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マスターキー

 「皆、今日新たに2名の生存情報が入った。クニヤマ曹長とクリヤ二曹である。京都の見廻り組からの情報である。今丁度オノ二曹とアダチ二士に迎えに行ってもらった所である。」

 「カイドウ三佐!やっぱり予想通りクルーの生存情報が散らかり始めましたね。」

 「いよいよ戦乱の幕末に首突っ込んじゃいましたね。」

 「もう、こんな時にあの人は何処にいるのか。もうかれこれ一週間。行って帰って来る筈だが…。」

 「カミヤマ二尉?埠頭付近に何か?」

 「あ、あれは!きりざめじゃないか!」

 「おい、マジか!?」

 「最大70ノットの高速第三世代イージス護衛艦きりざめですよ。」

 「おい、キムラ一曹、勝さんに伝令。約束の船が来たぞと。」

 「艦長の持つマスターキーでエンジンをかけたのですか?」

 「否厳密には違う。エンジンを入れるのは二等海士でも出来る。だから、誰かにイージス護衛艦きりざめを盗まれたんだ。それだけなら只の船。マスターキーは、イージスシステムと兵器全ての使用を可能にする為のもの。艦長にのみ持つ事を許された大いなる武力の証。これで初めてイージス護衛艦と言える。」

 「おお、カイドウ三佐久し振りだな。これ手土産(よこはまんじゅう)結構甘くて行ける口だぞ。」

 「ムトウ海上幕僚長とサクラギ二佐はまだ来てないか?」

 「来ておられません。」

 「現状を報告致します。京都に二名の生存情報があり、オノ二曹とアダチ二士を迎えに行かせております。」

 「うむ。17人か…。もうちょい集まってるかと思えば、そうでもないな。」

 きりざめがTSPした1866年10月初旬から約3週間が経った頃であった。きりざめロスト中はサカモトテツタロウを始めとする海援隊の4人ナカオカ、カワカミ、オキタ、サイトウが管理していたと言うシナリオを隊員に伝えるのが今は正しいと判断した。それが実益と言うモノだと艦長責任で決めた。マスターキーの事は、海援隊のメンバーには伝えない事にした。また海援隊の事は、日本初の株式会社で海運業をしていると言う情報だけを伝えた。間違ってもサカモトリョウマの実兄が乗っているとは、伝えず行動を供にする事にした。

 「カイドウ三佐!ちょっと来てくれ。」

 「はい。」(いいか?サカモトら海援隊のメンバーが少しでも怪しい行動をしていたら、知らせろ‼即刻下船させる。)

 「御意。」

 「艦長!京都からクニヤマ曹長、クリヤ二曹、オノ二曹、アダチ二士が戻りました。」

 「随分と早いじゃないか?長旅御苦労。」

 ちなみにクニヤマ曹長は御客様(ゲスト)である。幹部候補生であり彼は江田島の赤レンガで毎日しごかれている。きりざめには航海実習で、乗っていた。また、クリヤ二曹は高卒入隊で、コツコツと階級を上げている29歳である。既に結婚しており、二児のパパでもある。

 「オノ二曹、アダチ二士両名、御苦労であった。これをやる。」

 「よこはまんじゅう?(笑)」

 「カイドウ三佐!ちょっと来てくれ。」

 「はい。まだマスターキーには触れていない。ブラックボックスのフェイズドアレイレーダーが無くともきりざめを上手くコントロール出来るよな?」

 「任せて下さい。航海士に成って20年のベテランに何を。」

 「何が起きるかわからん。俺の身に何かあったら、マスターキーの事は、貴様に任す。」

 「クルーには不便をかけるかもしれないが何とか予備とかは無いから頑張ってくれ。」

 「御意。」

 「イージス艦の艦長ってかなりのプレッシャーのある職務なんですね。」

 「こう言うのはやってみて初めて分かる事だから。口で言うのは簡単。それをやるのが幹部自衛官である我々の責務である。」

 「分かりました。」

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