時空波
「なぁ、サイトウ?坂本大介の狙いは何なのだ?」
「恐らく金でしょう。」
「金?政権奪還じゃないのか?」
「ブレイディ大佐(坂本大介)には相当な借金があります。博打や女遊びとスキャンダルには事欠きません。」
「一度は潰したはずの海援隊復活となれば、20年前の様に倒幕運動に飛び火するのではないか?」
「それには及ばん!」
「エノモトさん!?どうしてここに?」
「今は色々訳あってな。警視総監をやってる。」
「サイトウ君から逐次報告を貰っていたが、坂本大介は、警視庁が責任を持って暗殺する。」
「龍馬の隠し子ですし、政治的にも厄介ですしね?」
「ああ、後々何かと世に触れては面倒だからな。海援隊復活となれば、薩摩・長州もまた倒幕と馬鹿な事を言い出すかもしれないしな。」
「坂本大介の事は俺に任せて、行くんだろ?元の世界に。」
「そのつもりなんですが、何せ思う様に行かなくて。」
「米国に派遣している隊員からも吉報は無いのか?」
「どうしてそれを?」
「私は警視総監だぞ。名ばかりの職務ではない。とは言えもう70歳。そろそろ潮時かもな。」
「それより、江戸城の警備を強化して下さい。」
「ああ、行くぞサイトウ。」
「御意。」
江戸城の警備よりも海野には心配する事があった。戦艦大和と戦艦武蔵の姿がないのである。誰に聞いても、そんな船は知らないの一点張りで、まるでこの世界には無かったかの様な空気感が1890年のディスには広がっていた。
「サクラギ二佐?大和と武蔵は何処へ行ったのだ?」
「知りませんよ。米国に俺達が行ってる間にTSPに成功してゼアーに戻れたんじゃないですか?」
「どうやって?大和と武蔵はTSPしたんだ?」
「そう言われても分かりませんよ。それに大和と武蔵がゼアーに戻れたと言う確証もありませんし。」
「では何故民の記憶も消されている?これは明らかに意図的に誰かが行ったとしか思えない。」
「さぁ?」
「あ、そう言えばGLZIの報告書に、TSPに成功するとディスでの記憶は抹消される、って論文があった様な…。」
「それだ!大和も武蔵もゼアーに戻れたんだよ!」
「え?でも俺達の記憶は消えてないですけど?」
「それに何で俺達だけTSP出来ないのでしょうか?」
「ディスの世界に入り込み過ぎたからか?」
「センドウ三佐!?」
「どうしてここに?」
「きりざめが日本を離れている2ヶ月の間に2隻の船がTSPしたと言う時空波が観測されたので、日本で調べて来いと言われまして、出張で来ましたが、やはり大和と武蔵でしたか。」
「時空波に乗ればきりざめもTSPは可能なのか?」
「時空波に乗れても必ずTSP出来ると言う訳ではありません。」
「がしかし、時空波は不定期ですが発生している事がGLZIの研究で確認されています。」




