱すとそのまま腹部に蹴りを叩き込む。

 蹴られた刺客は内臓を破壊され、宿の壁を突き破り向かいの家まで吹っ飛ぶ。


「なっ!?」


 怯んだ2人を残しもう1人の足を払うと腹部に拳を突き刺す。

 殴られた刺客は天井を突き破って天まで打ち上がる。

 天井が壊れたことで月光が宿の中へと差し込む。

 反体制派の瞳には月光の中に佇む血塗られた悪魔の姿が映る。


「ヒィッ!」

「チッ!」


 残された2名の反応はそれぞれ違った。

 一人は怖気づき完全に逃げること、生き延びることに思考が奪われていることが素人目にもわかる。

 もう1人もルクスに対し勝てるとは思っていない。それでも、一矢報いようと刃を構えたままである。

 勝つことを諦めた者の動きは非常に短絡的である。

 何の策も弄さず、先ほどまで複雑な剣戟の応酬を捌き切っていたルクスに向かってただ真っ直ぐ刃を突き出す。


(複数人残した方がいいよな?)


 ルクスは突き出されたレイピアごと刺客の腕を折り曲げる。


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」

「うわああああああああああああああああああああ!!」


 引け腰だった刺客が恐怖に耐えかね背を向けて逃げる。


「あっおい!」


 残された刺客が逃げ出した刺客を止めようとする。

 しかし、ルクスが派手に宿を破壊したことにより、警備兵たちも集まり始めていた。


「くっそ」


 最後まで残っていた刺客も逃げきれなくなる前に、ぐちゃぐちゃにひん曲がった腕を抱えながらその場から離脱する。

 その姿をルクスは黙って見送る。


「魔道士殿お怪我は!?」

「おい!何人かさっき逃げて行った奴を追え!」


 騒ぎを聞きつけた警備兵たちがルクスの下に到着する。


「これは……」


 警備兵たちは宿の周りに無残に転がる死体を見て言葉を失う。


「すいません。何名か逃がしてしまいました」

「い、いえ、ご無事なようで何よりです……」


 ルクスの無事を確認した警備兵たちは死体を片付け始める。


(頑張れよ、ファーナ)


 ルクスの戦闘中、ファーナは少し距離を空けたところからその様子を確認していた。

 ルクスの宿から反体制派の刺客たちが撤退を始めるとファーナも行動を開始する。

 ファーナは反体制派が逃げ込むであろうアジトまでバレないように尾行する。

 刺客たちは何度も細い路地に入り追っ手を撒くような動きをしながらも、ラウルスの方向へと向かってゆく。


(この方角……王都とラウルスの間にある廃気地帯!?)


 カエダム国の廃棄地帯は王都建設の際に活躍した場所であり、現在は破棄され異邦人や犯罪者が住み着いていた。

 ファーナはバレないように、撒かれないように一定の距離を保ちながら刺客たちの後を追う。

 ファーナが巨大な工場の横にある狭い路地を抜けた瞬間、刺客たちの姿が目の前から消える。


「えっ!?」


 全身の血の気が引いたファーナであったが、深く息を吐きすぐに冷静さを取り戻す。

 そして、落ち着いて辺りを見回す。

 冷静になった甲斐があり、廃ビルの壁がわずかに動いたのを目で捉える。


(あそこがアジト?)


 ファーナは選択を迷う。


(どうしよう。ここで追わなかったら次のチャンスがいつになるかわからない。それに、ここもまだ通過点でアジトはまだ先かも……。でもでも、密閉空間過ぎて外から様子を確認できない。あそこで待ち伏せされてたらかなり不利。罠の可能性だって……。いや、やらなくていい理由を探すなわたし!)


 ファーナは両頬に気合いを入れると敵のアジトへと続く隠し扉の前に立ち、慎重に扉を開く。

 扉の奥は階段が続いており、地下に繋がっている。

 ファーナは一本道の暗い地下道を壁に手をつきながら進む。

 すると地下道の先から声が聞こえる。


(揉めてる?)


 ファーナは息を殺し、耳をそばだてる。


「あんな化け物なんて聞いてないぞ!」

「俺の腕も、仲間も一瞬でミンチだ!どうすんだ!」

「まぁ落ち着け!魔道士の強さは想定外だが、それ以外は順調なはずだ!」

「落ち着いてられるか!?聞いた話だとあの魔道士はあいつが連れてきたんだろ!?そもそも俺はなんどもあいつは信用ならんと言ったはずだぞ!!」

「そう言ったってしょうがないだろ?あいつの作戦は完璧だった。実際、今もことは順調に進んでる」

「本当にそう思ってんのか!?この前の悪魔が王都に乗り込んで来た件、あれもあいつが呼び込んだんだろ?下手したら、女王の首を落とせても、国が悪魔に乗っ取られかねんぞ!」

「そうだった。王都が悪魔に襲撃された時、あいつどこにいた?」


 ファーナは慎重に声のする部屋の前まで進む。


(この話の内容……いや、それは捕えてから吐かせればいい)


 ファーナは覚悟を決めると、力強く扉を開ける。


「王箭騎士団です!大人しく投降してください!」

「チッ!てめえらつけられやがったな!」

「関係ねー1人だ殺──」


 一触即発の状況でファーナは空間が熱を帯び、膨張するのを感じた。


(これ、まず──!?)


 強烈な爆発音とともに頭上の建物ごとファーナたちがいた部屋が吹き飛ぶ。

 その場にいた反体制派は跡形もなく木端微塵に消し飛んだ。

 ファーナは魔力を全身に纏うと同時に空間を歪め爆発の直撃を避けることで、何とか命は繋ぎとめたが意識を失ってしまった。



「ゲホゲホゲホゲホ……」


 ファーナは冷たい水を被ったことで意識を取り戻す。

 辺りを見渡すと王都内にある会議室の一室である。

 目の前には第三王箭騎士団のメンバーが揃っている。


「これは……」

「黙れ!!」


 ファーナが口を開こうとするとシーナがその口を噤ませる。

 ファーナの両手首には手錠がされ、自由に動くことができない。


(下手に動いたら殺されかねない……)


 場の突き刺さるような空気を感じ、ファーナは深呼吸するとシーナの発言を待つ。


「貴様が反体制派の捕縛を買って出たところから、貴様に監視を付けさせてもらった。そしたらどうだ?街道に爆弾を仕込み、魔道士を襲わせた後、仲間と合流をしたではないか?」

「違います!」

「何が違うというのだ!?あ゛あ゛!?裏切り者が出るなど第三王箭騎士団の恥だ!!」

「わたしは裏切ってなどおりません!」

「では、今の報告が虚偽だと貴様は言うのか!?」

「街道に爆弾を仕掛けたのもルクス様を襲うようにしたのも認めます」

「やはり──!」

「ですが!全ては反体制派のアジトを暴き出すため、ルクス様とも話し合いの上決めたことです!!監視されていた方がいたならわかるはずです。わたしは反体制派を尾行しており、合流という形はとっておりません!!」


 ファーナの必死の訴えにシーナの疑いが僅かばかり揺らぐ。


「監視していた奴はどうした!?」


 全員が辺りを見渡す。


「なんだ?」

「それが……誰一人いないようでして……」

「なんだと──!?」

(やられた!?このままではわたしが──!!)


 バンッ!


 突如、会議場の扉が乱暴に開く。

 シーナが注意しようと口を開ける前に血相を抱えた戦士が報告を始める。


「報告します!!ディアタナス魔王国と交戦していた第一王箭騎士団が瓦解、このままでは悪魔の軍勢が王都に侵攻してくる危険が!ですので、シーナ様率いる第三王箭騎士団にご対応をお願いいたします!!」

「「第一王箭騎士団が!?」」


 会議場に動揺が走る。


「兄上はどうした!?」

「それが……第一王箭騎士団は誰一人戻ってきておらず、現在調査中です」

「そんな……」


 シーナの腕が力なくだらんと落ちる。


「(このタイミングで!?)シーナ様!!」


 ファーナは自身の背筋が凍り付くのを感じていた。


(王都内で問題になっている反体制派のアジト壊滅と陛下直属の近衛騎士団が王都内の警備に当たっている以上、第三王箭騎士団は背後を気にすることなく打って出ることができる。

 だがそれは、この国最強の第三王箭騎士団を誘い出し、王都をガラ空きにすることに他ならない)


 ファーナの声にシーナは我に返る。


「姉上はなんと!?」

「それがドゥルケ様は現在、近衛騎士団ととも動いているようで上手く連絡が取れず……」

「すぐに打って出るぞ!」

「お待ちください!!それでは、反体制派の思う壺です!!」


 ファーナは何としてもファーナたちが打って出ることを阻止しなくてはならない。


「黙れ!!裏切り者!貴様の狙いは我々をここに足止めすることだろ!!」

「違います!!わたしは裏切っておりません!!」

「黙れと言ってるんだ!!」


 シーナがファーナの顔を蹴りつける。

 あまりに鈍い音にその場にいた戦士たちはファーナから顔を逸らす。

 それでも、シーナの暴力は止まらない。何度も何度もファーナを踏みつける。

 手錠をされているファーナは身を守ることもできず、その体にはみるみる痣ができ腫れ上がってゆく。


「貴様はもう死ね!」


 興奮が頂点に達したシーナが腰からレイピアを抜く。


(すみませんルクス様……結局わたしは最後まで何もできませんでした)


 ファーナが生存を諦めた時


 バンッ


 再び会議場の扉が開き、戦士が飛び込んでくる。


「喧し──」

「報告します!!」


 戦士たちは嫌な予感を抱えながら会議場に入ってきた戦士を見る。


「今度はなんだ!?」

「マーガス丘陵の守りが突破されたとの報告が!このままでは大量のアンデットが王都へと雪崩れ込みます!」

「どういうことだ!?防衛には余裕があるという話だっただろ!?やはり魔道士が何か小細工を弄していたのか!?」

「いえ、生存者の話では魔道士殿には非常に助けられたと」

「だったら、なんで急に守りが崩壊するんだ!?」

「それが、謎の音が鳴り響くと、それまで拮抗していたはずの戦士たちが成すすべなくやられ始めたと……」

「音!?何の音だ!?」

「不明です」

「何なんだ!?どうなってんだ!?くそくそくそくそぅ!!」


 シーナは苛立ちに任せて机を叩き割る。


「シーナ様!!」

「黙れ!」


 こうなってしまっては他の者たちは下手に発言できない。

 黙ってシーナの指示を待つ。

 シーナは親指を嚙み千切ってしまうのではないかと思うほど強く噛み、頭を悩ませる。

 そして、ハッと思いつく。


「我々は第一王箭騎士団の弔い合戦のため、ディアタナス魔王国の悪魔どもに対し打って出るぞ!」

「それでは、アンデットの方はいかがするのですか!?」

「アンデットの方には魔道士を向かわせろ!」


 シーナの言葉に場が一瞬凍り付く。


「何してる!とっとと魔道士にアンデットの相手をするよう伝令しろ!」

「魔道士殿の供には誰を?」

「供!?一人でいいだろ!!所詮は精霊から愛されていない灰眼だ!できれば相打ちが望ましいのだが、まぁそこまで期待はしない。我々が悪魔を討ち滅ぼす間、せいぜい時間を稼いでもらおう。とっとと行け!!」


 ファーナは何とか口を動かして抗議しようとする。

 しかし、指一本動かすことができない。


「ファーナはどうします?」

「生かしておく意味があるか?」

「まだ隠れているかもしれないネズミを炙り出すことはできるかもしれません……」

「だったら、地下牢にでもぶち込んでおけ!第三王箭騎士団は出撃だ!!とっとと準備しろ!」

「「はっ!!」」


 反体制派の密偵と疑われたファーナは地下牢へと幽閉された。


(ああー床が冷たい……)


 ファーナは牢屋の床の温度を感じながら再び気を失う。



 ファーナが地下牢に幽閉されたころ、シーナからの伝令がルクスの下に到着していた。


「ご報告申し上げます!たった今、マーガス丘陵の要塞が突破されたとのことです」


 その報告にルクスは眉を顰める。


「なぜ急に突破されたんだ?」

「不明です。それで、魔道士様には至急アンデットの下へ向かっていただきたく」

「了解」


 ルクスはシーナの指示に従いマーガス丘陵へと向かう。



 ルクスが伝令を受け取った同時刻、ドゥルケの下にも伝令が駆け込んでいた。


「報告いたします!!たった今、第三王箭騎士団が王都からディアタナス魔王国へ打って出たようです!」

「「打って出た!?」」

「シーナはなぜそのような行動に!?」

「それが、報告によりますとディアタナス魔王国と交戦していた第一王箭騎士団が瓦解したと……」

「「第一王箭騎士団が!?」」

「そんな……」

「シーナ様はその報告をもとに行動を開始したのだよな!なぜ、王であるドゥルケ陛下に先に報告が上がっていない!?報告者は誰だ!?」

「それは……」


 近衛騎士団の団長は報告の真偽を確認するためにも、報告者を聞き出そうとする。

 しかし、伝令は誰がシーナに報告したのかも、どこからその情報が湧いて出たのかも把握しておらず口籠ってしまう。


「すでに敵はこちら側に潜り込んでいるようですね。第三王箭騎士団が動き出してしまった以上、我々近衛騎士団のみで王都を守護しましょう!」

「大変申し上げにくいのですが陛下、王都は王都防壁がある以上、悪魔どもに侵攻されることはないでしょう。しかし、現在王都内には反体制派なる不届きな輩がおります。王都防壁を解除させないように警備を配備するとなると、近衛騎士団だけでは明らかに人数が足りておりません」

「それは私の護衛を差し引いたらということですよね?でしたら──」

「なりません!!御身に何かあっては国が立ち行きませぬ!」

「それであれば、私一人が生き残ったとしてもこの国はないも同然です!国の存亡を考えるのであれば、王都防壁の警備を優先させるのが道理!わかってくださいますね!?」

「…………」

「それにシーナには及びませんが、私だってこの国の最高戦力の一人ですよ。その辺の悪魔程度であれば、そう簡単には負けません」


 ドゥルケの言に近衛騎士団の心が揺らいでいると、再び伝令が駆け込んでくる。


「報告いたします!!たった今、王都防壁の一部が解除されたようです!!」

「「なんだと!?」」

「理由は!?」

「はっ!それがマーガス要塞がアンデットにより突破されたようでして、その対策としてシーナ様が魔道士殿の派遣を決めたと!」

「「マーガス要塞が!?」」

「このタイミングで魔道士殿を派遣して王都防壁を解除するリスクを冒すとは、シーナ様は何を考えておられるんだ!?」

「ここで唸っていてもしょうがありません!!みな!行動を開始してください!!」

「「はっ!」」


 近衛騎士団はカエダム国王であるドゥルケと最低限の人員を残して王都内の要所へと散る。

 ドゥルケは何かあった時にすぐに対応ができるよう、王都内を見渡せる王城の最上階にて備えを取った。

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