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ローエングリンの未練12



「大和武蔵、貴様には期待しているのだ」


「勝手なことを言うな」


「うぐぐっ」


 離れた場所へ移動した武蔵と三笠。

 三笠は自分が美人である自覚があった。故に、自分が調子のいいことを言えば武蔵も頷くだろうという打算があった。

 しかし返答の声色が存外鋭かったことに、三笠こそがたじろいだ。


「す、少しは話を聞こうという気はないのか?」


「ほぼほぼ初対面だぞ、期待したりされたりする関係とは言い難い。そも、耳障りのいい言葉を選んでいるがようするにお前の出来なかったことの尻拭いをしろということだろう」


「急にやさぐれるな、貴様という奴は」


 概略すら聞いていないというのに、提起される問題の本質に対して無遠慮に指摘を入れる武蔵。

 三笠にとってあまり経験のない対応。これまでの観察でそれなりに察していたものの、武蔵という人間が一筋縄ではいかないと彼女は再認識した。


「俺のモットーは『自分に優しく人に厳しく』だ」


「人として駄目な奴だな」


 それでも要件を伝えねば話は進まない。咳払いを1つし、三笠は言葉を続ける。


「だが貴様が指摘する通りだ。貴様には、我の尻拭いをしてほしい」


 武蔵は沈黙した。


「美人のケツを拭う、か」


 武蔵は想像する。

 糞したあとの三笠をひっくり返して、尻穴を舌先でペロペロしたい。


「っと、すまん。ちょっと紳士的とは言い難いことを考えてしまった」


「声に出していたぞ!」


「声に出してない部分でお前は3倍とんでもない目に遭っていた」


「やめろもう話すな聞きたくない!」


「イマズィン……」


「世界的名曲を侮辱するな!」


 イヤイヤと耳を塞いで拒絶する三笠。

 三笠は確信した。コイツとは相性悪い。

 尊大な態度の割に苦労性な少女であった。


「話を戻すぞ。いいか、話の腰を折るなよ。我が話す番だからな!」


「任せろ。俺は話の腰を折らない達人だ」


「はぁ……」


 三笠は深々と溜め息を吐き、語り始めた。


「……アリアという少女は、存在からして微妙な立場なのだ。本人は知らないが、極めて特殊な立場に置かれた存在なのだ」


「抽象的過ぎる」


 武蔵は眉を顰める。

 曖昧な言いようにもどかしい心持ちとなった武蔵だが、堪えることにする。

 話せないならば話せないなりに理由があるのだと推測したのだ。


「そこに此度の転校だ。何かしらの外圧があったとしか思えん。我は気が気ではなかった。だが我にはもう、アリアに言葉を伝える術がない。我はもうアリアに会えないのだ」


「それはお前の都合、というわけではなく?」


「我の個人的な考えは別としての、もっと大きな力によるものだ」


 話がきな臭くなってきたな、と武蔵は聞かなかったことにしたくなってきた。


「アリアがそんな大それた人間とは思えないが」


「本当に?」


 端的な問いかけに、武蔵は沈黙した。

 アリア・K・若葉という人間に違和感を感じたことがない、とは彼には言えなかった。

 両親がおらず、一軒家に住む女子高生。

 冷静に考えれば違和感の塊だ。


「うーん。でも……」


「なんだ?」


「アリアの奴、別に故郷の友達を懐かしがるような態度はないぞ?」


「そういうこと言うの止めろ。本当にやめろ」


 三笠はダメージを受けた。

 実のところ、アリアは「日本に引っ越したらしい友人を探しに来た」と言っていたので、普通に三笠に対して心を配っている。

 ならばなぜこんなことを言ったかといえば―――ただの意地悪である。


「君がアリアに固執してるだけじゃなくてか?」


「本当の本当に止めろ。それはレギュレーション違反だ」


「片思いも悪くないぜ」


「それはそうだが」


「……そうか?」


 武蔵こそが困惑させられた。

 三笠という少女が存外拗らせた性格であると、改め気付かさせる武蔵である。


「アリアの立場はなんとなくわかった。アリアはこっちで平穏に暮らしています。はい終わり」


「今はそうかもしれん。だが今後はどうなるか判らん」


「きっとどこにいたって、どのタイミングであったって、更にいえば人種に関係なんてなく、大問題なんて空から降ってくるものだ。それは誰でも変わらん」


「それは……」


「伏線も前触れもなく日常は崩壊して、それに人々は右往左往するものだ。天が落ちてくることはあり得るかもしれないが、それに警戒したって仕方がない」


「杞憂だというのか? この閉じた世界では笑えない例えだな」


 古人は天が崩れ落ちることを杞憂と呼んで笑ったが、宇宙コロニーであれば起こり得ない事故ではない。

 過剰な強度で設計されたコロニーが崩壊したという事故は幸い起きたことがないが、人が宇宙で暮らす以上いつかは必ず起こる。

 事故とはそういうものだ。


「起こりうる事態に警戒することは愚かではあるまい」


「やれることをやったのに尚、気を揉むのは愚かなことだろう」


「貴様は人工知能より人工知能らしいな」


「褒めるなよ」


「罵倒したつもりだったのだが、まあ喜んでもらえたらなら何よりだ」


 曰く、三笠はアリアに接触出来ない。

 今更何が出来るというわけでもないのに、三笠は彼女に降りかかり得る問題について気を揉んでいる。

 気をもみもみした挙げ句、武蔵に接触してしまったほどなのだ。

 なんとも難儀なことだなと武蔵は三笠を一周回って気の毒に思った。


「どんな問題が来るかは知らんが、アリアは図太い奴だ。心配いらないと思うぞ」


「よくよく考えれば、奴隷扱いされている事自体が既に大問題なのだが」


「冗談の範疇だ、当然だが本気でアリアの人権を否定しているわけじゃない」


 欧州では奴隷という単語は日本以上にデリケートなのだろうな、と武蔵は考える。

 それに近いものは日本にも多々存在したものの、明確な奴隷制度はなかった。

 だからなのか、武蔵には奴隷という単語が非現実的なものに思えるのだ。


 三笠は自分の頭を、頭痛を堪えるように押さえる。


「武蔵。我は貴様に、どうしても嫉妬してしまうのだ」


「Oh shit!」


「それ、日本人が思うよりかなり汚い言葉だから多用するなよ」


「そうなのか、よく知り合いが言ってたけど」


 武蔵の現役時代に交友があった外国人エアレーサーなどはファックファックサノバビッチ言いまくっているので、日常的に挨拶として使っていると思っていた。

 その旨を伝えると、三笠は憤慨する。


「Fuck yourself! あの植民地人と一緒にするな!」


「今ファックって言った! ファックって言った!」


「とにかく、我は貴様に嫉妬しているのだ。死ね」


「死ねとか言っちゃいけません」


「だが同時に期待してしまう。貴様ならなんとかするのではないか、とな」


「だからやめろって。俺は期待を裏切ることに定評のある男だぞ」


 期待。声援。支持。

 そんなもの、武蔵という我儘な人間にとって不要な重圧でしかない。

 誰かの偶像になる気など武蔵にはなかった。自分らしくいたかった。

 だからこそ、選手(エアレーサー)としての栄達に繋がる梯子から躊躇なく飛び降りたのだ。


「俺は飛びたい時に飛びたいように飛ぶ。それが自由というものだ」


「身を縛る重荷も、たまには悪くはあるまい」


「重荷に甘んじる奴なんて嫌だね。一緒にペダル漕げっていうんだ」


「人力飛行機なのか、貴様の人生は」


 2人仲良く人力飛行機に乗り空を飛ぶ武蔵とアリアを想像して、三笠は笑ってしまった。


「頼むぞ、アリアを守ってやってくれ」


「任せろ」


 散々渋った割に、武蔵は素直に頷いた。

 美人は守る主義である。







 昼食はバーベキューだった。

 そして夕食はバーベキューとなる。

 武蔵としてはどんな献立だと文句を言いたいところだったが、昼食を担当したのが鋼輪工業で夕食を担当するのが雷間高校なのでその辺の融通は効かせられなかったのだった。

 そんな第二次BBQ会場へと戻った2人であったが、彼等を待ち受けるのは異様な光景であった。

 何かの儀式のように、円に広がる女性達。その中心にはバーベキューコンロ。


「キャンプファイヤーか……?」


「その割には過剰に距離を取りすぎだろう」


 よくよく見ると、コンロの上には何か狐色の物体が鎮座していた。


「どうした。不発弾でも見つかったのか」


「セルフ・アーク内に爆撃機が侵入したことはない……です」


「武蔵くん? ねえ、ちょーっとお姉さん、お願いがあるんだよなぁ」


 パチンとウインクして、妙子が武蔵におねだりする。

 相変わらず色気と愛らしさが同居している人だなと思いつつ、武蔵はコンロに目を凝らした。


「料理? お菓子、ですか?」


「可愛い女の子が作った手料理よ。武蔵くん、最初の一口はハーレム王たる貴方が食べるべきだわ」


「私が作ったパイなのです」


 アリアが自信満々に挙手した。

 そして、武蔵は彼女達がパイ如きに敬遠している理由を理解した。


「なんだあの、キモいの」


「キモいとは何ですかキモいとは」


 パイの上面からは、無数の魚が頭を飛び出させていた。

 あたかも水面より飛び出さんとする瞬間をハイスピードカメラに捉えたような、躍動感に溢れた盛り付け。

 茶色いパイ生地より原型そのままの魚の頭が飛び出している様は、実に不気味であった。


「なんだあの、なんだ、キモいの」


 他に言いようがなかった。


「キモいキモい言わないで下さい。スターゲイジーパイですよ」


 スター☆ゲイジー(星を✝眺るる者の)パイ。

 名前だけなら武蔵も知っていた。一度見ると二度と忘れられない衝撃的な料理であり、彼の国の暗部と呼ぶに相応しい狂気を孕んだ料理である。

 魚とパイを組み合わせるのはいい。日本ではパイといえば甘いデザートという印象だが、それは偏見だ。

 芋や肉類などなど、パイは様々な食材と組み合わせることの出来る万能基礎である。

 何を入れたって美味しい、驚くほどバリエーションが多岐にわたる食材なのだ。

 だがしかし、なぜ魚の頭を形のままにパイ生地に突き立てたのか。何の意味があるのか。何がしたかったのか。

 あまりに意味も意義も判らないその異形は、武蔵の知識そのままな外見を今、彼等の前に晒していた。


「ちょっとこれは」


 さしもの武蔵もたじろく。それは料理という名の修羅であった。

 心外なリアクションをする武蔵に、アリアは抗議を訴える。


「日本にだってドジョウを豆腐に突っ込む地獄鍋ってやつがあるじゃないですか」


「あれは都市伝説だし、日本料理かすら曖昧だよ」


「スターゲイジーパイだって祖国でもネタ料理ですよ!」


「んなもん食わせんな」


 恐る恐るパイを一片取り、武蔵はかぶりつく。


「……普通に美味い」


 憮然としつつも武蔵は味を認めた。

 材料的に考えれば不味いはずがない組み合わせなのだが、それでも釈然としない彼がいた。

 そう、パイと魚の組み合わせは相性抜群なのだ。不味いはずがないのだ。

 ただただ、外見がゲテモノだというだけなのだ。


「あら本当ね。私はアリアちゃんを信じてたわよ」


 続いて妙子が手を伸ばし、更にぞろぞろと皆も食べ始める。

 咀嚼を続けながら、全員がとても微妙な顔をしていた。


「あたしこのパイ嫌いなのよね」


 誰かがポツリと呟く。

 このえげつない外見に加え、ニシンという子供の苦手な食材であることを考慮すれば『あの人物』が難色を示したのも、致し方がないのかもしれないと武蔵は思った。







 三笠がアリアの後をコソコソをつけ回し、アリアは不穏な気配から逃げ回る。

 鈴谷が二式大艇の問題点を提示し、由良がオズオズとアドバイスする。

 如月姉妹が妙子にセクハラして、それに信濃が追随する。


「呑気なものね」


 きゃあきゃあとはしゃぎ喚く女性陣を、時雨は呆れた目で見ていた。


「もう全国大会の開幕まで一週間よ? 最後の息抜きとはいえ、ここまで脱力するのは初めてだわ」


「まあな。俺もだ」


 武蔵は同意する。

 エアレース・レジェンドクラス全国大会まであと6日。どこのチームも最終調節にピリピリしているのが通例である。日中の空母加賀のように。

 しかし目の前の少女達はそんなことは気にもせず、全力で他チームの面子とはしゃいでいる。


「あんただってそうよ。年甲斐もなくバーベキューにはしゃいじゃって」


「お前だって俺の紙皿から楽しそうに肉を強奪してたろう」


「お約束ってやつよ。長生きしてほしいから、肉を奪って野菜を食べさせるの。愛でしょ?」


 時雨にはどうにも、人の肉を強奪したがる悪癖があった。

 肉食系女子というべきか、中学の頃はいつも肉を奪われていた武蔵である。


「よほど自信があるみたいね、あの子の仕上がりに」


 そう言って、時雨はアリアを見やった。


「貴方のチームは貴方とあの子だけでしょ。いい度胸ね、大会にエレメント(2機編隊)で出場しようなんて」


 5機上限の中での2機での出場。

 これは大きすぎるハンデであり、正気の沙汰ではない。

 しかしそれだけではないことも、時雨は確かに理解していた。


「ある程度以上の技量であれば、相手が多い混戦の方が上手く立ち回れることもある。お前だって知っているだろう」


「あの子がその域に達していると?」


「それに賭けてみてもいい、そう思える程度にはセンスがある」


 最初は空部統合に関するゴタゴタから始まった賭けであった。

 半ば嫌々指導していた武蔵。だが、ずっとそうだったわけではない。

 今となっては、武蔵は確かに楽しみにしていたのだ。教え子たるアリアが、どれほどの飛び方をしてみせるかを。


「アイツは強いよ。俺が保障する」


「くっ……貴方がそう言うなら、そうなんでしょうね」


 時雨は踵を返し、武蔵に背中を向ける。


「負けないわーーーあの子にも、貴方にも」


 背中で語る時雨はとても武人然とした貫禄を秘めていたが、その実ただ焼きマショマロを取りに行っただけであった。

 そんな彼女に、武蔵も踵を返し告げる。


「当然だ。勝つ気のない奴に勝ったところで、誇り甲斐もない」


 武蔵が向かう先は薪を燃やして周囲の光源となっているコンロ。

 煌々と燃え上がる炎。しかし、それだけではとても足りない。


「武蔵……!」


「武蔵くん……!」


「お兄さん……!」


「デストロイヤー田辺……!」


 集まる仲間たちの視線。

 武蔵はこの場で求められていることを、正確に理解していた。


「みんなー! キャンプファイヤーしよーぜウエーイ!」







「ウヘヘー! 燃えろ! 全て燃えてしまえー!」


 ラリった目で浜辺を駆け回りはしゃぐ武蔵。

 主人公である。


「あの、これは流石に……消防法とかにも引っかかりそうですし」


 そんな彼にドン引きした花純はおずおずと窘める。

 だがしかし、武蔵は即座に真顔。そして花純に問題なぞ何もないと端的に指摘した。


「これはキャンプファイヤーです」


「私の知るキャンプファイヤーと違うと言いますか、普通は丸太を積んだりとか……」


「エアレース伝統のキャンプファイヤーです」


 キャンプファイヤー。キャンプでファイヤーをすることである。

 人間、屋外で火を燃やすとなんか知らんが興奮するものだ。

 特に鍋を熱するわけでもなく、暖を取ったり灯りを確保したりといった目的にしては過剰なほどに火を焚く遊び。それがキャンプファイヤーなのである。

 しかしながら、彼らが行うキャンプファイヤーに生徒会長の花純は困惑していた。


「キャンプファイヤーって、ガソリン撒いて爆発炎上させるものでしたっけ」


 燃え上がる燃料に頭を抑える花純。

 彼女が頭を抱える理由は、この蛮行が武蔵のみならず、2校の空部全員によって執り行われている事実であった。


「あの、時雨さん。キャンプファイヤーにしては、些か荒っぽくはありませんか?」


 花純は他校の現状リーダーである時雨に同意を求めるが、彼女はキョトンとするばかり。


「えっ? まあキャンプファイヤーかは知らないけど、こんなもんでしょ?」


「そ、そうですか」


 爆炎を背景に小首を傾げる時雨に、彼女の中の常識が崩壊を始めていた。

 エアレーサーの常識は一般常識とイコールではない。

 花純はしばし悩む。生徒会長として止めるべきか、それとも燃料の専門家たる彼女達監修の元で行われているので、意外と安全な行事なのだろうか、と。

 戦闘機パイロットはインテリな脳筋である。あまり彼らに常識を求めてはいけない。

 常識的に考えれば、一機数千万円するプロペラ戦闘機で戦争ごっこする連中が正気なわけがないのだ。


「会長、会長」


「ん、はい?」


 呼ばれ、花純はちょいちょいと武蔵に駆け寄った。

 素直に寄ってくる歳上の女の子にときめいた武蔵は、とりあえずプロポーズした。


「結婚して下さい」


 天丼である。

 困った顔で花純はお断りの返答を口にしようとするが、それではイタチごっこなので、先例とは別の切り口で攻めてみることにした。


「そもそも、私達は結婚を許される年齢じゃありませんよね?」


 武蔵16歳、花純18歳。

 数十年前の法律で男女が逆であれば、実は結婚出来た。

 2045年現在においては、男女双方ともに18歳からが結婚可能年齢である。

 未成年ということもあり、経済大国を裏から操る大財閥の末裔たる当主から承諾を得る必要はあるが。


「身体だけの関係になって下さい」


「いっそ清々しいです」


 花純は関心した。

 知り合いレベルの女性に対して都合のいい譲渡を臆面もなく求めるのである。これは相当だ。


「っていやいや、そうじゃなくて。そんな話をしたかったわけじゃありません」


「武蔵くんが唐突に求婚してきたのですが」


「花純会長が俺を惑わすのがいけないんでしょう。反省して下さい」


「ご、ごめんなさい」


 花純は騙されている気がした。


「とにかく、ちょっと来てほしいんです」


「どうかしたのですか?」


 武蔵は大概緩んでいる顔を引き締め、要件を告げる。


「この前頼んだ調査の報告を」


 顰めた真剣な声色に、花純も僅かに目を見開き、神妙に頷いた。


「本当は適当なタイミングで秋津洲の適当な部屋に連れ込むつもりだったのですが……人数が増えて、今晩はもう2人きりになるチャンスはもうなさそうなので。少し無理矢理ですが、場を設けさせて頂きました」


 花純は身震いした。

 海水浴が合同とならなければ、このケダモノのような男に合法的に部屋に連れ込まれるところだったのだ。


「ええ、まあ、仕方が有りませんよね。こうなってしまっては」


 花純はちらりとキャンプファイヤーもどきに一喜一憂する少女達を見やる。

 オクラホマミキサーの曲に合わせ、フォークダンスやコサックダンスやカバティをする友人達。


「……こうなってしまっては?」


「どうなってしまったんでしょう?」


 ちょっと目を離した隙に、そこはカオスフィールドだった。


「と、とにかく。合宿中に密会するチャンスはもう皆無と言っていいでしょう」


 他校との合同になってしまったので、もう今積極的に行動するしかないのだ。

 武蔵の意図を理解した花純は、一つ頷き同意した。


「場所を移しましょう」




エアレースで燃料大炎上させてキャッキャするパフォーマンスは実在します。

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