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食糧難と被害者と加害者

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一晩明けて…

 

 

 

 おはようございます…。

 

 今日もいい天気ですが、最悪の朝です。

 

 

 その理由を詳しくお話しするとベッドの布団の形状があらかじめ絶妙に寝苦しい形になっていたことが原因です。

 

 あいつめっちゃ肩甲骨とか圧迫してきた。

 

 仕方がないから代わりに寝れそうな場所を探しても床のカーペットは毛並みが整ってないせいで全体的に足つぼマッサージみたいになってるし、他にも馬小屋があったから試しに行ってみて寝れそうか確認したら藁すらもガチガチになっててまるで寝たらブスブス刺されそうな針山地獄みたいになってた。

 

 

 

 どこもかしこもガチンガチンだった。ガチンガチン。

 

 

 結局寝る場所は硬い場所のなかでも少なからずまともということで建物の床になって、まともな寝具がなかったせいで現在はこっちの体がガチンガチン。

 

 ベッドがまともであれば解決する話なのにこいつは特に人を苦しませることに特化してるような気がする。

 

 もはやこいつに情状酌量の余地はない。

 

 ベッド、お前だけは絶対に許さない。

 

 もうおまえのことは両親を殺された仇のように、不倶戴天の敵のように認識してる。

 

 唯一の救いは皮の帽子が枕として使えたことだが、そんなことは本当に些細な話。

 

 

 

 許すまじベッド。

 


 

 

 さて、まだまだ言いたいことは山ほどあるが、単なる家具にこれ以上恨み辛みを吐き出したところで一文の価値にもならないので今日も元気に冒険をやっていくことにしたいと思います。

 

 

 まともな寝床がほしいなぁ…(心の叫び)

 

 

 

 

 はい。という訳で冒険を再開するのですがあらたな問題が発生しました。

 

 

 

 食 料 が な い

 

 

 

 

 

 寝苦しくて目が冴えてたので朝起きでなんとなく町の中を探索していたところ宿屋にあった食べかけのパスタみて思い出した。


 そういや、ここで小太りの客がパスタ食ってたんだよなぁ…


 空中に浮いたフォークとともにパスタが絡まったその姿は正に美味しそうに見えるように工夫して作られた食品サンプルそのものだった。


 ちなみに水は一番最初から持っててなぜか無限に水が出てくる「精霊の水差し」(最初のイベントで始まりの泉から水を汲むのに使用する)というのがあるからなんとでもなるけどマジでお腹がすいた。

 

 その後、そのパスタをなんとかかんとか食えないか模索してみたけど例に漏れずこの街の食料もガチガチに固まって食えるものではなかったので手持ちの薬草をたべることにしました。

 昨日のクソ家具のせいでHP減ってるし丁度いいだろう。


 モシャモシャ…

 

 生の草って…苦いね

 

 早めになんとかしなきゃ…

 

 

 まぁ、それはそれとして某Y○uTuberの動画みたく台所で中華鍋の中の物体が空中で固まってる光景を実際に見れたのは面白かった。


 スマホがあったら写真撮りたかったわ

 

 本来だったらこの街のイベントでNPCのお姉さんにいろんな施設に案内されてチュートリアル受けたあとに泉の聖霊に認められた人ということで盛大に旅立ちを応援されて歓待されるってイベントあるんだけどこの差はなんだ…

 

 興奮してたとはいえ安易な考えでOP抜けするんじゃなかったかも…orz

 

 一度抜けたらもとの場所もどれねえし…

 

 早めにこの状態なんとかしなきゃ…。

 

 

 見た目は文明がある程度発展した感じなのにやれることは床の上で寝て草を食むなんてまるで原始人みたいな生活だなぁ…。

 

 まあ、なんにせよベッドはともかく食料は早めになんとかしないと不味いので予め食料が確保できることを事前に知っている隣村に向かうことにする。

 

 隣村には芋洗い屈指のバグイベントがあるけど四の五の言ってる暇はないので俺は早速街をでて街道を歩くことにした。


あ、街道のシーンは前回と同じくモンスターが出て来てもただひたすら逃げるだけなのでカットでお願いします。

 

 

 

 ということであっという間に隣村の前でございます。

 

 道中モンスターも出たけど特にダメージ受けなかったから問題なかった…といいたいけどやたらスライムが出て来てやたらローションめいたものをとばしてきやがったぜぇ…

 

 おかげで今度は盾だけじゃなくて靴や足元の裾までスライムくせぇ…

 

 早くシャワーもあびてぇなぁ…。

 

 

 何気に実は便利だった日本の暮らしを懐かしく思いつつ、俺は気を取り直して隣村に入ることにした。

 

 あ、でもこの場所は…

 

 これから起こる屈指のバグイベントの序章が盛大に始まる伝説の場所…。


 フランクル村の入り口…。


 

 

 まぁ、どんなことが始まるのかは見てればすぐにわかると思うんだけど…

 

 

 

 俺がフランクル村の門付近まで近づくと…

 

 

「 ッヘッヘエエェエェエエイ wwwww アゥッアゥオゥウアアアアアアアwwwww」

 

 

 

 後ろから奇声をあげながら目がイカれたおっさんが近づいてきた…

 

 

 「ヒィwwひぃっww qあwせdrftgyふじこlpwwwwwww」

 

 

 ………色々と言いたいことはあるだろうがまずは説明を聞いて欲しい。

 

 

 この人はOP抜けバグの最大の被害者であり加害者

 

 

 気遣い商人のバルネロさん改めキチガイ商人のバロバロさんである…

 

 

 「バロwwwバロwwwバロwwwバロwww」

 

 

 本来ならストーリー通りにここにくるとこの村の前で始まりの街にて精霊に祝福された人が現れたという噂を聞いたバルネロさんに「そこのおかた!お待ちになってください!」と呼び止めてお話をするというものなのだが…

 

 ご覧の通りバルネロさんはOP抜け状態でここにくると語彙が退化しイカれてしまうのである。


なんか調べてみた有志曰く、村の入り口付近に設定されたイベントのフラグと物語を進める上で本来踏んであるはずのフラグが別で管理されてるらしく、後者の方にこの人の台詞が設定されているらしいのだ。


 まぁ、それを踏んでいないためイベントは起きるがこの人はこのような言動を余儀なくされてるらしい。



あ、なおこんなイベントではNPC達は戻ってきませぬ。ワールドクエストに関したイベントというわけでもないから仕方ないね。

 悪しからず。


 「バロwwwwバロwwwwバロwwwバロwwwwバロwwwwバロ」

 

 ちなみにさっきからバロバロとうるさいがこの人は一定以上奇声を発すると残りはバロバロしか言わなくなる。


 生では始めてみたがこれがバロバロさんの由縁か。目の前でめんたまぐりぐり動かしながら奇声をあげてるのをみて凄く納得した。

 

 

 でもこの人本当だったらいい人なんだよ…本編だったらすごくいい人なんだよ…

 

 映画で良いやつになるけど本編はがっつりガキ大将してるやつとは真逆なんだよ…。ほんとにいい人なんだよ…

 

 

 

 この人が最大の被害者と言われる理由はこの人のイベントにあるのだ。

 

 彼は原因不明の病気の奥さんがおり、その奥さんの病気を直す手立てを探すためにあちこち旅をしているらしいのだ。曰く精霊にはどんな病気でも治すことのできる万病薬があると噂されているためその精霊の薬について話を聞きたくて声をかけてきたというのがこのイベントである。

 

 そして村のなか入ったらこのゲームの豆知識を教えてくれたり始まりの街にはなかった冒険者ギルドに案内してくれたりするのである。

 

 それがこんな風に…。

 

 この姿を見たら病気なんて関係なくこの人の奥さんは卒倒するだろう。おれもはじめてこの類いの狂人に遭遇したけど現在進行形でSAN値がごりごり削れてる。

 

 

 「バロバロバロバロwwwwww」

 

 まぁ、とりあえず彼は置いといて探索しねぇと。食べ物を探さねぇと文字通りおまんまの食い上げだ。

 

 ほんじゃ、中をさがしましょか…

 

 この街は確か…教会の食堂と民家の中の屋根裏部屋、あとは解体所の裏手に食料のアイテムがあったな…。

 

 食堂と民家は両方とも北側にあったはずだし、まずはそっちを探すか…。

 

 

 

 テクテクテクテク(テクテクテクテク)

 

 おっ、ここは確かゴブリン退治の依頼だしてるじいさんのいた切り株じゃん。へー本物はこんな感じになってんだな。あのじいさんの使ってた鍬の錆び具合もいい感じに味を出してるな。

 

 おっと今はそうじゃなくて…。

 

 テクテクテクテク(テクテクテクテク)

 

 

 ちらっ<後ろを振り返る>

 

 ニタァ<狂人が笑みを深める>

 

 ふむ。

 

 テクテク(テクテク)

 

 ピタッ(ピタッ)

 

 ちらっ…<恐る恐る後ろを振り返る>

 

 ニチャァ<狂人が殊更に笑みを深める>

 

 テクテク(テクテク)

 

 スタスタ(スタスタ)←早歩きになる音

 

 タッタッタッ(タッタッタッ)←駆け足になる音

 

 ダダダダダダ(ダダダダダダ) ←超全速力で駆け始める音

 

 

 

 「やめろぉぉぉ!ついてくんなぁぁぁぁ!」

 

 

 おれの叫びとは裏腹にこのバロ野郎はつかず離れず全く同じ距離を保ちながら俺の後ろをついてきた。

 

 跳んだり跳ねたりくぐったり蛇行してみたり何をしてもついてきた。

 

 

 振り返るといつでもそこにやつはいた。嘲笑うかの如く笑みを張り付けたままバロバロと音を出していた。

 

 後頭部には穴が開きそうなほど視線が感じられハァハァとした歪な呼吸音が耳を刺激する。

 

 キモい。控えめに言ってキモい。五感の感覚がフルに使え、グラフィックがリアルそのものになった今だから言える。控えめに言ってキモい。

 

 その後もバロ野郎は変わらず付かず離れずの距離でずっとくっついてきた。

 

 ああ、そうだ。思い出した。こいつって確かイベントの終了フラグが冒険者ギルドの受付と話すことだったな。でも、続きのイベントを起こそうにも会話が成り立たないし、終了させようにも肝心の受付がいないから終了フラグが立たないんだった…。

 

 最悪だ…。この先この人にずっと付きまとわれんのかよ…。

 

 

 

 結局、おれはこの人のストーカー行為に諦めて観念してとりあえずつれ回すことにした。


 教会の食堂でチーズを手にいれたときも、解体所の裏手でホーンラビットの肉を手にいれたときも民家の屋根裏でパンを手にいれたときもずっと一定の距離を保ったままこちらを凝視してきた。

 

 うわぁぁぁ…まじかよ…

 正直おれは只でさえコミュ障なのにコミュニケーションが不可能なやつってどう相手すればいいんだよ…


 『マサヤは食料と狂人ストーカーを手に入れた』

 

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