杖と五割と赤い視界
おはこんハロチャオ!(特定の人種に刺さるタイプの挨拶)
ペンタゴンと申します。
今まで読む専だったのですが、自分も面白い話を書いてみたいと思い一念発起し書くことにいたしました
皆様を楽しませられるよう精一杯書かせていただきますので、もしよかったらブックマークとレビューの程をよろしくお願い致します。(ブックマーク数が増えるとモチベ上がるので…)
この作品を読んでくださる全ての皆様に感謝を込めて。
つたない作品ではありますが、どうかお楽しみいただけると嬉しいです。
この世の中には森羅万象、驚天動地の様々なゲームがある。RPG、シューティング、ギャルゲーなどなど。ジャンルが異なり、その内容も異なる。
今ではVR技術が進化し、ゲームにも更なる多様性が生まれた。
そんななかで、昔も今も対して本質は何も変わらない俺たち「ゲーマー」はお気に入りの作品を見つけ、それを徹底してやりこんでいく。
世界観だったり、グラフィックだったり、操作性だったり、個人個人で気に入る場所は違うはずだ。
そんななか、俺を最も引き付けたのは「自由度」であった。
いい意味でも悪い意味でも「自由度」の高いゲームとしてこのゲーム、「immortal alternative online」が俺を引き付けてやまなかった。
よく学生時代の記憶のことを青春の一ページと例えるが、学生時代が一冊40ページのノートだとしたら35ページはこのゲームをしていたことで埋まっている。
それくらいこのゲームにはまっていた。
「よっしゃあ!一番乗りぃ!」
現実での用事をほどほどに済ませ、このときのおれは1週間ほど前にリリースされた追加コンテンツを結構な速度で攻略して現在、ダンジョンの深層にいの一番にたどり着いていた。
「よしよし、ここらの宝箱は全部回収できそうだな。」
俺はこのゲーム内の最前線で最新の攻略情報を集める斥候職であった。有り体に言えば情報屋である。
最前線プレイヤーとして誰よりも早く新しいものを先に体験することの優越感に浸り、その情報をブログで開示したり売ったりすることでこのゲーム内で地位を築いてきた。
つまりは俺は日夜やり込みを重ねてドップリとこのゲームに浸かってきたのであった。
[ピー]
ゲーム内でアラートがなる。装備しているアイテムの効果によるものだ。
「罠付きか…」
どうやら目の前の宝箱に反応しているようだ。
罠つきの宝箱は解除が大変だが、中々にいいものが手に入ることが多い。しかしなかにはほんのちょっとミスるだけで中身がなくなったり、パーティーが全滅するほどヤバイものがあったりする。
そのため、罠解除は斥候職にとって、もはや必須の技能と言っても過言ではない。
「まぁ、この程度なら…ほい!」
いつも通りにちょちょいと罠を解除して中身を取り出す。
「ん~、新品のお宝~さてさてどんなものかな~。」
アイテムをタップし詳細を見る。
(えーと…なんだこれ)
名前はわかる。「リンカーネイションワンド」これがこのお宝の名前だった。しかし、詳細をかいた欄の文字が様々な記号や文字でびっしりと書き込まれた、所謂文字化け状態で全く読めなかった。
「アプデしたばっかだからこんなもんなのかね」
このゲームをやる上でこんなのは大したことではない。とりあえずあとで鑑定するか、運営に報告するかぐらいでいいだろ。こんなときはそんな程度に思っていた。
その後もいろいろと宝箱を見つけては中のお宝を回収していく。中には中々の性能の武器もあったが先程のようなバグったようなおかしなテキストはあれ以降見当たらなかった。
そしてついに俺はゴウゴウと二つの大きな篝火が横に飾られてる大きな扉の前に辿り着く。
この荘厳な雰囲気を醸し出しているこの扉の向こうには、そう、ダンジョンボスがいる。
「さてさて、どんな大物か面を拝ませてもらいましょうか!」
楽しみを一つ一つ消費して終わりに近づくのは名残惜しいものだがやはりこの扉を開く最後の瞬間だけはどれにもひけを取らない興奮と楽しさがある。
基本的にパーティー単位の戦闘が推奨されるこのゲームではソロプレイではほとんどボスの攻略をすることは出来ない。
でもこれは勝てないからってやめれるようなものじゃない。
ヒリヒリしたスリルを求めて今日もボス部屋の扉を開く。
-----一時間後
「はぁはぁ…なかなかこれは…」
火力のでない斥候職かつソロプレイでありながらも高い回避率を生かしチマチマと攻撃することでボスのHPを三割減らすことには成功していた。
しかし、ゲージが7割を切った途端に攻撃パターンが切り替わり、範囲魔法攻撃でガッツリとこちらのHPも減らされてしまっていた。
減らされる度にポーションで回復に努めるが、今ではもう残りが心許ない。
本来ならタンクが引き付け、ヒーラーが回復しアタッカーが攻撃する三つの役割を一人でこなすことに無理があるのだ。
「ここいらが引き際かねー…」
いや、この手応えならまだやれるはず…。せめてあと二割だけでも…。
HPが半分を切ってから行動パターンがみれるかどうかだけでもこれからの攻略のしやすさはグンと変わる。デスペナルティは手痛いが、ここは残りの二割を頑張って削ってみることに決めた。
攻撃が来る。かわす。一太刀いれる。すぐにまた攻撃が来る。あたる。起き上がる。回復する。
そんな行動の繰り返しでHPバーを数ミリずつカリカリと削っていった。
そして、ボスのHPがぴったり半分になったとき…
急にボスのHPが全回復しエリア全体を覆うように光を放った。
「うぉ、眩し…」
頭のなかでステータス画面を呼び起こす
混乱と麻痺と盲目のバットステータス三重苦が付与されていた。
慌てて回復アイテムをストレージから取り出しステータスを解除するものの…
「はは、こりゃあ…」
光によって吹き飛ばされ、バットステータスに翻弄されてるうちにボスステージ端に追い詰められいた。
その後、真横から飛んできた尻尾の一振りによって俺は淡いポリゴンへと姿を変えた。
「だぁー!くっそ!状態異常三重苦なんてソロで対処できるか!」
よくお世話になっているいつもの神殿で復活をし、ボスの理不尽さを改めて噛み締める。
「しかたねぇ…。街に戻って今日は終わりにすっか。」
フルダイブだから肉体的な疲れはないが精神的に疲労はたまる。ゆっくり休んで攻略情報をどうまとめるか構想を練りながらその日はログアウトした。
ゲームの音声ガイドがゲームが終了したことをつげて瞼の裏に意識が戻ってくる。
今日の成果をどうブログに書き綴るかを考えながら体からVR機器を取り外しながら、背伸びをして立ち上がった。
「んー、あれは強かったなぁ。耐性値のたかいタンク2枚はいるかなぁ。」
しかし、立ち上がった瞬間に突如体に違和感を感じた。
「ん?」
周囲に特別変化があったわけではないが、十秒二十秒とするうちにどんどんとその感覚は強くなっていった。
例えるなら、「何か莫大な情報量が脳の中に詰め込まれていく」感じだろうか。
訳のわからない文字列が赤く染まった視界を蹂躙していく。そしてその感覚が強くなっていくのに連れて脳の処理が追い付かなくなっていく。
知恵熱なんて言葉で済むものじゃない。脳が焼ききれる感覚というのを初めて感じた。
目の前が回るようで、左右や上下といった平衡感覚が掴めなくなり、吐き気も強くなっていく。
もちろん立っていられるはずもなく、崩れるようにしてベッドに倒れこむ。
布団が顔に当たる感覚と共にうつろいゆく意識の中呟く。
「なに…こ…れ…」
意識を失ったのはそのすぐあとであった。