真珠湾へ
一通り制度を整えた海野玄太郎は、政治の第一線から退く事にした。
「で、これからどうするつもりなんだ?」
「とりあえず行ってみたい所がある。」
「どこだ?」
「パールハーバーだ。そこに何かありそうな気がしてな。」
「何も無いかもしれないぞ?」
「とりあえず何も無ければ世界を回るまでだ。それでもきっかけを掴めなければゼアーに戻るのは諦める。」
「そ、そんなぁ!?」
「ディスでの暮らしも板に付いてきた頃合いでもあるしな。」
「まぁ、それは否定しませんが、パールハーバーって言えば日本海軍栄光の地じゃないすか?」
「正直な話何も無いと思うぞ?」
「行って見なくちゃ分からないだろう?」
「海野一佐、気持ちは分かるが日本に居てくれ。頼む、この通りだ。」
「と、言われましても困ります。もう決定事項なので。」
「そうですよね。ディスの事はディスの人間が決める事ですよね?ゼアーの人間に命令される筋合いはないですよね?」
「散々世話になっておいて、その言い草は無い…よな。すまん。でももう時間が無いんだ。」
「出港は明日のAM7:00。行って何も無ければ諦めもつきます。」
「絶対に戻って来いよ!」
「行って来ます。」
と、力感を込めてパールハーバーに向かったきりざめクルーであったが、特に何も無く只の観光になってしまった。
「だから言ったじゃないですか?」
「俺達はもう戻れないんですよ。」
「そう簡単に割り切れないから、パールハーバーくんだりまで来たんじゃないか?」
「まぁ、それはそうなんすけど…。」
結局3日間パールハーバーに滞在したがTSPの予兆は一切無く日本に帰国する事になった。
「キャプテン海野!」
海野を呼び止めたのはパールハーバーの市長であった。
「これを集めるとあなた方の世界に戻れるかもしれません。持っていて下さい。」
「これは何ですか?」
「パールハーバーの石です。」
こんなもん集めて未来にTSP出来るはずがないと内心バカにしたが、気持ちは嬉しかった。
「市長ありがとう。」
「お達者で!」
「へぇ!これ本物の真珠ですよ?それも上物ですが、こんなもん集めて未来に戻れるかどうかは懐疑的ですね。」
「分からないが、どうやら世界を回ってみれば可能性が出て来るのかもしれない。」
「横須賀くんだりでぶらぶらしている場合と違いますね?」
「ああ。そうだな。玄平様には私から説明しておく。とりあえず長期遠洋航海の準備を頼むサクラギ二佐。」
「ガッテン承知の助であります。」




