表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/83

スーパークルーザーの巡礼4


 改めて、このメンツにおける最初で最後の作戦会議と洒落込むこととなった。


「時間がないわ、全体ブリーフィングはなしの上空合流。私の権限で飛ばせるのはチームメイトの5機だけだから、合計7機のチームになるわ」


「おや、三笠を出すのか」


 時雨率いるチームの顔ぶれは把握している武蔵だが、未だにイマイチ詳細不明なのが三笠だ。

 今まで隠し玉として温存していた彼女を投入する、それもこんな当人達に無関係な試合で。

 それは、武蔵に相応の驚きを抱かせた。


「どこかでデビューさせなきゃとは思ってたのよ、そろそろ全力投入しないと土壇場で足元掬われるかもしれないし」


「そんな繊細な神経の持つ主か、あいつ?」


 三笠が故郷の友人だと一方的に知らないアリアが訊ねる。


「あの人のポジションはどういうものなのです? というか、こんな急ごしらえの合同チームで連携なんて取れるのですか?」


「無理ね」


「無理だ」


 時雨と武蔵の見解は一致した。


「付け焼き刃の空戦連携なんて、むしろ事態を悪化させるだけだ。7機を更に2つの編隊に分けての運用になる」


 元より戦闘機の編隊は2機編隊の積み重ねが基本だ。7機が有機的に連携を組んで飛ぶなど、あまりに難易度が高い。

 武蔵の零戦。

 アリアの百式。

 時雨の疾風。

 双子の三式戦と五式戦。

 ポニテ少女最上(もがみ)の二式大艇改。

 最後に今回デビュー戦となる、三笠。

 この7機をどう振り分ければ適切な運用が行えるのか、この短時間で考えなければならない。


「敵はこれ以上大型機を保有しているとは思えないわ」


「まあ、甲板上には見えないな」


 爆撃機サイズの大型機は空母の上では必然的に露天駐機せねばならないので、B―36ピースメイカーが更に増えるとは考えにくい。というか考えたくない。


「もう一隻空母がいたりして」


「さ、さすがに……それは……」


 妙子の呟きを、由良は否定したかった。

 現実的に推理すれば、追加機は空母格納庫内の小型機である。


「戦闘機か、攻撃機か」


 アリアが不思議そうに訊ねる。


「攻撃機って、対地攻撃用の飛行機ですよね? B―36なんてバケモノがいるのに、更に爆撃能力を足すかもしれないのです?」


「艦上攻撃機のスカイレイダーやモーラーだって、ルール上はギリギリ許可が降りるはず。これらの性能は戦闘機にとっても充分厄介なものだわ」


 スカイレーダーは有名だが、モーラーは知名度が低いので、一応説明を挟むこととする。

 MA―1モーラー。有名な攻撃機A―1スカイレイダーのライバルだった艦載機である。

 スペックこそスカイレイダーを凌駕していたが整備性や使い勝手が悪く、あまり名は知られていない。

 ただエアレースという整備に集中出来る環境では、モーラーやコルセアといった実戦における欠陥機も活躍の余地があるのだ。


「ようするに攻撃機っていうのは、戦闘機サイズの輸送機よ。空母に載る航空機としては、一部例外を除いて最も輸送力に優れている機種ね」


 言わんとすることが解らず訝しむ女性陣に、武蔵はさっくりと回答を提示した。


「ようするに、こんな成金な戦い方をする相手となれば空対空無誘導ロケットの乱れ打ちもありうるってことだ。戦後に一時期使用された戦法だな」


 高性能艦上攻撃機による、ロケット弾の掃射。

 その弾幕は、武蔵とてあまり浴びたくはない攻撃だ。


「まあ、事前に想定しておけば対処できないこともない。所詮は対爆撃機向けの戦法だ」


「戦闘機なら鈍重な雷撃機のロケット掃射に捕まる可能性は低いけど、二式大艇、富嶽だと逃げ切るのは厳しいわ。まあ、どんな戦闘機相手でも死角のある富嶽にとっては天敵なんだけど」


「え、じゃああの大きな船みたいな飛行機、どんな状況で使うんですか」


「制空権が確保されてる状況よ」


「……うーん?」


 首を傾げるアリア。

 根本的に、二式大艇とは存在そのものがエアレースと矛盾した機体だった。


「そういえばあの二式大艇はガンシップだったが」


 頷く時雨。

 二式大艇のサイズは全長28メートル、全幅41メートル。B―36の半分ほどの大きさだ。

 富嶽は間違いなく高性能機だが、水上機である以上は制約も多く、B―36とはそもそも世代が違う。

 おおよそスペックでB―36に負けている。また、武装が左に集中しており、右側はまったく無防備となっている。

 なんとも割り切った内容だが、ウエストディスティニーのB―36ともやはり少し違う思想なのだ。


「私達だって、あのチームと当たった場合を考えて対抗策くらい準備していたわ。二式大艇なら、B―36の編隊を打ち倒せる」


「……まあ、確かにアレなら、あるいは」


 武蔵が難しい顔で唸った。

 鋼輪工業空部の異形の怪物、飛行艇二式大艇には特殊な武装が搭載されている。

 一目で判るので武蔵も把握していたが、それが火を吹いたところは見たことがなかった。


「アイツ等が弱いものイジメ専用の装備なら、二式大艇は巨人に巨人を以て挑む為の装備よ。勝ち目は十分にある」


「なんだか光の巨人感があるのです」


「むしろ……とにかく、B―36の編隊に当たるのは二式大艇と三笠でいくわ。基本二式大艇とB公の殴り合い、三笠は予備戦力として控えね」


 どうやら三笠を本格的に投入する気はやはりないらしい。

 過保護過ぎやしないかと思う武蔵だが、ちょっと百合百合しくて心地良かったのでスルーすることにした。


「はーい2人ペアになってー」


「え、なんで急に私のトラウマえぐるの武蔵くん?」


 意外なことに流れ弾を食らう妙子。

 双子コンビ、武蔵と時雨のエレメントが敵が繰り出すであろう小型機への対処。

 そして、アリアの百式があまり1となった。


「なんで私を除け者にするのです」


「VTOLの百式なら匍匐飛行が出来るから対地攻撃に適正がある」


 積載量は乏しいが、隆線、地面の凹凸に隠れて飛べばかなり目標へ安全に接近出来る。

 戦闘ヘリ不要論というものがあるが、こういうことが出来るからやはり垂直離着陸が可能な攻撃機は有用なのだ。


「ハブられた気しかしないのですが」


「お前の反射神経、何気に人外なんだよ。匍匐飛行ではそういうのがどうしても必要になる」


 才能では自分よりずっとパイロット向けだと、武蔵はアリアにそう認識していた。


「お前は背も頭も小さいからな」


「だからなんだというのです、私が小顔美少女だって自覚くらいありますよ」


「手足から脳までの神経の距離が単純に短いし、そもそも脳みそ小さいから脊髄で補助する割合が大きいんだろう。きっと首を切り落としてもしばらく身体だけで走り回るに違いない」


 怒られるレベルの偏見発言であった。


「ニワトリ頭とでもいうつもりかクソ武蔵」


「にわとり舐めるなよ、蚕や羊と並んで自立して生きられないレベルで人間様の生活支えてくれているんだぞ」


「奴隷どころか家畜扱いしはじめやがったのです」


 むすぅー、っと頬を膨らませるアリア。


「もっと士気高揚を要求するのです。モチベーションがないと匍匐突撃なんて無茶、出来ないのです」


 武蔵はいかにも困った子を見るように、やれやれを肩を竦めた。


「仕方がない、お前にも3日間俺を好きにする権利をやるよ」


「じゃあ3日間バイトに励んで、私に給金を献上するのです」


 とことん武蔵とのフラグの立ちそうのないアリアであった。

 幾つかの情報開示を経て、ミーティングを進める武蔵と時雨。

 これ以上の複雑な連携など元より諦めるしかない。大雑把に役割分担を決めれば、それだけで時間となってしまった。

 時雨は自らの母艦へ戻り、仲間を引き連れて武蔵達と空中合流を果たす。

 その異種編隊には、誰も見たことのない失われたはずの機体が存在した。







 7機の編隊飛行ともなけば、これまでの2機編隊とは迫力が違う。

 大型機である二式大艇を先頭に、V字を描いて飛ぶ雷間高校と鋼輪工業の合同チームは戦闘空域へ突入する。

 敵味方合わせて、計17機。これほどの軍用機が一挙に飛ぶ姿は、一機あたりの運用コストも作業量も上がった現代においてはそうそう見られるものではない。

 一丸となった雷間高校チームと打前高校チームが真っ向から衝突する。

 すり抜ける10機と7機。その瞬間こそが、試合開始の合図。

 地上で鳴り響いているであろう試合開始のサイレンなど、聞こえようもない。

 しかし選手全員が感じた。その空が、流血がないだけの戦場となったことを。

 刹那、光の雨が7機の軍勢に襲いかかった。


「《ふん、容赦がない》」


 試合開始直後の、12,7ミリの弾幕。

 武蔵は当然予想しており、すぐに操縦桿を引いて機首を上げる。

 ヘッドオンからの試合開始だったので、彼我の距離は途端に開く。下手にロールせず、とにかく手早く回避する為の編隊を組んだままの上昇。


「《ほんとにいきなり撃ってきたのです》」


「《そりゃま、手段があるならとりあえず撃っとくでしょ。秋月、霜月、大丈夫?》」


 戦闘機がメインであるインペリアルアライアンスに対し、爆撃機が半数を占めるウエストディスティニーは豊富な回転銃座がある。その攻撃方向は、前方に限ったものではない。

 後方への攻撃が可能である以上、先手を打ったのは彼らであった。

 武蔵に続き空を駆け上る5機。


「《隊長(リード)、敵の戦闘機見えた? なんか変な形だったったぽいけどー》」


「《よく見えなかったしぃ》」


「《隊長(リード)ってのが俺と時雨どっちに聞いているのか判らんが、確かに双胴機っぽかったな》」


 一瞬のすれ違いでは、機種を見極めるのは難しい。

 コックピットの視界の広さ故か、敵機を判別したのはアリアであった。


「《あれは、マスタング? P―51っぽいのです》」


「《まあ、選ぶ機種としては妥当だろうけど。そんな普通の機体だったか?》」


 P―51マスタング。誰もが認める、第二次世界大戦最優戦闘機。

 その名声に反し、個々の能力は特別優れているわけではない。エンジンは最大1700馬力とまだ発展途上であるし、高高度性能、加速性能、最高速度、運動性能、航続距離、防弾、あらゆる面において最強とはいい難い。

 だがこの機体は、その全てを高水準で満たし、かつバランスが優れていた。更に工業製品として安価に纏まっていることもその優秀性を示していた。

 必要なタイミングで、必要な性能を持ち、必要な数を揃えられる。

 だからこその傑作機。その翼は最強にあらず、しかし最優であるのだ。


「《マスタングは双胴機じゃないぞ》」


「《変な改造されてるのです。なんか、主翼を2機繋げたような》」


「《ぶふっ》」


 武蔵は咽た。

 主翼を繋げたマスタング。そんな珍機、1つしかない。


「《ツインマスタング? なんたって、そんなゲテモノを》」


 爆撃機の護衛などといった長距離飛行任務の能力を強化したマスタング、それがツインマスタングだ。

 元よりマスタングの航続距離は3000キロと優れていたが、2機のマスタングを連結させることで航続距離3600キロまで伸長。更に左右にコックピットを備えることで、交代交代で操縦可能となり長距離飛行任務の難易度を大きく下げることとなった。


「《どうするの、武蔵?》」


「《どうもしない。飛行特性はP―51とそう変わらないはずだ》」


 無茶な機体の割に、ツインマスタングの性能は悪くない。

 素性が良かったからか双胴機の割に運動性能も高く、戦闘機として十二分な性能を誇っているのだ。

 だからこそ、事前に打ち合わせた作戦も十二分に通用するというものである。


「《結局は同数、予定通りだ》」


 事前の作戦通りの、教科書通りの上から強襲。

 最適なポジションを確保しようと旋回していると、アリアが作戦に待ったをかけた。


「《待つのです、武蔵。敵が増えたのです》」


「《増えたって何を……あれー?》」


 双眼鏡で覗くと、敵機が本当に増えていた。

 どういうことかと注視すれば、双発機だったはずのツインマスタングが単発機になっている。

 よくよく見れば、翼端に奇妙な部品が残っている。武蔵はそれだけで直感した。


「《分離しやがった! 登録上ツインマスタング5機でも、実際は10機だ!》」


「《せこっ! せっこ!》」


「《ありなの、こんなの? さすがにアウトでしょ?》」


「《恥を知るのです! まるで武蔵ですね!》」


 非難轟々の声が共用無線に響く。

 敵主将は、不敵に言い訳をしてみせた。


「【前例がある。ドイツで使用されたミステルって合体航空機が、かつて大会委員会から認可を得られた。なら、ツインマスタングが分離したって問題ないはずだ】」


「《あるよ! ツインマスタングは分離しねーよ!》」


「《前例があればいいってもんじゃないでしょー!》」


「《もっー! やってらんなーい!》」


 当然の抗議の声をあげる霜月と秋月。

 そもそもツインマスタングは通常のマスタングを繋げた機体ではない。設計を流用しただけの、生まれながらの双胴機だ。

 機体中央から真っ二つに割ったところで、飛べるようには出来ていない。あれはツインマスタングではなく、それっぽくドッキングさせただけの通常のマスタング2機でしかないのだ。

 これがルールに抵触するかは別として、出場してしまっているからには叩きのめさねばならない。

 しかし相手はあらゆる面で高性能な名機マスタング。編隊を組んだままの一撃離脱には持ち込めないであろう。


「《しゃーない。相手の数が多すぎる、予定通りの組み合わせで乱戦に突っ込むぞ!》」


 風防越しに、武蔵がアリアに視線を送った。

 敵味方に通じている無線で不用意に合図は出来ない。武蔵のアイコンタクトを理解したアリアは、主翼を振って承知の意を伝えた。

 そろりそろりと降下してゆく百式。アリアはこのまま、敵が守る対地攻撃目標へと突っ込む。

 アリアが要領よく攻撃目標を爆撃出来れば、その時点で勝利確定……とはいわずとも、大量得点となる。

 急上昇する零戦。それに遅れ、時雨の疾風も上昇する。


「《武蔵! エレメントなんだから上昇率合わせてよ!》」


「《言わんとすることは判るが、それはそれこれはこれ! 俺と飛びたければついてこい!》」


「《こいつ、昔の失敗を反省してない!》」


 武蔵の過去の失敗をまったく反省しない飛び方に、その被害者たる張本人の時雨は憤る。

 自分らしくあればいい、という綺麗な言葉は、割と暴論と背中合わせである。


「《隊長(リード)、マジ不憫ですぅー》」


「《ちょっとアレですよねー》」


 雑談しつつ緩降下で敵機の群れに突っ込むのは、双子の三式戦闘機と五式戦闘機であった。


「《おいおい、双子がそのまま突入してったぞ。大丈夫か?》」


「《双子ってまとめるなしですー》」


「《私達は面倒なのは嫌いなんですぅ。勝てばいいんですよぉ、勝てばぁ》」


 よく似た機影。機首が尖った方、つまり三式戦が敵に食らいつかれる。


「【馬鹿め、無策で突っ込んできや、うおっ!?】」


 三式戦の背後を取ったマスタングが、当然のように猛撃を受けて撃墜判定を受けた。

 敵機を撃墜した五式戦と、追われていた三式戦が交差する。

 鮮やかに敵を撃墜してみせた三式戦を警戒してか、複数機がこれを囲い込む。

 しかし今度は、それを五式戦がかき乱した。

 再度分散し、体制を立て直そうと旋回するマスタング。

 その1機を、口頭通信もなしに見合わせたように同時に襲撃する三式戦と五式戦。


「【ぬうっ、ちょこまかと!】」


「【こいつら、互いにフォローし合っている!】」


「《やるじゃん双子。あそこまで連携を取れるとは》」


 お手本のような、相互支援戦術―――サッチウィーブであった。

 常に互いが互いを支援出来るように立ち回り、時に囮となり、時に狩人となる。

 必要とあらば機銃を束ね同時攻撃を仕掛け、不要と判断すれば別々に敵機を追う。

 武蔵とて、これほど生き物のように支援し合うエレメントを見る機会はそうそうない。


「《あれは、機体特性の違いも利用してるのです?》」


 よく似た三式戦と五式戦だが、動きが違うことをアリアは敏感に感じ取った。

 彼女の質問に、時雨は困ったように答える。


「《そうだけど、あんまり無線で伝えちゃ駄目》」


「《あ、ご、ごめんなさい》」


 敵に若干情報を漏らしてしまったアリアは、失態に気付き謝る。

 そんな様子を意識の片隅に起きつつ、武蔵は機体を背面飛行にロールさせた。

 いい具合に混乱に陥った眼下の乱戦。既に6機まで減少した敵機に対して、零戦は裏返しのままに降下強襲を仕掛ける。

 水平飛行の速度限界を超えて、時速650キロで突っ込む零戦。

 充分引き付けてから放たれた模擬弾は、うわついていたマスタングを容赦なく貫いた。


「《ゼロセカンド、スプラッシュワン》」


 武蔵の撃墜は3機。その尋常ではない軽さ故に揚力で暴れる零戦を抑え込み、必要なだけ模擬弾を撃ち込めばすぐに次の目標へ切り替えていく。

 長年乗り続けてきたからこそ、どれほどの環境であっても武蔵は零戦を御せられる。

 エンジントルクから風量までも考慮し、弾道を叩き込んた感覚で計算し、最低限の操作で次の敵機へと喰らいつく。

 武蔵にとっては当然の結果、しかしそれを敵機が受け入れられるかどうかは別問題。

 撫でるように銃弾を撃ち込まれたマスタングは、何かの間違いかのように防御力を無視して撃墜判定を受けていった。


「【嘘だろ、一撃で3機落としやがった!】」


「【くそっ! あと何機だ!】」


「《残念だけど、これで全滅よ》」


 続いて降りてきたのは、時雨の疾風であった。

 散開途中に貫かれるマスタング。ほぼほぼ垂直に降りてきた疾風は、交差した瞬間に2機を滅多打ちにする。


「《全滅よ、とか言っておきながら1機残してる件》」


「《隊長(リード)ださいですぅ》」


「《ちょべりばー》」


「《くきゅううううぅぅぅっ》」


 時雨は羞恥に悶えた。

 対して慌てふためくのは、残り1機となったマスタング。


「【なんだ、なんなんだこの一方的な戦いは!? ふざけるな、ありえないっ! なぜだ、どうしてだ!】」


「《お前らの練度が単純に低い》」


 武蔵は指摘と同時に追撃に出る。不自然なまでに、その翼の切り返しは早かった。

 つい先程急降下をしたばかり。体制を立て直すのには、もう少し時間が必要だったはず。

 だというのに、零戦は最後の1機を狙っていた。


「【真下―――!?】」


 紙飛行機のように重さを感じさせない挙動で上昇に転じて、的確にコックピット周辺を撃ち抜く。

 ミステル仕様のマスタング部隊が交戦(エンゲージ)から全滅(グランドスラム)するまで、結局1分も保たなかったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ