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大罪人もう一度  作者: 御神大河
エルフ国動乱・二つ目の楔
34/36

33.ファーナの覚悟

 ルクスとファーナは再びのカエダム国王都へと戻る。


「毎回毎回出入りの際に一部とはいえ王都の防壁を消したり張ったり大変だな」

「すみません。何度も何度も」

「別に──」

「どうかなさいましたか?」


 ルクスが路地を睨んでいると陰から手のひらサイズの手編み人形が現れる。

 人形はジッとルクスの方を見ると体を翻し、歩き始める。


(ににに、人形が歩いてるー!?何なんだろう!?)

「ついて来いってさ」

(えっ!?怖いんですが……けど、お一人にするわけにもいかないし……)


 ルクスとファーナは人形の後を追う。

 暫く歩くと人形は王都を抜け、すぐ隣の森の中に入っていく。


「ここは?」

「ここはラウルスと言います。元王都だったそうで、今でも重要な場所だとか」

「重要?」

「はい。詳しくは知らないのですがそう聞いております。ただ、近頃では反体制派の本拠地があるとの噂も……(入りたくないな~)」

「重要地点に反勢力の噂ね……」


 ラウルスは天を衝くほど巨大な大樹マルダスを中心にした町であり、王都防壁の中心部でもある。

 ルクスは人形を追ってラウルスへと入っていく。

 王都からほどない所にあるにも関わらず、辺りには植物が鬱蒼と生えており足元は舗装もされていない。まるで熱帯林ようである。

 そこに生えた大木を住民たちは住居として使っている。


(歩きにくい……)

「王都とは大違いだな」

「昔はどこもこのような感じであったと聞いたことがあります」


 暫く歩くと中央に生えるマルダスの下に辿り着く。

 人形は大樹の前で手招きしている。


「あの、あまり近づかない方がよろしいかと……」

「なんで?」

「その木は呪われているから近づくなという言い伝えがございますので……」

「なるほど。じゃあここで待っていてくれ」

(えっ!?でも……いや、待ってよ。足手纏いにならないようにね!)


 人形に誘われてルクスは大樹マルダスに触れる距離まで歩を進める。


「この中か……」


 ルクスがマルダスに触れようと手を伸ばした瞬間、トラップが発動する。

 蔦がルクスの体を拘束し、ルクスの真下に大穴が出現する。

 抵抗する間も与えず蔦がルクスを大穴へと引きずり込むと、勢いよく大穴が口を閉じる。


「ルクス様ーー!!」


 大穴に飲み込まれたルクスを見て、ファーナはルクスを助けようと大樹に向かって走りだす。

 そのファーナに向かって雷を纏った大量の矢が襲い掛かる。


「へ?」


 トラップがルクスに向かって発動したと思っていたファーナには回避の方法がなく、頭を抱えてその場にしゃがみ込んでしまう。


 ガキンッ


 ファーナの体に矢は刺さっていない。

 ファーナが顔を上げるとそこには、大穴に生き埋めにされたはずのルクスが立っていた。


「ル…クス様……」

「おう」


 即座に蔦が絡み合い、手の形を形成するとダブルスレッジハンマーを振り下ろす。

 ルクスは自身の体以上の大きさの斧を生成すると蔦を叩き切る。

 そのまま大樹を切り落とそうと振りかぶった時、騒ぎを聞きつけ住民が野次馬として集まってくる。

 ルクスをマルダスの下まで誘った人形はいつの間にかどこかに消えている。


「引いた方がよさそうだな」

(はあー、よかったー!)


 ルクスは斧を引っ込めると騒ぎが大きくならないようにその場を立ち去ろうとする。

 しかし、そこにエルフの警備兵たちがやって来る。


「そこのお前!動くな!大人しくこちらの指示に従え!」


 ルクスは素直に従い両手を挙げる。

 そのルクスの行動を見て警備兵たちは肩を跳ねさせて構える。


「動くなと言っているだろ!!」

「へいへい」


 警備兵たちは警戒しながらルクスを取り囲む。

 そこでようやく隣にいるファーナに気が付く。


「ファーナ殿!?この人間は何者ですか?」

「こ、この方はミラリアム王国からいらっしゃった魔道士のルクス様です(だから丁重に扱ってくださいね。じゃないと、わたしが怒られます)」


 警備兵の質問にファーナが答える。


「魔道士?マーガス丘陵の案件ですか?」

「そうです」

「どうします、隊長?」


 ファーナの返答に警備兵はどうしたものかと迷う。

 ルクスがへし折ろうとしたマルダスは王都防壁の重要な主柱であり、これを破壊しようとする行為は国家反逆罪に値する重大な問題である。

 しかし、それと同時にマルダスが悪意あるものに破壊されないように王都防壁の主柱であることは女王直轄の一部の者を除き秘匿されている。

 そのため、他国のルクスはもちろんファーナですらそのことを把握していない。

 であったとしても、通常であれば身柄を拘束することに何の迷いもなかったであろう。ただし、ルクスが国が招聘した他国の要人であると判明した以上、そういう訳にはいかなかった。


「この辺りは現在物騒でして我々が宿舎まで護衛いたします。よろしいですか?」


 警備隊長はルクスの気を可能な限り損ねないように、それでもルクスを監視させて欲しいことが伝わるように言葉を選ぶ。


「構わないのですが、実はまだ宿を決められてないのですよ」

「提供されていないのですか!?」


 警備兵は疑わしそうにファーナを見る。


「今回の件はシーナ様の担当でして……」

「ああ!なるほど」


 警備兵はシーナの名前を聞き納得し、とりあえずルクスに詰所そばの宿を紹介する。


「上等とは言えないかもしれませんが、こちらにお願いいたします」

(随分と警戒されているな……これはあんあり動かない方がよさそうだな……)


 宿に入った途端、外に複数の戦士を配備したことをルクスは見逃さなかった。


「ルクス様、わたしはこれよりシーナ様の呼び出しに従い王城へ行って参ります。ルクス様はいかがなさいますか?(できればあんまり動かないでください!お願いしますー!!)」

「オレがいると話しづらいこともあるだろうし、大人しく待ってるよ」

「かしこまりました(やったー!)」


 ルクスの待っている発言に警備兵たちも胸を撫で下ろす。



 ファーナは王城の玉座の間で行われる会議に出席する。


(会議嫌だな~。ルクス様のお付きの任を外されたらどうしよう!そんなことになったら……無理無理無理!!はあ~、出来ればずっとルクス様と行動してたいな~)


ファーナは気を滅入らせながら入室する。


「ファ、ファーナ・フロントール、ただいまマーガス要塞より帰還いたしました!」

「遅いぞ!いつからお前はそんなに偉くなったんだ?ファーナ!?」


 会議場には早々にシーナの怒声が飛ぶ。


「す、すみません……」

「わざわざマーガス丘陵に出向いた貴様を呼び戻したのだぞ!こと重要性くらい理解できるだろ!」

「す、すみません」


 そこからファーナに対する長時間に亘るシーナの説教が始まった。


「だいたい姉上を待たせるなど──」

「シーナ、その辺で……」


 ドゥルケが止めたことでようやく会議が始まる。


「では、報告を」

「先日、王都防壁が機能しておらず悪魔の侵入を許しました。調査の結果、第一通行門の警備が解除要請を行った後、何者かに殺害され張り直しが行われなかったのが原因であると判明いたしました」

「第一通行門は魔道士殿が入場した門でしたね?」

「はい。ですのでミラリアム王国からやって来た魔道士が我が国に仇なした可能性がございます」

「そんなことはあり得ません!!」


 ファーナが声を上げる。

 シーナは不快感を露わにしながらファーナを睨み付ける。


「なぜそう言い切れる!?」

「ルクス様は盗賊に襲われてから王城までの間、一度も馬車を下りられておりません!それに、仮にルクス様の目的が悪魔を王都に呼び込むことであったならば、悪魔と戦闘しあの場で我々に加勢する意味はないと思われます!」

「魔道士の動きにもついて行けない貴様の目がどれほど信用に足るかは甚だ疑問だがな。それに魔道士が己が力を証明するために自作自演した可能性もあるだろうが?」

「力を証明するよう仰られたのはシーナ様であり、ルクス様はここに来るまで力の証明ついて知り得ていないはずです!」

「そんこといくらでも予想のしようがあるだろうが!!」

「流石にそれは暴論かと!」

「なんだその言い草は!?何様だ貴様!?」

「2人とも!!」


ドゥルケが2人を叱りつけたことで、両名とも口を閉じる。


「よろしいでしょうか?」

「なんでしょう?」

「昨日、魔道士殿が倒した巨大な悪魔が現れた魔法陣なのですが、アンデット召喚のものではないかとの話が……」

「だからなんだ?」

「え?」

「そんな報告は時間の無駄だ」


 シーナは戦士の報告を切り捨てるとコンコに発言を求める。


「コンコ、遺体の第一発見者はお前だったな?」

「はっ!王都防壁を再起動させたのも私です」

「助かりました。ところでなぜその場所へ?」

「魔道士殿の送迎中に野盗におそわれましたので、魔道士殿を王都に届けた後野党の調査に赴きました。その調査後に防壁が張られていないのを確認したため急ぎ戻り張り直しました」

「なるほど……」

「野党は始末したのだろ?死体はどうした?」

「それが、戦闘中に仲間を失っても徹底して隠れていた者がいたらしく、私が王都から現場に戻るまでの間に死体はその何者かに全て回収されておりました。」

「回収された?では、何者かもわからないのか!?」

「いえ、反女王派の仕業であることは始末した際に把握しております」


 反女王派という言葉に玉座の間がピリつく。


「ラウルスのゴミどもか……」

「シーナ、そういう発言をしてはいけません。ただ、どうにかしなくてはなりませんね」

「ええ。悪魔やアンデットとやり合う前に反体制派を一掃すべきだ」

「背中からブスリでは堪りませんからね」

「そうですね。マーガス丘陵の方も魔道士殿のおかげで時間的に余裕ができたとの報告が上がっておりますし、今のうちに対処しましょう」


 反体制派を優先的に対応することが決まったところで、一人の戦士が挙手をする。


「なんだ?」

「反体制派に関係あるかは不明ですが1つご報告が」

「関係ないなら──」

「なんでしょう?」


 シーナが話を無視しようとしたところをドゥルケが止める。


「はっ!何度か報告を上げているかと思いますが、ここ最近王都内の戦士の行方不明が多発しております。それと同時期から街中で妙な音が聞こえるとの報告が少数ですが報告されております」

「そ、それ──!」

「誰が発言を許した!?」

「す、すみません……」


 萎縮しているファーナにドゥルケが質問する。


「何か心当たりが?」

「は、はい。ルクス様護衛中に野盗と戦闘した際にもその音が聞こえてきました」

「コンコ!そんな報告受けてないぞ!!」

「申し訳ございません。確かに奇妙な音はなりましたが、それほど重要なこととは認識しておらず……」

「無能が……」

「もう他に共有すべきありませんか?……では今回はここまでにしましょう」


 ドゥルケは会議をお開きにする。

 会議終了と同時にシーナが声を張る。


「第三王箭騎士団に告ぐ。反体制派を徹底的に炙り出す。三人一組になり、交代で王都を巡回せよ。配属や時間はコンコに任せる。いいな!」

「質問よろしいでしょうか!」


 コンコが挙手する。


「なんだ?」

「ファーナはどうしましょう?魔道士殿のお付きということになっておりますが」

「ファーナは外せ。どうせ戦闘になったら役に立たん」

「はっ!」


 玉座の間から出るとファーナはシーナに呼び止められる。


「ファーナ、わかってると思うが魔道士を監視し、逐一報告しろ」

「なっ!?疑ってらっしゃるのですか、シーナ様!?」

「当然だろ。報告がなければ国家反逆罪として処罰するからな」


 ファーナは拳を固く握り、言い返したい気持ちをグッと抑える。

 するとコンコが寄ってくる。


「何を魔道士に肩入れしてるのかわからんが、きちんと報告はした方がいいぞ。本当に無実ならそれが無実の証明にもなる。なんだったらあまり王都を歩き回らないように助言しとくといい。下手に動くといらん罪まで押し付けられないからな」

「わ、わかりました……」


 ファーナは大きく深呼吸する。


(反体制派を制圧できればルクス様の濡れ衣を晴らすことができる。ルクス様に窮屈な思いをさせないためにも一刻も早くこの問題を解決しなくては!)


 ファーナは走る。


 バンッ!


「ルクス様、わたしに本格的に魔法を教えてください!」


 ファーナはルクスの下へ戻ると勢いよく部屋の扉を開ける。

 ファーナの唐突な豹変にルクスは少し引き気味である。


「いきなりどうした?」

「早急に強くなりたい理由ができました!わたしに修行を付けてくだいませんか!」

「ああ。それはいいけど……」

「ありがとうございます!」


 その日からルクスによるファーナの修行が始まった。

 ルクスの監視を命じられたファーナは王都の巡回業務がなく時間は山のようにある。

 ファーナは明らかに自信の限界を超えている目標メニューを課し、がむしゃらに行う。

 早朝まだ陽が昇っていないうちに目覚め、魔力のコントロールの修行。ルクスが起きてくると時空魔法を見てもらう。魔法の精度が落ちてきたら再び1人で黙々と修行した。


(わたしは弱いから、一日でもサボったり手を抜いたりしたらきっとすぐに逃げたくなる。ガンバレわたし!)


 シーナに徹底的にしごかれ苦手意識を持っていた、走り込みや筋トレなどの体力づくりも欠かすことはなかった。

 なぜここまで努力が続いているのかファーナ自身にも理解できていなかったが、毎日毎日、汗の水溜まりを作り力尽きるまで努力した。

 そして思わぬ形でその努力が実るのを実感する日が来た。

 全て絞りつくすほど全力で目標のメニューをこなしたのに、まだ余力が残っているである。


(あれ?メニューをこなしたのにまだ体力が残ってる?もしかして無意識に手を抜いた?)

「おっ。今日はちゃんと意識あるな。体力も精神力もついてきたんじゃねーか?」

「ルクス様?どうしてここに?」

「いつもこの辺の時間で気絶してるからな。回収しに来たんだ」

「回収?」

「そのままにしておくわけにはいかんだろ」

(あれ?そう言えばわたし修行の後どうやってベットに戻ってたんだっけ?もしかしなくても毎回ルクス様に運んでもらってた?と言うか何も考えずに朝体を洗っていたけど、もしかして汗臭い状態のわたしをルクス様に……!?どうしよう、なんか……なんか!?)


 ファーナは恥ずかしさのあまり頭から蒸気を出してフリーズする。

 そんなファーナにルクスはパタパタと手を振り反応を確認する。


「やっぱギリギリだったか?おーい。ファーナ、大丈夫か?」

「へ?あ、はい!というか、すみませんでした!!」


 ファーナはその場で全力で土下座する。


「ああ。気にしなくていいぞ。慣れてるから」

「いや、でも……」

「いいんだよ。頑張ってる証拠なんだから。まだ修行するのか?」

「いえ、今日はちゃんと自分の足で戻ります」

「なら帰るか」

「はい!(やっぱりルクス様お優しい!)」


 ファーナが修行に勤しんでいる間も王都では次々にが行方不明になる事件が相次いでいた。

 そして、被害はそれだけではなかった。


「姉上を呼んでまでの報告とは何事だ!?」

「それが、反体制派の影響が想像より深刻であるそうです」

「国賊どもめ!どこまで足を引っ張れば気が済むんだ!?」


 シーナはイライラしながら玉座の間に入る。

 玉座の間にはすでにドゥルケをはじめ多くの戦士が揃っている。


「では、報告をお願いします」

「はっ!初めに王都内で発生していた行方不明事件についてですが、ある程度の規則性が見えてまいりました」

「「おおー!」」

「ほんとか!?」

「はっ!狙われているのは王都防壁の警備兵、ダークエルフや人などのエルフ以外の住人、そして、魔道士殿を監視している警備兵と思われます」


 報告に玉座の間がざわつく。


「やはりあの魔道士は我が国の敵ということか!?であるならば、これは国家間問題だぞ!!」


 シーナの蟀谷に浮き上がった血管は今にもはち切れそうである。


「いえ、そうではないかと」

「ならどういうことだ!?」

「それが、どうやら反体制派としては魔道士殿を排除したいようです。実際、監視中の警備兵が襲われたところを魔道士殿に助けられたとの報告も入っております」


 その報告にドゥルケは胸を撫で下ろす。


「救援に来た魔道士殿のマーガス丘陵での活躍は目を見張るものがあったそうですから、対立しなくて済むのは一安心ですね。反体制派の狙いは魔道士殿を殺す事でマーガス丘陵の戦況を悪くすることあるいはミラリアム王国との関係を悪くすること、もしくはその両方と言ったところでしょう。魔道士殿が倒したという曲者はどうしましたか?」

「毒を飲んで自死したと」

「くそっ!情報は引き出せないか!それで?姉上を呼んでまで報告しなくてはならないこととは?この程度であればわざわざ姉上の時間を割くまでもないだろう!?」


 全員の視線が報告者に注がれる。


「それが、反体制派の活動が過激になってきており、王都外にも及び始めております。このままでは、他国へ悪評が広がりかねません。それどころか最悪の場合、反体制派が他国に攻撃を仕掛け、現体制に責任を擦り付ける可能性も……」

「なっ!?関係ないものまで巻き込むとは、どこまで性根がくさってるんだ!!」

「落ち着きなさい、シーナ!」


 ドゥルケの一声で騒々しかった場が静かになる。


「王都以外にも被害が出始めているのは由々しき事態ですが、他国へ攻撃するということはないでしょう。そんなことをしてしまっては仮に体制を奪えたとしてもその後他国に責められることは避けられませんから。今は王都内で警備兵を襲っている者を優先に対処しましょう。現状、魔道士殿に何かあればそれが一番大きな問題になります。何かよき案のある方はいませんか」


 女王の質問に皆一同に手が挙がらない。


「誰か何かないのか!?」


 シーナの圧がかかっても誰も妙案は出てこない。


「わかりました。では、私直轄の王城警備兵も王都の巡回に出します!」

「「!?」」

「姉上それは!?」

「背に腹は代えられません。民がいなくては国は成り立ちませんから」


 女王であるドゥルケが指針と覚悟を決めたことで会議は終わった。

 会議が終わった後、シーナは第三王箭騎士団を招集する。


「揃ったな!」

「シーナ様、ファーナの奴はいかがいたしましょう?」

「いても役に立たないだろ?無能はほっとけ!」

「はっ!」

「それより、姉上が王城警備兵から人員を割くこととしたため、我々第三王箭騎士団からその分の補充を行う」


 その発言に他の団員が手を挙げるのも忘れて異議を唱える。


「陛下の判断に(たが)うのですか!?」

「黙れ!敵の狙いは間違いなく姉上だ。恐らく王都の警備兵の数を減らすことで、姉上が自兵の数を減らすのを狙っていたのだろう。だから我々はその裏を掻く。これは我々だけが知る秘匿事項だ。女王である姉上にも気付かれるな。よいな!」

「「はっ!」」


 会議を終え、自室に帰ろうとするシーナは呼び止められる。


「シーナ様、お時間よろしいでしょうか?」

「ファーナ?貴様こんな場所で何をしている?魔道士の監視はどうした?」


 シーナはファーナを威圧するがファーナに怯む気配はない。


「そのことについてお願いに上がりました!」

「チッ!ついて来い」


 ファーナはシーナの自室に案内される。


「で?なんだ?」

「反体制派に関しての情報はコンコ副団長より伺っております。ダークエルフは標的になりやすいのですよね?ならば、わたしに囮役をやらせていただけにでしょうか?」

「魔道士の監視はどうする気だ?」

「ルクス様は潔白です!そのこともわたしが反体制派を生け捕り、証明してみせます!」


 そう言い切るファーナの目には強い光が宿っている。

 優れた戦士であるシーナがその光を見逃すことはなかった。


「貴様が生け捕りにする?ロクに魔法も使えない貴様がどうやって生け捕りにすると言うんだ?」

「そのために強くなってきました。今は戦えます!」

「…………いいだろう。やってみるといい」

「ありがとうございます!!(これで、ルクス様の潔白を証明できます!待っててくださいね、ルクス様!)」


 これにより反体制派に対処すべくそれぞれが動き出した。

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