26.殲滅
乱戦の中に飛び込んだ『バラコルヌ』はチームメンバーを信じて戦場の中で分かれる。
戦場は大混乱である。
後方には逃げ出す者とそれを止める者。中団にはどうしたらいいかわからずオロオロとしている者。
前線はまだ何とかゴブリンを食い止めていた。
そこへ『バラコルヌ』が走ってくる。
「全員ゴブリンから離れてください!!」
「ハイド⁉」
一早くドゥカスが反応する。
「お前らどうして⁉」
「ゴブリンがこっちへ向かったので魔道士様と駆けつけました!」
「ルクスが来てんのか⁉」
「はい!」
ドゥカスは即座に指示を出す。
「「全員一時後退!」」
別の場所で同時にトックも声を張る。
冒険者は一瞬の判断で生死が決まる。過酷な依頼であればあるほどその速さと正確性が重要になっていく。
冒険者たちが一斉にゴブリンから離れるように後退する。
誰一人として迷いはない。ドゥカスとトックが同時に撤退を指示した。それだけでここにいる冒険者たちにとっては信用に値していた。
「ギエッギエッギエッギエッギエッ!!」
冒険者たちの背中を見たゴブリンたちは奇声を上げながら追いかける。
全体が動き出したのを確認したハイドは、ルクスから貰った音爆弾をロックを外し投げる。
「なんだそれ?」
「ルクスさんから頂きました!」
「ルク──」
パンッ!!!キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
極限まで圧縮された空気がロックが外れたことにより、栓が抜け音速気流が発生。強烈な炸裂音がクオダム高原に響き渡る。
突如発生した超巨大な音により、生きるために必死に逃げていた冒険者も勇敢に戦っていた冒険者も皆一様に音のした方へと振り返る。
至近距離で直撃したゴブリンたちはそれ以上の衝撃を受けていた。
距離のあったゴブリンは何が起こったのかわかず思考停止し、近くにいたゴブリンは気絶している。
「ぶっ放せ!」
〈フラマエラ〉
ペトラは勢いよく燃える火球を引き寄せるとゴブリンの群れへ押し出すように放つ。
放たれた火球は圧縮から解放され膨張する。
火球に気付いたトックが慌てて声を張る。
「全員伏せろ!!」
声に気付いた者は即座に体を低くすると、気付いていない者に伏せるように注意する。
伝言ゲームのように「伏せろ!」がこだまし、冒険者たち全員の体が草花に隠れる。
打ち出された火球は轟音とともに着弾するとあっという間に周囲のゴブリンを焼き払い、炎柱となりながら突風を巻き起こす。
熱風はゴブリンを巻き上げ、冒険者たちの頭上を瞬間的に吹き荒れる。
「何なんだこれ⁉どうなってんだ⁉」
「魔法ってこれほどなのか?」
「いったい誰が?」
冒険者たちが状況を飲み込めず困惑する中、ペトラの通る声がクオダム高原に響き渡る。
「聴け!ドゥニージャ公爵領の誇り高き冒険者たちよ!ワシの名はドゥニージャ公爵領領主ドゥニージャ・ギエールが娘、ドゥニージャ・ペトラじゃ!恐怖を味わった者もいよう!痛みを味わった者もいよう!しかし!ここでおぬしらが敗走すればその恐怖をその痛みを次に味わうのはおぬしらの大切な人じゃ!そんなことが許せるのか⁉ワシは、そんなことは我慢ならん!!ワシと気持ちを同じくする持つ者よ守るために立ち上がれ!足が震えるというのであればドゥニージャ・ペトラが支えよう!」
ペトラは鼓舞と同時に腕を上げると炎を発生させる。
「……黄金の炎……」
「……公爵令嬢様……」
感化された冒険者たちが徐々に立ち上がる。
そこへファトゥスが喝を入れる。
「ペトラ様のお言葉聴いて弱音なんて吐いてらんねーだろ、お前ら!さあ、立て!忌々しいゴブリンどもを叩き殺すぞー!」
「うぉおおおおしゃぁぁぁぁああああああああああああああ!!」
冒険者の覚悟に火が付く。
背を見せ逃げ惑っていた冒険者も武器を構えてゴブリンへと走り出す。
ゴブリンたちはこの場で最も危険なのはペトラと判断した。
結果、冒険者たちはペトラを警戒しているゴブリンたちを横撃する形となった。
次々とゴブリンに向かって走る冒険者の中で別の方向へ走る一団があった。
『白妙の光』である。
ミーナにルクスの下へ向かうように伝言された『白妙の光』は冒険者を縫って走っていた。
「ルクスー!」
「師匠ー!」
「師匠?どういうことじゃ⁉」
アルメールの師匠という言葉にペトラがルクスを睨む。
そんなペトラの様子に気付かずルクスは応えるように手を挙げている。
「よお、久しぶりだな!おぉっとっ!」
アネルとアルメールはルクスに飛びつく。
それをトックとエリメールが引き剝がす。
「他の冒険者が必死に戦ってんだから自重しろな」
「そうっすよ。また今度にするっすよ」
一連の流れにペトラは頬を膨らませている。
「ルークースー」
「あっ、後で説明するから……」
「それで?この状況だ。なんか策があるんだろ?」
トックが緩んだ空気を引き締める。
「ペトラを任せたい。傷一つ付けずに護り切ってくれ」
「「⁉」」
『白妙の光』は目を見開く。
「ペトラ様をか⁉」
「ああ」
「そもそもいくら魔道士だと言っても公爵令嬢様を戦場に出すのは危険なんじゃないの⁉」
「そうっすよ!それにウチらより小さいじゃないすか⁉」
「お前ら失礼だぞ!すみませんペトラ様」
「よい。気にしないのじゃ!」
「それでルクス、お前が護らない理由は?あの戦場の中で暴れるのか?」
ルクスの戦闘が見れると思い、『白妙の光』は目を輝かせる。
「いや、ゴブリンの発生地を潰してくる。じゃないといたちごっこなんだろ?」
「じゃあ──⁉」
「悪いが他は足手纏いだ」
ついて行こうとする『白妙の光』のメンバーをルクスは先に言い伏せる。
クオダム高原ではゴブリンたちが強烈な一撃から立ち直り、互角の戦いとなり始めていた。
「エリ、こいつを渡しておく。遠慮なく使え」
ルクスはエリメールに布袋を差し出す。
「ウチに?なんすかこれ?」
そう言いながらエリメールは袋の中をのぞく。
中には青い液体と黄色い液体の入った瓶が数本ずつ入っている。
「これって回復薬と解毒薬ですか⁉」
「ああ。ペトラはもちろんお前たちも遠慮なく使え。使い渋るなよ、死んだら護れないからな」
「了解っす」
エリメールは袋を強く締めると腰に付ける。
「じゃあオレは行く」
「気を付けてください、師匠」
「無事に帰ってきてね」
「ルクス!ペトラ様は任せろ、必ず護る!後でな」
「ああ」
ルクスはチラッとペトラと目を合わせると振り返ることなく林の中に消える。
ルクスは血結魔法を使い加速すると林の中を駆け抜ける。
ゴブリンは数が少ない時は山肌の洞穴などに住み着き、大所帯になってくると地面を掘って巣を作る。
発見が困難に思われるゴブリンの巣であるがそんなことはない。
ゴブリンは鼻が利くわりに清掃という概念がない。食べたものは放置しっぱなしとなり、腐臭を放つようになる。そのためゴブリンたちは、食事場所と排便場所を一緒にすることで臭いの原因を一カ所にまとめている。
結果、ゴブリンの巣からは強力な悪臭が放たれている。
また、急速に拡大したゴブリンの群れは巣の規模が追い付かず、ゴブリンが溢れ出している。
ルクスは巣から溢れたゴブリンと悪臭を頼りにゴブリンの巣を探す。
(ゴブリンとの遭遇頻度が上がってきたな。巣はこの辺か?)
ルクスは遭遇したゴブリンを処理しながら走る。
途中、カロン村と同様に蹂躙の跡が残る小さな村を発見する。獣や虫に食い荒らされたのか人の形が残るものは一つとしてない。
(かなり前に襲われたみたいだな……。この先か……)
日が傾いてきた頃、ルクスは人が引きずられたであろう痕跡とうろついているゴブリンを辿りながら村の先の山際までたどり着く。
息を切らし深く呼吸したルクスの鼻腔を強烈な悪臭が刺激する。
「くっっっさ!!」
ルクスは思わず声を上げると鼻をつまむ。
見張りをしていたゴブリンがルクスの存在に気が付き警戒声を鳴らす。
ルクスの眼前には大きな口を開け、悪臭を放っている巨大なゴブリンの巣。そして、岩山を外郭にした拠点であろうことがわかる頑強な扉が少し離れた位置にある。
「当たりか?こいつは運がいい」
ルクスは視界に入るゴブリンを次々と瞬殺していく。
巣穴から大量のゴブリンとホブゴブリンが湧き出てくるもその全てを殺しつくし、死体の山が積み上がる。
「このでかいのがホブゴブリンか。並べてみれば違いが判るな」
ルクスはゴブリンの巣穴と人工的な扉を見比べる。
その間にも巣穴からゴブリンが出てくる。
「扉の奥にいる奴に逃げられたくはないが……ゴブリンから片づけるか」
ルクスはゴブリンの巣へと突入する。
クオダム高原ではペトラが戦闘に参加したことにより、冒険者が圧倒し始めていた。
火球の生成にある程度の時間を要するため、冒険者たちの頑張りも重要となる。
「どこがまずい?」
「右側が一番きつそうかと!」
「右側下がれー!」
冒険者が下がったところへペトラの魔法が火を噴く。
冒険者たちはペトラの魔法に巻き込まれないように常に声を出しながら立ち回る。
「ペトラ様大丈夫ですか⁉」
「問題ない!次じゃ!」
「エリ、頑張って!」
「任せるっすよ!」
『白妙の光』はペトラの護衛があるため遠距離に対応できるエリメールしか戦闘に参加できない。
『フィールムベイス』とファトゥスがリーダーを務める『メディギトゥス』の勢いは凄く、ホブゴブリン相手でも人数をかけることで短時間で倒してゆく。
「押し潰せー!」
「ペトラ様より先にくたばっちゃダメよ!」
「どんどん殺せー!逃がすなよ──⁉」
冒険者たちが再び優勢に立ち、ゴブリンの中には林へと逃げ始める者も出始めた。
ファトゥスが逃げるゴブリンを追いかけ林に踏み込んだ瞬間、ファトゥスの体が宙に舞う。
「ファトゥ──!」
唐突なことに声を上げた『メディギトゥス』のメンバーの首から上が弾け飛ぶ。
「ペ──」
トックの指示よりも早くペトラの火球が撃ち放たれ、何者かに直撃する。
火球は周囲の木に燃え移り、煙を上げる。
「ぐおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
咆哮とともに煙を散らすとその正体が露わになる。
3メートルはある筋骨隆々な赤い巨体。口からは牙が飛び出ており、頭部には大きな角が生えている。
「──オーガ⁉」
「くっそ!血の匂いに呼び寄せられたか⁉」
「どうする⁉オーガはまずいぞ⁉」
「撤退するしか……」
オーガの到来により高かった冒険者の士気が沈下してしまった。
反対に引け腰になった冒険者を見てゴブリンたちが勢いづく。
ゴブリンたちにとってもオーガは脅威である。そのため獲物を捕らえてすぐ撤退しようと、ゴブリンたちは女性冒険者一点狙いで攻撃し始める。
怖気づいた冒険者たちが再び背を見せ逃げようとした時
「ふざけんな!!……逃げて…逃げてどうすんだよ!!大切な奴らを、護るんだろうが!!」
ファトゥスが剣を杖代わりにしながら立ち上がると声を張る。
足と腕がひしゃげ、顔は削られて頭蓋が露出しており、ファトゥスの体はボロボロである。それでも瞳に宿る炎は消えていない。
ファトゥスの言葉に逃げようとしていた冒険者の足が止まる。
「勝って護るんだろうが!!」
ファトゥスの声がクオダム高原に響き渡ると冒険者たちが体を翻し、ゴブリンに武器を振り下ろす。
それでも絶望的な状況には変わりがない。
リーダーの魂の咆哮を全員に届けるために、『メディギトゥス』のメンバーはオーガに勝負を挑み散っていた。
オーガは『フィールムベイス』を次のターゲットにしようとしていた。
「ドゥカスさん!ペトラ様をお願いします!オーガには俺たちが当たります!」
そう言うと『白妙の光』はオーガに向かって走り出す。
「おい!最重要は──!」
「よい!ワシが許可した。ワシだけ生き残っても意味ないからの」
ペトラは最大火力をお見舞いするために魔力を練り上げる。
近づくことすら危険な魔力の激流である。
オーガは自分に向かってくる『白妙の光』にターゲットを変える。
「オーガの強さは分厚い皮膚と耐久力よ!ダメージが通らない以上、回避中心で行きましょ!ペトラ様の魔法発動の時間を稼ぐの!」
「アネルとエリメールは距離を取りながら気を散らしてくれ!アルメール!注意を引き付けるぞ!魔法は使えんが、パワーはあるから直撃は避けろよ!」
「「了解!」」
トックの横を掠めるようにエリメールの放った矢がオーガへと飛ぶ。
矢を躱したオーガの視線は自然とトックへ誘導される。
トックは剣を陽の光に反射させ注意を引くと、さらに視線を誘導するように横へと移動する。
オーガの視線がトックにいったのを見てアルメールが加速する。
懐へ飛び込むとガントレットを横腹に突き刺す。
しかし、オーガはびくともしない。標的をアルメールに変え、弾き飛ばそうと拳を振り上げる。
アルメールを薙ぎ払おうとするオーガの腕を今度はアネルが鞭で叩き、初動を遅らせる。
オーガの腕が空を切ったのを見て、トックが背後から切りつける。
「凄いなあいつら……」
『白妙の光』は巧みな連携で完璧にオーガを翻弄していた。
しかし、それだけではオーガ勝てない。
オーガに勝つためには、ダメージを与えるために一定以上の火力が必要である。
「アルメール、下がって準備しろ!」
「死なないでくださいね!」
ダメージを与えるためアルメールは大きく後方に飛び退き、ゴレームを破壊した時のように右腕に魔力を集中させる。
アルメールが減ったことにより、当然トックの負担は増える。
アネルとエリメールの援護はあるものの完璧に回避をすることはできず、徐々に生傷が増え息も上がる。
トックの限界が近づいた時、ペトラの声が響く。
「退がるのじゃ!」
ペトラの炎はこれ以上ないほど燃え盛り、爛々と輝いている。
気付いたオーガはペトラが最も危険と判断し標的を変える。
「よそ見してんじゃねーよ!」
「がああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
視線を外したオーガの眼球をトックの剣がえぐり上げる。
オーガは怒りに任せてトックに拳を振る。
回避しようとするトックであったが膝に激痛が走り、その場に膝を折る。
「「トック⁉」」
回避が間に合わないと踏んだトックは剣を盾にしてオーガの拳を受ける。
トックの体は宙に浮くと数メートル吹き飛ぶ。
だが、結果的にオーガの周りには誰もいない状況が完成する。
〈フラマエラ!〉
「動くなっすよ!」
エリメールが曲射によりオーガの周りに矢をばら撒きオーガの動きを制限する。
そこへ、ペトラの最大火力の火球が迫り、オーガを飲み込む。
爆音とともに突風が吹き荒れ、奥にあった木がなぎ倒される。
爆散地は大量の土煙が巻き起こっている。
「どうなった⁉」
「わからん!」
皆が爆散地を見つめる。
「ガ…………ガッ…………ガッ…………」
「マジかよ……」
オーガは全身焼け爛れ、片腕は失っている。だが、それでも生きている。
「あれで生きてんのかよ……」
「火力が足らんかったか……」
ペトラが歯噛みし、皆がオーガの生命力に驚愕する中、『白妙の光』はオーガを仕留めるために動き出していた。
エリメールの矢が奔り、もう片方の眼球を貫く。
「グガッ…………ガッ…………」
視界を奪われたオーガ目掛けて、アルメールが一直線に駆ける。
オーガの皮膚はペトラの炎に焼かれ脆くなっている。
そこへアルメールの渾身の拳が突き刺さり、風穴を開けた。
オーガは絶命し倒れる。
「いっよっしゃあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
冒険者たちはクオダム高原の戦いに勝利した。
ルクスは生成したマスクで苦い顔を隠しながらゴブリンの巣を進む。
ゴブリンたちは巣の地形を巧みに利用しながらルクスに不意打ちを仕掛けてゆく。だが、それではそもそも力の差を埋めることができず、ルクスの歩いた道はゴブリンの死体によりマップが埋まってゆく。
巣穴は暗く迷路状になっており、異臭を放っている。
ゴブリンの体臭と糞尿、そして生ものが腐った匂い。巣穴の床や壁は体液でヌメヌメしており、蛆が沸いている。
(ホブゴブリンのおかげか天井に高さがあるのが救いだな)
ゴブリンを処理しながら奥へ進むとキィキィと甲高い声が聞こえてくる。
ルクスは声のする方へと歩を進める。
しばらく行くと開かれた空間に出る。天井や床、壁は血痕が残っているものの他の場所に比べて明らかに清潔に保たれている。
そこに大量のホブゴブリンが群れている。その数は数十匹、そろそろ3桁になろうかという数である。
甲高い鳴き声に混じって微かに人の声も広場の奥から聞こえてくる。
「ここが最奥かな?」
「「ギィヤアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!」」
ルクスを見たホブゴブリンたちは有無を言わさず襲い掛かる。
ルクスは襲い来るホブゴブリンの顔面を拳で順番に粉砕してゆく。その光景は破砕コンベアのようである。
誰が見ても力の差は歴然であるが、ホブゴブリンは1匹残らず無謀な特攻を止めることはなかった。
(狂ったように突っ込んできて何だったんだ?)
その答えは広場の奥にあった。
無造作に置かれている木の板を蹴り飛ばすと、中には大量のゴブリンの子どもが隠れていた。
生後間もないであろうまだ目も開いてない個体から立派なゴブリンまであと一歩の個体まで成長具合はさまざまである。
そして、百を優に超えるうつろな目をした裸の女性たちが足や足の腱を奪われ倒れている。
そのほとんどが喰われ冷たくなっており、生きている女性たちも目に生気がない。
(なるほどな)
ルクスはホブゴブリンの無謀な特攻の理由に納得する。
ルクスの姿を見た年上のゴブリンたちが赤ちゃんゴブリンを守ろうと背後に隠しながら必死に威嚇する。中には生きている女性の首元に爪を当て、人質にする子ゴブリンもいる。
すると人質になった女性がルクスに気付き、弱弱しく掠れた声で救いを求める。
「……コロ……コロシテ……オネアイ……コロシテ……クアアイ……コロ──」
(ペトラは連れてこなくてよかったな)




