専守防衛の継続ライン
ワシントンD.Cに向かう途中、こんな話になった。
「ディスに来ても曲げていないものがあるのだが、それが何か分かるか?」
「専守防衛ですか?」
「その通りだ。この二代目きりざめは戦争で一発の弾も発射していない。無論危うい目には何度もあった。だが、いつも武蔵や大和が何とかしてくれた。でもここからはきりざめ1隻の戦いになる。形だけの専守防衛では、例え相手が旧式の鋼鉄艦でもやられる可能性はある。」
「しかし、シビリアンコントロールが効いていないディスでの我々の行為はあくまで例外事項であり、今は徳川玄平将軍の指揮下にあります。専守防衛は必ずしも踏襲する必要はないかと思われます。よって、全ての権限は艦長が判断すべきです。」
「サクラギ二佐…。」
「今は集団的自衛権がどうとか言ってる場合ではありません。艦長判断で全ての武力行使をやるべきだと申しておるのです。」
「フッ。今考えてみれば可笑しなルールだよな?戦闘のプロの自衛艦(官)が戦っているのに判断を下すのは、永田町の国会議員だなんて。そりゃあそう言う制度なんだから、誤差は出るのも無理はない。サクラギ二佐、君の言う通りだ。ゼアーならいざ知らず、ここはディスだ。将官クラスの先生達は皆死んじまった。それに合衆国海軍が必ずしも我々を味方とは認識していないかもしれない。いざと言う時は伝家の宝刀を抜く決意をしとかなくちゃな。」
「その伝家の宝刀ですが、何せ20年以上抜いておりませんので、しっかりと弾着してくれるか不安があります。」
「試射するべきでは?」
「ディスでの弾薬の補給路が定まっておらず、一発も無駄には出来ないとカイドウ三佐がうるさくて…。」
「俺のせいにするな。このバカちんが。文句ならディスの無能な技術者達に言え。大体作りは大砲もミサイルも同じだろう?幕府の技術者達は応用力が足りん。」
「カイドウ三佐?それはちょっと違うぞ?我々の技術は約130年も先の未来の技術。合わせるならこちらから合わせるのが筋だ。」
「と言いますと?」
「仮にきりざめが全弾発射して弾がempty(空)になったとしよう。このままではきりざめは只の客船になってしまう。そこで、幕府の技術者に協力してもらい、きりざめを改造し大砲や歩兵銃を配備する。可能性もなくはない。」
そりゃあむちゃくちゃだと思ったカイドウ三佐であったが、弾薬の使用率によっては現実味のある話だとも思った。




